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白人警官による黒人殺害事件でブチ切れたビリー・アイリッシュが米国を統一する勢いに感じた理由



@UNIVERSAL_INTER

2020年5月25日アメリカのミネソタ州ミネアポリスで、白人警察官に膝で首を押さえつけられ黒人男性ジョージ・フロイド氏が死亡した事件を受けて、アメリカ全土で抗議のデモが起こっている。Twitter上では「#BlackLivesMatter(黒人の命は重要)」というハッシュタグが世界でトレンド入りした。同時に黒人だけじゃ無く他の命も重要だとする「#AllLivesMatter(全ての命が重要)」もトレンド入りしていたことが物議を醸し出している。



エンタメ業界からも抗議の声が次々と挙がっている。
中でも、ビリー・アイリッシュの言葉が強烈すぎた!
ちょっと意訳

今週、この敏感な話題についてどのように話すか考えていた。私を取り囲む基盤は巨大だから、敬意を持って言い方に気をつけようと思っていた。でもクソどうでよくなったから話すことにしたわ。

もし、もう一度「#AllLivesMatter(全ての命が重要)」なんて言葉を聞いたら、私の頭がマジでイカれると思う。マジで、黙~~~~~れってのッ! 誰も白人たちの人生が大変とか言ってないし! 誰もお前たちのことなんて言ってないんだよ。自分の話がしたいからって便乗するなよ。アナタは危険にさらされていないよね(子供に説明するように話す、じゃなきゃお前たち理解できないだろうし)

もし友達が腕に傷を負っていたら、誰かがバンドエイドを、その人に与えるまで待っているわけ? 「全ての腕が重要」だから? 違うだろって! 現に目の前で怪我してる友達助けるだろって!

自分がどう思うかは関係なく、特権を始めから与えられている人もいるんだよ。社会は白人だってだけで特権を与える。貧乏でも、苦しんでてても、肌の色だけで他の色の人より良い特権が与えられている。そんなことにも気付かない。

もし「#AllLivesMatter(全ての命が重要)」なんだったら、なんで黒人が黒人だって理由なだけで殺されなきゃいけないわけ? なぜ移民が迫害されるわけ? 白人以外の人種が持てない利得を、なぜ白人だけが持てるわけ? なぜ白人は武器を持つことが許されるわけ? なぜ無実の黒人が抗議したら「不届き者」と言われるの? 何でか知ってる?

それが

白 人 の ク ソ 特 権 

白人の特権がヒスパニックの人に影響する? アメリカの先住人には? アジア人には? クッソ影響あるよ! 1000000000000000%ね!




要は論点のすり替え。#BlackLivesMatterは、何も黒人の人権だけを主張しているわけでは無い。社会が黒人の命を粗末にしている事実に注目するための表現である。

(C) 2018 UNIVERSAL STUDIOS AND STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC. All Rights Reserved.

黒人差別を描いた映画『グリーンブック』がアカデミー賞作品賞を獲った時に、会場は愚か全米からタメ息が漏れたという。最初は、この意味が分からなかった。『ブラック・クランズ・マン』を観て本質を垣間見て理解できた。表面的な差別反対を謳っても何も解決しないってことだ。コロナ禍のストレスの影響もあろうが、黒人差別の深刻さに対する国民の怒りが、もはや頂点に達した矢先に、#AllLivesMatterという考えが出てくる違和感。物事の本質を見ようとしない、都合の良い解釈。この繰り返しがアメリカの歴史そのもので、この#AllLivesMatterで終わらされてきた空気感こそ、差別が無くならない諸悪の根源であるということを、たった18歳の白人の女の子がバチコン言ってしまうのだから凄まじい。人種間の違和感を取っ払って本質を見据える。



そもそも、ビリー・アイリッシュの音楽がそういうものだった。音楽評論家の粉川しの氏も言っていて凄く共感したんだけども、2010年代の終焉に突如として現われたビリー・アイリッシュという才能は、これまで何十年と、やれロックだポップだ、エレクトロだアンプラグドだとかの論争や、この音楽は革新的だ古臭いなど世代的に偏るとか、多様なジャンルの中で、どの趣味嗜好、世代にもバシッと受け入れられないポップ・ミュージックを、全員が納得せざるを得ない楽曲群で結論づけてしまった。
それこそ、ドラッグ、内省、自殺未遂、悲哀、LGBTなど、楽曲にリアルな時代性を反映しつつ、アリアナ・グランデを聴く世代とトム・ヨークを聴く世代も共通して聴けるアーティストで、時代と共に分断と選択が進む価値観を繋げてしまう存在に思える。それは決して悪いことでは無くて。

正しくカリスマだなと感じた。今回のコメントを読んで尚更感じた。まだ18歳・・・・・・末恐ろしいと感じると同時に、ビリー・アイリッシュは長年アメリカが抱えてきた人種差別をも乗り越え、大国を統一できるとさえ錯覚し得る救いだと思わずにはいられない。

(文・ROCKinNET.com編集部)
※無断転載・再交付は固く禁ずる。引用の際はURLとサイト名の記述必須。



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