決して格好良くないウィル・スミスが置かれる立ち位置
先日のアカデミー賞の壇上でのウィル・スミスによる殴打事件は衝撃的だった。同時に日本では「妻を守った格好良い男」としてウィル・スミスを擁護する意見に溢れ、「言葉の暴力」の賛否と報復のための暴力の正当化までされる始末だ。しかし、当のウィル本人は一連の出来事を謝罪。自分が全面的に間違えていたとコメントをし、アカデミー会員を辞退するなど、身体的暴力を全世界が注目する舞台の上で振るったウィルにとっては厳しい状況が続いている。流石に無いとは思うが、オスカー剥奪の噂も立った。
ウィルはもともと感情のコントロールがきかない?
そもそもウィルが何故、暴力を振るったかは感情的な部分が大きい。彼は瞬発的な感情を制御できない時がある。以前も『MIB3』のワールド・プレミアでウクライナの記者を殴った過去があった。記者もしつこかったにせよ、言葉よりも早く手が出るのは明白で、好感度の高いウィルが手を挙げることはショックだった。
驚くほどに恐妻家、浮気した妻に意見も言えない男の烙印
今回も最初はクリス・ロックのジョークに笑っていたが、妻の反応を見て態度を変え、殴打事件を起こした。彼自身の意見ではなく、妻の反応を見てムッとし壇上に上がってしまった。愛妻家と言うよりも恐妻家。妻ジェイダが年下歌手オーガスト・アルシナと不倫していることが判明した際に、夫婦揃ってトーク番組「RTT」に出演した際も、ジェイダが発言権を握っており、ウィルが何か言おうとしても「あなたは黙ってて」とたしなめられ、完全に尻に敷かれいる感じだった。アメリカではウィルのそういう面も知ってるがゆえに日本のような「格好良い」とはならない、ましてや、感情に任せて暴力を振るう、男が公衆の面前で泣くなど、アメリカ人の中ではcoolじゃない極みであり、ウィルに否定的な意見が多いのは、そういう背景もある。要するに未熟で恐妻家という見方だ。
妻の存在が介在しない今回の一連の騒動
また、マチズモと言われる男性優位主義というのにも注目が集まる。時に「有害な男らしさ」とも言われるが、それがウィルを暴走させた根本的な思想だったというのだ。現に、今回は暴言を吐かれたのは妻ジェイダ本人である。彼女が抗議するのは分かる。なのに、妻の意見や存在が皆無なのだ。クリスとウィルの喧嘩で終わってしまっている。女性の意思が介在しないことに非常に違和感を覚える。女は男に守られるという基本的概念があるから、ウィルの行動が賞賛されるのだろう。女は男の所有物でも何でもないのに。だからこそ、同時に男尊女卑、女性の社会進出の困難さ、性差別は日本の方がまだまだ色濃い。
「黒人は野蛮!」差別を助長してしまった
何よりも深刻なのが、今回のウィルの行動は、黒人差別の助長に繋がっていることである。LAタイムズ誌のグレッグ・ブラクストンは、「超保守派の過激な発言で知られるキャスターであるタッカー・カールソンが”な?黒人を傷付けるのは黒人だ、白人ではない。黒人は野蛮だ!”と言うんじゃないか」と記事に記したように、黒人の暴力性を全世界に中継してしまったことになる。アメリカの保守的な白人層には黒人に対する得体の知れない恐怖感があり、その野蛮さをアカデミー賞という舞台で証明してしまったのだから、やはりウィルの行動は褒めれたものではない。
実はショックを受けていない妻、大騒ぎのウィル
また、ショックを受けたとされる妻ジェイダが殴打事件の時にどういう状態だったかを映した動画がインスタで出回った。「ワオ、ウィルに殴られたよ。テレビ史に残る伝説的な夜になるな。」というクリスのコメントに爆笑していたのだ。まったく落ち込んで泣ていない。元から気の強い女性だ、そのくらいで深く傷付くとも思えない。また、あれだけ泣いて詫びたウィル自身も、アフター・パーティーではオスカー像を片手に飲めや躍れやの大騒ぎしていたのもインスタにアップ(すぐに削除)している。当人たちは意に介さず、心配するだけ無駄とも言えるほど、あっさりしているのだ。
ウィル夫妻の情緒に世界が振り回されていると言っても過言ではない気がする。
(文・ROCKinNET.com編集部)
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