2020年の中止、2021年は日本アーティスト限定で開催されたフジロック。今年はジャック・ホワイト、ヴァンパイア・ウィークアンドをはじめ、海外からも多くのアーティストを呼び、通常に近しい形で開催された。動員こそ、例年の半数になったが(入場制限はされていないが、例年40,000人のところ、各日20,000人前後だったという)こうしてフェス復活の兆しが垣間見えただけでも感慨深さすら感じた。
何よりも天気が良い!
フジロックと言えば、移りやすい山の天候に翻弄される時が多い。その過酷さこそ醍醐味でもあるが、今年は気持ちいいくらいの快晴である。奇跡としか言いようがない。まるで、フェス復活の年を祝うかのようだった。
そんな1日目に参加した感想を簡潔に述べていきたい。
グリーン・ステージの最初を飾ったのはモンゴルで人気を博すTHE HU。馬頭琴やホーミーなどモンゴル楽器を駆使したハード・ロックがスタイルの彼らだが、そのビートやサウンドデザインは敢えて母国音楽を取り入れようとする意欲よりも、自然と滲み出た結果としての重低音響くヘヴィーなラウドで言葉もないくらいに格好良かった。
続く、OAUは、何と大自然の中で聴くに似合ったバンドなことか。初のグリーン・ステージ、「昨年から森の中で待っていた」とおどけるTOSHI-LOW。「Peach Melva」のようなインストの涼やかさ、「Again」では親子連れが笑い転げながら回り駆ける。多幸感に満ちていた。オリジナル・ラブは、とことんグルーヴィンでファンキーなステージを展開、もちろん、大ヒット曲「接吻」も忘れない。場所は変わってアトミック・カフェではウクライナ侵攻や沖縄返還50周年のトークイベント後に、オレンジレンジが登場、アコースティック版のライブをする。天気雨がさらさらと肌を濡らしながら「以心伝心」「キズナ」などのヒット曲が心地良かった。この温度感の彼らのライヴもなかなか粋だった。
今年から復活したレッド・マーキーでは今話題のAwichが登場。リリカルで且つ前のめりなエロティック、「口に出して」「GILA GILA」で苗場を挑発する、その完璧なショーに圧倒された。酒臭い若い兄ちゃん達がマスクを外して絶叫してる光景は賛否分かれそうだが、それだけお客さんの内なるグルーヴが高まっている証でもあろう。3年ぶりの出演となったハイエイタス・カイヨーテは、YOASOBIのコロナ感染での出演辞退に伴うグリーン・ステージ登場ではあったが、ソウルフルであり、ファンクでもある、美しいサウンドが夕暮れの苗場を優しく包む。
ホワイト・ステージに登場したジョナス・ブルーは夜更けのフジロックをEDMで揺らすだけ揺らした(薄々、気付いてくれている方もいつだろうか、この日の移動距離が半端ない)。途中、BE:FIRSTがゲスト出演し、「Don’t Wake Me Up」の日本語版を披露(若干フジロックでは浮いていた気もしたが、アングラな音楽がメインであるフジロックにおいて旬のアーティストが出演する感じ、実は嫌いではない)、しかし、EDMはひと昔前の音楽であることは間違いないが、フェスにおいて鉄板で盛り上がるパワーは凄い。
例年により、新幹線の終電の時間なので、ヘッドライナーを見ずして日帰りで帰る。
総じて振り返れば、元に戻ったとはいえ、海外アーティスト数が少ない気がして、限られていた気もしている。来年こそ、さらに多くのアーティストが来日してくれること、そしてマスクも取れて完全にコロナ前のフジロックが体験できることを願ってやまない。
(文・ROCKinNET.com編集部)
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