あの当時は、傑作『Viva La Vida』の世界ツアーで、しかもグラミー賞を受賞した直後の来日でバンド自体に異常なまでのパワーがみなぎっていた時期と来日のタイミングが相まって、本当に凄まじいパフォーマンスだったのを鮮明に覚えている。数多く観て来た洋楽アーティストの来日公演でトップに入るライヴと証している。しかし、流石は現在進行形の世界最高峰のバンドである、今回のライヴも最高の評価を自ら更新したような素晴らしいライヴだった。
ある程度は想定していたが、案の定(というか期待以上の、いい意味で)過剰とも捉えられる派手な演出、カラフルな紙吹雪が何度も打ち上げられ、バルーンもお決まりのように振ってきて、5万人の腕に付けられたピックスモブの多彩な光が、恍惚感と高揚感に相混ざって、終始、一大スペクタクルを繰り広げ、中だるみを一切許容しないフルスロットルなライヴだった。その様子は、東京ドームを我が物で完全制覇した、あのテイラー・スイフトのドーム公演をも超えるほどだった。正に音楽の楽園を体現したに等しい。“楽し泣き”すらしてしまうような、これぞ多幸感と言えよう。
新作『A Head Full of Dreams』は、最高傑作の呼び声高い『Viva La Vida』と肩を並べるほどの傑作だった。
その収録曲のどれもが本来のCOLDPLAYを象徴するかのような陽的なイメージの楽曲が多く、ライヴ栄えするものでもあった。加えて、往年の名曲も完全に網羅、「Yellow」「Clocks」「Viva La Vida」「A Sky Full Of Stars」・・・。ベストアルバムのような満腹感なセットリスト。
彼らの場合は、その代表曲やキラーチューンがアルバムの度に増えていく。
よくありがちな“昔の曲の方が良かった”という懐古的にもならない、要は新作に“ハズレ”が無いということでもあるが、COLDPLAYが現役最強たる由縁は、時代と共に変化する“変幻自在さ”にある。その為ならEDMも受け入れてきたし、最近ではチェーンスモーカーズとコラボし、主流のトラップダンスミュージックまで取り入れる。ロックの定石を尽く崩し、常に進化するのだ。この日も、まるでEDMフェスに来ているかのような錯覚を覚えた。ロックが衰退し、ポップ全盛のこの時代に、何故彼らの曲が全うにテイラー・スイフトやジャスティン・ビーバーと勝負できるのか、今日の東京ドームを見れば納得がいくだろう。
流石としか言いようがない。COLDPLAYはどこまで進化し続けるのか、今後が本当に楽しみだ。
image source:http://www.rollingstone.com/music/albumreviews/coldplay-a-head-full-of-dreams-20151204
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