ライブレポート

RADWIMPS「Human Bloom Tour2017」さいたま公演を観る

既に20代を中心に大きな成功を収めていた彼らが『君の名は。』の主題歌を担当したことで国民的ヒット曲を手に入れたことで、この国のロック界で頭ひとつ抜きん出た大衆的存在になったことを、ポジティブな楽曲と共に、壮大で美しい映像と、圧倒的な演奏力の高さで証明した、RADWIMPSにとっても重要なエポック的なライブだった。

先日来日したCOLDPLAYのオープニングアクトを務めていたので、ちょい前ぶりである。あの時は、あくまで前座であることを意識したセトリで、「前前前世」をやらない、わきまえ感に謙虚さを感じて、好感が持てたものだった。

元より洋次郎は哲学を歌ってきた。「いいんですか」などの等身大のラブソングも多いが、一方で、20歳そこいらの青年が書いたとは思えない圧倒的なセンスの歌詞は、神事的な視点とリアルが共存した無二な世界観で、聴く者すべてに有無を言わさない説得力をもって屈服させてきた。とてつもない才能であり、彼らが比較的早い段階でフェス会場で大人数の観客を集め、アリーナ級の会場でツアーをやることは、なんら特別では無い、自然の成り行きだった。

しかし、それはいつまで続くのかという不安もあった。楽曲の質が高いほどに枯渇も早いのでは?と感じたからだ。しかし、洋次郎はその不安を新作を出す度に喝采に変えてきた。『アルトコロニーの定理』では「おしゃかしゃま」で人間社会の不条理や輪廻を歌い、続く『絶体絶命』での「DADA」でも同様に輪廻観を歌った。次は何を歌うのか・・・期待が高まる中で、そこにきて、空前の国民的ヒット、社会現象となった映画の劇中歌を担当することになる。

そこでは哲学を脱し、大衆傾倒したRADがいた。「前前前世」を筆頭に、気持ちが良いほどにポップで、明朗で、ポジティブ。作品名も『人間開花』とポジティブ。人間賛歌を貫き通す、傑作だった。この日も、洋次郎は言った。「誰かが言ったほんの些細な言葉を、気にしない人もいるんだろうけど、いつまでもずるずる引きずっている自分も嫌で、もし、あなたが後者なら、あなたは人間なんだってことだと思います」と。多くの勢い付いているバンドが、オラオラ口調で「お前ら、俺たちと一緒に歩んでいこうぜ」と高らかに雄叫ぶのと、洋次郎は違う。そっと、さり気なく聴衆を肯定し、救う。やはり彼は一筋縄にはいかないアーティストである。まさしくシャーマンだ。

「Lights of out」ではじまったライブ。続く「夢灯籠」に続き『君の名は。』のOPを彷彿させるように、会場中、ステージに無数の星が浮かび上がる。このツアーのテーマが宇宙であり、『君の名は。』の再現にもなっていると気付く。と同時に、これから始まるライブの高揚感を高める楽曲群に心浮く。後半は、「セツナサレンサ」や「ます。」「君と羊と青」などの人気曲で会場が湧くに湧く。彼らの代表曲にもなった「前前前世」では、会場のスクリーンが青々しい空気の中を疾走する映像が映し出され、ポップの桃源郷に連れて行かれるほどの爽快感があった。特に圧巻だったのは、昨年末のCOUNTDOWN JAPANでも見たが、「おしゃかしゃま」の間奏時のセッション。個人的にRADWIMPSは日本で最も演奏力が高い大衆バンドだと思っているが、その圧倒的テクニックは何度見ても驚く。下手すれば、彼らは名実(人気、演奏技術)共に総体的にはNo.1のバンドではないかと言っても、過剰でないかもしれない。

洋次郎は途中こんなことを言う。「今日なんか(北朝鮮から)ミサイルが飛んでくるとか言ってて嫌だなって思ったんだ(会場から微かに笑い声が広がる)けど、ほっといてほしいと思うんだよね。必死に生きてる人をさ、邪魔しないでほしいって。ほんの数人のために、いろんなものが失われていくのが嫌で・・・」彼の言葉(歌詞)は闇の中で光を見出す。輝くもの全てを肯定し、愛し、受け入れるバンドとして、このバンドがいる限り、日本の音楽は廃れないと確信した。

image source:https://www.barks.jp/news/?id=1000135295

 

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