英で自身のライヴ直後に起こったテロ事件で多くのファンを犠牲にし、さほどの時間を空けずにマンチェスターで慈善ライヴ「One Love Manchester」をやり遂げたアリアナ・グランデ。想像できないほどの自責の念や、無念、恐怖を抱いていたに違いない。しかし、彼女は、僅かなステージをキャンセルするも、いち早く復帰し、歌うこと、人前に立つことを止めなかった。これが、どれほどの勇気であるのか、若干20代前半の女の子が決意することの勇ましさには感銘を受けることしか出来ない。正しく、マンチェスターでアリアナ含む多くのアーティストが口にした「愛は暴力に屈しない」という言葉に集約されていると思うが、自分も何故、アリアナのライヴに是が非でも行こうと思ったのかと言えば、アリアナと音楽を愛する者としてテロに屈服しない姿勢を微力ながら表示するためだった。
2015年サマソニ以来、二年ぶりに彼女の姿を観る。素晴らしいなと思ったのは、あくまで彼女は世界が注目する現代のディーヴァであることを体現させたことだ。会場には男性よりも女性の方が多くいたように、同性に憧れられる、彼女の最大の魅力とも言って過言ではないルックスの良さをフルに活用して観客を魅了しながらも、時に官能的に、しかし、あの細い体のどこからそんな歌声が出るのかと思うほどのパワフルな歌唱を見せ、終始、ダンスをしながらも息切れしない肉体的な強靭さも見せる。サマソニからわずか二年しか経過していないにも関わらず、エンターテイナーとしての成長が窺える。
しかも、この日、披露した二十数曲のうちのほとんどが最新作『デンジャラス・ウーマン』からの選曲である強気の見せ方。「Baby I」や「The Way」などの人気曲も披露せずに、今のアリアナを見せた。往年のヒット曲に頼らない、今最も旬の女性アーティストである証明をした。「Break Free」も楽曲の核であるEDMを削ぎ落としライヴ用アレンジになっていた。多くのファンが期待している人気曲を敢えて外しても、ショービズと成立させるのは本物でしか出来ない。ライヴの特効も限りなく無いに等しく、ダンサーとの絡みも決して大袈裟ではない。それを、時折見せる飛びっきりキュートな表情と、仕草、歌唱力で魅せたアリアナに脱帽する。
終盤、慈善ライヴ「One Love Manchester」で披露した「Over the Rainbow」をしっとりと歌い上げたアリアナ。彼女の中では決して消え去ることの無い傷。それを抱えながらも“現代のディーヴァの代表格”として、自分の役割を担う彼女の姿に感動した夜だった。
(文・ROCKinNET編集部 よっしー)
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2017/08/10 SETLIST@幕張メッセ
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