果たしてコレが本当に『M:I-2』や『レッド・クリフ』を撮った監督の作品と言えるのだろうか。本当に酷いありさまで、ここ10年間に映画館で観た作品のワーストを争うものだった。
80年代後半の角川映画のような大雑把な感じ。安直でベタなストーリーに唖然呆然通り越して、開始早々に失敗したな感が半端なかった。中国俳優のカタコト日本語も酷く、B級Vシネに出てくる大根役者も多くて観てられない。よくも、こんなに演技が下手なのに役者出来るなと怒りを覚えるくらいだ。あの、悪い刑事役の、あまり名の知れてない役者のあざとい演技は何なんだろうか。目をひん剥いて、相手を威嚇するとか、下手糞通り越して、学芸会以下。
主人公が濡れ衣を着させられたホテルの一室で、清掃員の女性が「アノヒトガハンニンヨー」って、今時の仕込みのアダルトビデオだって、もっと演技力あるぞ、と言いたくなる棒読み。泣いてる子役が演技は一番うまかった。
しかし、福山雅治という人も不思議な人だ。
結婚後の落ち度が半端ない。何しても裏目。月9ドラマ低迷、コンサートでスタッフ怪我するわ、自宅に不法侵入されるわ・・・・・・福山自身が原因ではないことも多いけど、日本を代表する「いい男」の象徴として20年間以上君臨し続けてきたスターとは思えないほど、運気と人気が急降下。ラジオでの下ネタも、結婚して所帯持って子供もいて、容姿も整っているとなると、聞いていて嫌味にも聞こえるようになった男性支持者も多いとか聞く。あくまで噂。ヤッカミとも捉えられるかもだけど。
要は「俺らの憧れの兄貴」じゃ無くなっちゃったんだよね。どうやら、福山は桑田佳祐にはなれなかったようだ(ま、桑田さんは早くに結婚してたし、顔で売れるタイプじゃないからね)。
そこにきて、本作の大失敗。世界的監督×福山の世界作品デビューと話題性はあるはずなのに、興収ランキング初登場6位と想像以上に振るわず、話題にすら上らなかった。だって、スローモーションで、鳩が舞う中、いちいち福山がカメラ目線でイケ顔するのに違和感?やり過ぎ感?を覚えた人いなかった?
ただ、個人的には親・福山派なのでフォローすれば、50歳弱にして、あの大スクリーンで画が持つというのは流石としか言いようがない。やっぱ、いい男ですよ。何年も前にラジオで洗顔をしないと言ってたことがあったけど、本当に顔洗わずに、あの肌艶保てるのかな?
顔じゃなくて足洗って出直して欲しいのはジョン・ウー監督なんだけど、最大のイライラの理由は、言語統一がされてないこと。これって、どこの国の映画なんだ?って話。何故かアテレコが多いんだ。他国での公開を見込んで、英語と中国語と日本語とバージョンが多いのだろうか? 口と台詞が合ってないから、竹中直人とか斉藤工とか、演技派と言われる、豪華俳優陣も滑稽に見えて仕方ない。これは、もう全部、監督の責任としか言いようがない。各国の各事務所の要望も多かっただろうけど、その体裁が取れなくて迷走してるのがバレバレ。日本の俳優をほぼ使って、日本を舞台にしてるんだから、きっちりとした日本映画にしてほしかった。日本語が話せない中国俳優使うなら、無理に喋らせなくていいよ。
渡辺謙が未だにブロードウェイの舞台でも「何を喋ってるのか聞き取れない」という批判を浴びてるように、言語の壁っていうのは本当に高くて難しいから、映画だけのために多国語喋らすのは辞めた方が良い。だからと言って、『ゴースト・イン・ザ・シェル』のビートたけしのように、ハリウッド映画で、周囲の俳優が英語を話してるのに、終始、日本語で突き通してしまうって、それもそれでどうかと思ったけど。
たまにB級映画を“敢えて”褒め称えることで、マニアックさ、俺は分かってると「通」ぶる奴っているけど、この映画を観て「やっぱジョン・ウー監督はこうでなくちゃ」とか言ってる奴はニワカ。この程度の監督ではない。駄目なものは駄目と言わなきゃいけないと思う。ただ、アクション映画の巨匠である。銃アクションだけは流石で、そこだけに敬意を示したい。
(文・ROCKinNET.com編集部)
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