『インフィニティ・ウォー』(以下、IW)が絶望的な内容だったので、少し心配だったけど、安定のコミカルさを維持していて安心した。何故、あのMUC史上最大のサノスとの激戦にアントマンがいなかったのかの直接的な答えは明示されていないが、二年前の『シビル・ウォー』でキャプテン・アメリカ達と共に反体制側に回ったことで逮捕されていたアントマンが自宅軟禁されているなど、IWで不在だった分「あいつ、どうしてるの?」という疑問が解決されてスッキリする。
ただ、本作はIWとは独立し、あくまでアントマンの世界観と時系で事は進んでいくので、他のキャラクターも出てこない。IWのインパクトがあまりに強烈だったせいもあり、あの続きが早く知りたい欲から考えれば、その点での物足りなさを覚えるかも知れない。
もはやマーベル映画は、ハズレ無しと言わんばかりの高品質な映画が多いためか、若干の“こなれ感”があって、予定調和的、まとまり過ぎている気がし、マーベル映画の中でも特段秀でている作品では無いと思う。
しかし、「LOST」で大出世したエヴァンジェリン・リリー演じるワスプの登場により、バディ映画としてアクションの幅が広がっているのが嬉しい。
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このサイズのキティちゃんラムネは驚異(笑)#アントマン #アントマンアンドワスプ #アントマンとワスプ観た pic.twitter.com/PFphidVa6Y
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特に、サイズが瞬間的に自在に拡大縮小を繰り返すことで、想像を遥かに超す超絶カー・アクションが展開。スピーディーな展開と、車ごと縮小しては、敵の車体の下で拡大して、敵を車ごと吹き飛ばすなどの、痛快さに、アントマン健在がガッツリ証明されたのにも安堵する。キティちゃんのラムネ菓子が巨大化する描写も、前作で汽車の玩具内という小さな世界で闘ったアントマンらしい可愛い描写が嬉しい。何より、このアントマンはテクノロジーの発想が夢があっていいではないか。ビルごとキャリーケース化できたり、視覚的に楽しむことができる。
このポイポイカプセル的な技術最高過ぎる!
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うだつの上がらない元泥棒男が段々と人間的に真っ当になって行く様子が描かれているのも興味深い。実は成長物語だったりする。もとは、彼は大義名分のあるヒーローでは無い。世界平和なんて興味もないだろう。あの利己主義の塊であるアイアンマンでさえも、多少はヒーローとしての宿命を背負っているというのに。アントマンにあるのは、娘への愛情だけ。立派な父親になることだけだ。
そういう40代の冴えない男が主役に抜擢される大作が作られるなんて素敵じゃないか。
日本に置き換えれば、この主人公はロスト・ジェネレーションに相当する世代である。非正規雇用とか結婚率の低下など、時代性が深く関わっている以上、この世代を総括的に駄目認定など当然できないが、順風満帆ではなかった人生、どこかアントマンと姿が被るところがあって、共感性もバッチリではないか。アントマンの姿は我々の投影でもあり、彼の成長は我々の夢でもあるのだ。
ただ、前作のように蟻の活躍がさほど描かれておらず、乏しいのが残念でならない。彼の仲間は、昨年2017年に日本で大問題になったヒアリであったが、その特殊な習性を活かした描写は面白かった。現実世界では繁殖しては困る外来種だが。今回は、蟻自体がアクションなどで重要な役割として捉われてないのが寂しい。
洋画の吹替え問題について
日本の配給は本当に学習しねえな!#アントマンとワスプ のワスプ役のエヴァンジェリン・リリーは海外ドラマ「LOST」の準主役ケイト役のお姉さんですけど、その時の声担当の高森奈緒さんがやらないと駄目!オ~ンリユ~ゥ~ウォウウォウウォ~じゃ駄目!声のイメージ強い! pic.twitter.com/kdccfvQiRP— ROCKinNET.com (@ROCKinNETcom) 2018年9月26日
※この先は多少のネタバレ含みますので未鑑賞の方は、ご覧にならないようお願い申し上げます。
マーベル映画ではお馴染みだが、エンドロールの後の短編EPでようやくIWと関連する描写が映し出されるので、席は立たない方が良い。トイレも我慢!(笑)
サノスの指ぱっちんの影響も描かれており(アントマンが量子世界にワープした実験中に、ワスプも、父マイケル・ダグラスも母ミシェル・ファイファーも例の塵となって消えてしまうのだ!)、量子世界からアントマンがどのように現世界に戻って来るのか、そもそも、誰がどうやって気付くのか、全ては来年2019年公開の『アベンジャーズ4』に向けて稼働し始めている。
(文・ROCKinNET.com編集部)
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