BTSが世界を席巻!しかし、これはK-POPブーム再燃では無い!
もはや、興味のあるなしに関係なく、エンタメを扱う者としては無視できない存在になっているのである。BTS(防弾少年団)が凄まじいことになっている。正直そんなに詳しいわけではない。K-POPのムーヴメントも6~7年前の2010年代前半、特に「江南スタイル」の異様な過熱ぶりでピークを迎え、それ以降はどれもアメリカの二番煎じのような楽曲ばかりでブームも終わったと思ったからだ。しかし、韓国出身ポップ・グループである、BTS(防弾少年団)が全世界を席巻中だ! 正直、アジア人のポップ・グループが欧米でここまでの成功を収める時代が来るなど夢にも思っていなかった。
これは、K-POPブームの再燃なのか? いや、それは違うと断言できる。世界基準で考えると、7年前のK-POPブームと、彼らの人気(楽曲セールスやライヴ動員)は比では無いのだ。彼らだけが頭一つ出た存在感を示している。
2作連続で全米ビルボードのアルバムチャートで1位獲得、米国ツアーのチケットが即時SOLDOUT、国連定期総会で演説をするほか、あの米Time誌が「次世代リーダー」に選出するなど、2018年は彼らの年だと言って過言では無い人気ぶりだ。
TIME’s new international cover: How BTS is taking over the world https://t.co/A55McykoQ5 pic.twitter.com/E1xiitCeZw
— TIME (@TIME) 2018年10月11日
いくら日本のきゃりーぱみゅぱみゅや、BABYMETALが米国進出を果たして成功を収めていると言えども、BTS(防弾少年団)がNYのシティ・フィールドで40000人を動員したのに対し(アメリカのスタジアムで初めてコンサートをしたアジア人ポップ・グループだ)、きゃりーぱみゅぱみゅはNYプレーステーションシアターの2000人(18年6月)、BABYMETAはテキサスのハウス・オブ・ブルースで約1000人(18年5月)というからケタ違いなのがよく分かるだろう。別に彼女らを批判したいわけではない、世界で活躍する人気の日本人歌手を出すことでの比較対象としての例だ。
ついこの前の2018年10月上旬では英O2アリーナ公演が行われ満員御礼で大熱狂だったことが取り上げられた。同会場と言えば、ローリング・ストーンズ級のスターが踏むステージだ。そんな会場で成功を収めることなど至難の業であることは言うまでも無い。しかも、アジア人の青年たちが成し遂げたには歴史的と言っていい奇跡でもあると思う。
英ガーディアン誌にいたっては、BTS(防弾少年団)を「21世紀のビートルズ」とやや大袈裟な表現で証し「彼らは自分たちの心理をそのまま歌詞に込めて社会的問題を扱い、同世代の若者たちを弁護している」と評価した。彼らは「LOVE YOURSELF」と自分自身を愛する運動を広めている。これに感動した、大女優ウーピー・ゴールドバーグは自身のトーク番組に彼らが出演した際に、その場で着ていたシャツを脱いでプレゼントするという場面もあった。
既にニッキー・ミナージュとのコラボが話題となったが、今度は、世界的な人気DJアフロジャックがBTS(防弾少年団)とのコラボを熱望、「彼らの音楽は未来のポップを担うもの」と称している。
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国連定期総会でスピーチ!「Love myself」を訴える!
国連定期総会でリーダーのRMは「これからは全世界の若い世代が自分自身を愛していると堂々と言って、自分自身の声を出そう(Speak yourself)。国、人種、性的アイデンティティなどに関係なく、自分自身について話して、自分の名前と声を見つけてほしいです。僕はBTSのRM、キム・ナムジュンで、韓国のアイドルであり、人並みにミスもして、完璧ではないですが、これからは自分自身を全力で受け止めて、少しずつ愛していこうとしています」と語った。
江南スタイルのように楽曲が話題になっただけではなく、国連でスピーチしちゃうところが彼らが2018年確実に世界を席巻した証明でもある。自分を愛せ(love yourself)という一貫したスタイルが現代の時代性にマッチしたのかも #BTS #防弾少年団 pic.twitter.com/rJTd1WVPde
— ROCKinNET.com (@ROCKinNETcom) 2018年10月18日
あのジャスティン・ビーバーを抑えて・・・
欧米サイト調査でメンバーのVがハンサム男1位に選出
他には、メンバーのVが「世界で最もハンサムな男」の1位に選ばれた。ジャスティン・ビーバーが3位で、ハリー・スタイルズが7位、ショーン・メンデスが8位であるにも関わらずだ。韓国の青年がLAのエンタメサイト調査のランキングでビジュアルを評価されるなんて信じられない。欧米人にとってアジア系は所詮はイエローモンキーとしか見られていないものだと思っていたのに、時代は変わったものだ。
世界で最もハンサムに選ばれたBTS(防弾少年団)のV君。
このグループって先のK-POPグループよりも顔面偏差値低いよね?笑
彼だけイケメンなのかな? #BTS #V #防弾少年団 pic.twitter.com/H6Kvj7xsBx— ROCKinNET.com (@ROCKinNETcom) 2018年10月18日
また、米音楽賞アメリカン・ミュージック・アワードではテイラー・スイフトがアティースト・オブ・ザ・イヤーを受賞。カーディBがフェイヴァリット・アーティストを、新人賞はカミラ・カベロなど、米国を代表するアーティストの中で、BTS(防弾少年団)はフェイヴァリット・ソーシャル・アーティストを受賞。AMAの歴史において初のアジア人受賞となった。
彼らが成功した理由とは何なのか?
SNSの積極的使用
そう、彼らの成功の大きな要因として「ソーシャル」というワードを欠かすことはできない。ファンとの交流をいち早く取り入れ着実に人気を拡大していったのだ。SNSにはマネージメント的なものが一切ない日常の彼らの姿が曝け出されている。通常、韓国のアイドルグループは個人のSNSアカウントを持たない。下手なことを言って炎上されては困るからだ。事務所が禁じているのだとか。それを逆手にとって、BTS(防弾少年団)はプライベート写真や楽屋裏の様子などを数多く配信していた。これが、徐々に人の目に触れることも多くなり、昨年2017年にはあのジャスティン・ビーバーを抜いて「最もツイートされたセレブ」のトップになり、世界規模で着々とファンを増やしていった。SNS戦略が吉と出たことが大きい。また、このSNSの普及率というのも、BIGBANGやSHINeeの全盛期の時との差でもある。
自己受容(Love yourself)とトランプ政権下の抑圧意識のマッチング
次に「自己受容」という点も忘れてはならない。全米ツアーを観に来た18歳のメキシコ系アメリカ人の少女は「自分のような純米国人ではない者に対するトランプ大統領の攻撃的なスピーチ」を引き合いに出し、自分に自信が持てない時に彼らに出会って勇気づけられたと言う。特に○○系アメリカ人と呼ばれる人や移民にとっては、特に青少年は尚更、トランプ政権下において(大統領自ら発する)差別的な発言や、扱いを受けることも多々あろう。多感期に自国のトップが自分を認めないような発言をする恐怖は計り知れないが、BTS(防弾少年団)が提唱する「ラブ ユアセルフ」のスタイルは、そんな国籍や人種や性別を問題視せずに、多様性を受け入れる理想を目指しており、まずは自分を受け入れる重要さを訴え続け、これがアメリカ人の心を掴むのに成功していると思われる。今のアメリカの若年層は自分自身に自信を持つことが課題であるからだ。『クレイジー・リッチ!』なんてアジア人俳優だけ出ている映画が記録的なヒットをするなど、アメリカ人のアジア系に対する寛容さが少しでも生まれた時代背景もあるかもしれない。
韓国と中国の関係悪化と、7年前のK-POPブームで完成された土壌
2016年以降、韓国と中国の関係悪化によりBTS(防弾少年団)の中国内でのツアーが不可能になり、新たなマーケットとして浮上したのがアメリカを含む英語圏だったとのことで、事務所が欧米でのプロモーションに猛プッシュをかけたことも大きいだろう。先のK-POPブームが土台となり「江南スタイル」で韓国を十分にアピールできた分、異国の彼らが受け入れられる土壌が出来ていたというタイミング的な運の良さもあっただろう。
BTS(防弾少年団)というのは、彼らのスタイルや時代性が奇跡的にマッチングしたことで生まれた韓国スターである。下手したら近年中のスーパーボウルのハーフタイムショウやグラミー賞でパフォーマンスするなんて日が来るかもしれない。本当に凄まじいことである。
(文・ROCKinNET.com編集部)
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