北米の興行収入3週連続1位で話題沸騰。
オールアジア系俳優を起用した作品としては異例中の異例な快挙。
1億ドルは軽く超えるだろうという見込みでマーベル級のヒットとなっている!
まさしく、クレイジーな現象を巻き起こしている『クレイジー・リッチ!』。
映画という娯楽が富裕層に向けた媒体であるなら、こういう映画も文句はないけど、虚構を通して庶民の日常を彩り豊かにするのが映画だと思っている俺にとってはアホ丸出しな成金映画だった。けど、そこから発想をぐるりと転換して、如何にも独身女子やゲイ受け抜群の愛憎劇を楽しむものとすれば、これはこれでアリかもと思える。要は鑑賞する側の姿勢も肝心。
応援してしまう理由はヒロインの嫌味のないブス加減にある(*≧∀≦*)
御曹司と結ばれる美女の物語なんて嫉妬しか生まないから!#クレイジーリッチ pic.twitter.com/kBkc2mMe7z— ROCKinNET.com (@ROCKinNETcom) 2018年10月1日
とにかく主演の女がブス。レニー・ゼルウィガーを最初に観た時の違和感にも似た感じ。顔が古臭い。個人的に全然世代ではないのでいまいちピンと来ないが「男女七人夏物語」の池上季実子をどこか彷彿とさせる古臭さも併せ持っていると言う先輩方もいた。っていうのも、この映画はとにかくバブリー! 船上でシャンパンがドッカンスッカン空けられ、札束がヒラヒラ舞うような、キラッキラしたバチェラーPARTYを繰り広げるなど、今の中国バブルを象徴するかのようなシーン満載で、見てて気恥ずかしささえ思えるほど遠慮とデリカシーが無い、良い意味で。それだけ振りかぶっているのも人気の由縁だろうか。
そういったブルジョアたちが繰り広げる景気の良い話だけに、80年代の日本のバブル期のドラマと重なる人がいるのも無理はない。池上季実子なんて未だにバブル顔だもんな(笑)
あんなに嫁姑問題とか嫉妬虐めに苦労してるけど、御曹司が小島よしおなんだよなぁ😅
金さえあれば、そんなの関係ねぇ? #クレイジーリッチ pic.twitter.com/a4VdlzAZAR— ROCKinNET.com (@ROCKinNETcom) 2018年10月21日
そして、そんな主人公が必死に恋愛成就させようとするのが小島よしお。これまた、微妙なルックス。中国系俳優って美男美女いないのか? ま、とにかく金持ちで有名人だから、顔が悪くても「そんなの関係ねえ」ってか? そんな彼氏を持ったもんだから女友達やら、彼氏の母親やらからネチネチと嫌がらせされるわけだ。アクションという概念を変えた『グリーン・デスティニー』のミシェル・ヨーが、その姑を演じているのだが、これがダース・ベイダー並みに怖い。敵が強ければ映画は面白い。この映画の面白みは彼女にあると思った。
ヒロインの恋の最大の障害であるミシェル・ヨーが姑以上の、もはや魔女🧙♀️
相変わらず良い味出してるわ姉さん!#クレイジーリッチ pic.twitter.com/sDgKEg5Ul2— ROCKinNET.com (@ROCKinNETcom) 2018年10月1日
そんな妖怪姑ババアが拘るのは、主人公の薄らブスが「中国系アメリカ人」であるという点だ。ココ重要。姑は純粋な中国人。伝統やしきたりを重んじる保守的な彼女にとって、主人公はあくまで国籍がアメリカの外国人であり、異質物であると。そんな異質物を自分の家系に入れる訳にはいかない。主人公は裕福ではない家柄的にも余計に気に入らない。
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加えて、例えば中国系アメリカ人の主人公が、中国人でありながらも、中国人としても認められず、アメリカでも肩身が狭いといったモヤモヤに悩む姿は、米国内に多く存在する○○系アメリカ人とか移民の共感を得ることは想像に易い。『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』で主要人物を演じ、心無いヘイトを受けたアジア系女優ケリー・マリー・トランのように、やはり○○系と呼ばれる人たちは差別されている。#metooだの、#TimesUpだの、黒人人権だの、LGBT合法化だの率先して言ってる割には、こういった差別意識は根深く残っている。皆モヤモヤしているのだ。
もちろん、これはアジア系だけに止まらない、中東系、欧州系、みんなそう。この映画の空前のヒットの最大の要因は、そういう抑圧された○○系と呼ばれる人たちのアイデンティティの解放感と高揚、その反映なのではないかと感じずにはいられない。
それらを豪華絢爛なビジュアルと、お馴染みのヒット曲の中国語カヴァー、堂々としたアジア臭全開で魅せるという今までハリウッドには無かった手法で、振りかぶった『クレイジー・リッチ!』こそ、古い慣習によって差別に苦しむ人の励みとなり、人種や国籍について柔軟な考えを世に提示したという点では、2010年後期の時代性を鑑みても、重要な映画だと言えるだろう!
“カメラを止めない”ことに注目している、島国育ちの日本人には届かないだろうが。国籍とか普段は意識しないだろう問題でも、これから2020年の東京五輪が近付くにつれ、否応にも外国人が多くなっている現状だからこそ、この映画で感じることは多いはず。アメリカでの大ヒットを余所に見向きもされてないけど、ま、観て損はない。
(文・ROCKinNET.com編集部)
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