邦楽

CDJ1819で大量発生した「あいみょん地蔵」で垣間見えた若いマナー違反客の現実

© AIMYON

昨年末から4日間開催されたCOUNTDOWN JAPAN 1819だが今回も大盛況で幕を閉じ、国内最大級の年末年始の音楽イベントとしての面目を保てた気がする。動員数も過去最高を更新し続けられるのは、屋内でも観客を飽きさせまいとする発想と工夫、観客の快適さを追求する主催者側の絶え間ない努力と気配りに他ならないが、時として主催者側の想定外の現象が起きたりもする。代表的なのは、動員数や観客のマナー問題である。

時代の寵児あいみょんの凄まじい人気ぶりが印象的だった

その時の人気と比例するようにステージの規模が大きくなるように検討・考慮されているはずだが、時にはその予想をも遥かに超える観客が集結しステージ会場に入りきれずに入場規制が掛けられたりする例が稀にある。CDJ1819でもそれは起きた。あいみょんである。もはや、彼女は時代の寵児とも言うべき存在だ。同フェスで二番目に大きいステージであるギャラクシーステージでの登場にも関わらず、彼女の出番前には既に会場はギュウギュウ。階段まで人混みで溢れかえり、演奏中にも関わらず、外廊下には、まるでパチンコ屋の開店のような長蛇の列ができ、反対側のフードエリアでは音漏れを聴くのに大勢が詰め寄せていた。ここまでの現象は近年なかなか無いことである。

電気グルーヴに微動だにしない「あいみょん地蔵」大量発生!

しかし、問題は、あいみょん見たさのためにステージ前方に居座る人が多かったことだろう。彼女の出番前の電気グルーヴが始まる前から既に20歳前後の多くの若者が集まっていた。自分は普通に電気グルーヴでも聴いてワイワイ踊ろうかと思っていたのだが、それが出来ないことに気付いた。誰一人微動だにしないのだ。電気グルーヴはテクノである。ダンス・ミュージックだ。あれだけの人が集まれば体を揺らす程度のことしてもいいと思うのだが、じ~っと時が流れるのを待つ若者たち。見かねたピエール瀧が「あいみょんまで、もう少々お待ちください」と言う始末。

いわゆる

あいみょん地蔵!

しかも、その地蔵たちがめちゃくちゃ若いから余計に衝撃を受ける。
もはや、あいみょんは地蔵を量産化できるほどの存在になっているのだ。流石はカリスマ。いやいや、感心をしている場合ではない。
フェスでの地蔵といえば、滅多にフェスに出ない人気アーティストのファンの印象が強い。そんな違反者が続出し、平然と場所取りすることで批判が起きるのがお決まりの展開。なのに、フェス慣れしてよう若い世代がこぞって地蔵化したのだから無視できない問題だなと感じたわけである。

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日本トップ4バンドのファンがフェスで起こしたマナー違反事件

Mr.Children

フェスでの地蔵問題で有名なのが、2013年のサマソニでのミスチル地蔵である。音漏れを聴きにマリンスタジアム周辺を多くのファンが囲み座り込む異様な光景に驚いたが、本当に凄かったのは会場内だった。会場内ではスタンディング・ゾーンに、シートを敷く強者がいるかと思えば、大きな荷物を置くわ、折りたたみ椅子にどっかり座り込む中年ファンの姿も。当然、彼らにしてみれば訳の分からない外人バンドに興味も湧くわけなく盛り上がるはずもなく、スマパンのビリー・コーガン(Vo)が「前座を見に来てくれてありがとう」と皮肉を言ったくらいに酷かった。

サザンオールスターズ

05年のロッキンに初登場した際に多くのファンが詰め掛け、サザンのライヴ待ち状態に。前に出ていた坂本龍一の時には既にグラスステージの1/3近くはサザンファンじゃないかって勢いだった。これに見兼ねた桑田佳祐は同年に発表した『キラー・ストリート』収録の「夢と魔法の国」という曲中で《場所取りするのに駆け込むお前(中略)迷惑なのは連れ出せ!!(中略)お前はかなり無礼な淋しい奴だよ/夢はみんなで創るものだろう?》と暗にマナーの悪いファンを批判している。17年と18年のロッキン時はファンも歳を取って酷暑を避けたか、発表が最後だったからか、そこまでマナー違反も目立たなかった。

B’z

17年のロッキンに初登場した際には案の定、前方には多くのファンが詰め掛けていたが、その前がマキシマムザホルモンだったりしたので地蔵を気にするどころの騒ぎじゃないくらい会場はモッシュ地獄と化していたので、さほど批判も飛ばなかった。ただ、09年のサマソニでは前出演のフーバスタンクの時に既にB’zファンが押し寄せ会場は地蔵の集まりに。ファン層は中年女性が多いようで最前付近で「痛い!押すな!」とキレたり、立ち止まり禁止の通路に座り込んだりして、係員が注意しに行ったら、後方から拍手が起こるほどだった。19年の夏は平和に終わることを願っている。

DREAMS COME TRUE

16年に明治神宮の野球場で開催された、自身主催のフェスでは99%がドリカムファンだった。気の毒なのは他のアーティストだ。一番手のレキシも「アウェイ過ぎる」と散々愚痴っていたが、得意のトークで客の心を掴んでいたのが流石だったが、続く「ワタリドリ」のヒット直後の[Alexandros]でさえも人がまばらに捌けて行き、トイレタイム、座って弁当タイム、喋り声で演奏が半分しか聞こえないほど会場は井戸端会議状態。その当時、知名度が全くなかったsuchmosに限ってはステージ目の前のブロックでも居残っている客率は10%もいないほどスカスカ。その上、自分の子供世代の係員に注意され「んだこらぁ」とメンチ切りながら詰め寄るおじさんを目の前で見て萎えた。夢を歌うドリカムのファンって中に、そんなのもいるの?と少しばかりショックだった。

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あいみょん地蔵でふと感じる
果たして地蔵問題は年齢やフェス慣れが問題か?

このように、キャリアの長い大物アーティストのファンほど場所取り(地蔵化)などマナー違反することは多いように見受けられがちだ。当然、ファンの年齢層も比例して高い、だから目立つ! 若い観客の中を、その親かそれ以上の人間が詰め掛ければ、瞬時に誰のファンだか察しが付くから。余計にマナー違反が目立ってしまう!
しかし、そもそも場所取りって言ってみれば多かれ少なかれあるものだ。人気がどれほどあるかないかはさて置き、今も昔もフェスには付き物であるのだ。で、今回のあいみょん地蔵を見てて思った・・・・・・

結局、地蔵に年齢もフェス慣れも関係ない!

ちょっと今回の「あいみょん地蔵」の若者たちは残念だった。実際に、様々なフェスの現場でフェス慣れしていないマナー違反のみっともない中年を見かけたことも多々あったので、比較的マナーの良い若い世代に感心していただけに少し微妙な気持ちになったというのもある。数年前に山梨の某フェス(バレバレ笑)の帰りのバスで、某大物バンドの中年ファンがなかなか動かないバスに苛立って運転手を怒鳴るわ、後部座席陣取って酒盛りで大騒ぎするわで、当時20代前半の自分も血気盛んだったので、ひと言ガツンと言ってやろうとして友達に羽交い絞めされて止められたこともあったくらいで(笑)フェス黎明期の若い世代は、とにかく文化の創造に自分たちが携わってる意識が無意識化に自然に言動に表れていたのかも知れない。

しかし、今のご時世、フェスも絶頂期を迎え様々な観客が来るようになった。結果、ミスチルやサザン、B’z地蔵然り、「あいみょん地蔵」然り、自分が見たいと思えば、若かろうが年寄りだろうが、観客は己の私欲のために他者の迷惑を省みずにグイグイと最前列を陣取ったり、興味なければ微動だにもしない・・・・・・

人間なんて所詮みんな同じやッ!

言ってみれば、マナーの問題は個人の問題である。フェス慣れしていない観客にマナー違反者が多いことは理解するが、肯定もしない、ただ、時として旬のアーティストともなれば、それ見たさにフェス慣れした若者だろうがマナー違反者は大勢出て来る。フェス常連客も今一度マナーを考え直す時が来ているのかも知れない。少なからず、興味の無いアーティストでも観る限りは敬意を払うというのが観る者の態度でなくてはならないと今回のあいみょん地蔵を見ながら感じた。

しかし、そんなアウェイの中で、誰もノッてもいないのに電気グルーヴは、「元気が出るテレビ」で一世風靡?した元祖オネエタレントの日出郎をゲストに呼んで「エクスタシー得るなら肛門よ」と歌う光景のシュールさには個人的にはかなりツボだった(笑)

(文・ROCKinNET.com編集部)
※無断転載・再交付は固く禁ずる。引用の際はURLとサイト名の記述必須。

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