全身の骨がガラスのように脆いサミュエル・L・ジャクソン、24人もの人格を有し、その内に驚異の戦闘能力を持つモンスターをしのばせるジェームズ・マカボイ、不死身で触れた者の素性が分かる超能力を持つブルース・ウィルス。18年前にもなる(覚えてる訳ねえだろ)2001年の『アンブレイカブル』と、2016年『スピリット』の物語を継承する完結編が、この映画ってわけだ。遂に、シャマラン監督まで、マーベルよろしくフランチャイズ映画を手掛けたと聞けば映画ファンなら黙ってる訳にはいかないだろう。俺は『シックス・センス』を高校生の多感期にリアル・タイムで観た世代なもんで、未だに彼を天才監督だと思う節が僅かながら残っている、僅かね(笑)
彼らの超能力は虚構であることを立証しようと、この超人三人を監禁して「あなた達の思い込みなのよ!」と女医さんが超人否定するって話ではあるんだけど、それの何に面白みを感じるべきなのか?うん、流石の俺にも分からんですわ。ただ、この映画がシャマラン監督への愛があるかの踏絵になる作品だなと感じたのは、どれだけシャマラン流のB級加減を許せるのか観客が試されてるんだと。
個人的には『ヴィジット』のような、こじんまりした田舎町が舞台であることが表しているように、シャマラン作品は小劇場ノリだから良きだと思っているので、この薄味なアクション映画も、これはこれでOKなんだ。シャマラン自身も低予算に拘ってるし、目指すべき所がスピルバーグでなく、ヒッチコックであるのも想像するに易い。
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そもそも、シャマランはアクション監督では無い、サスペンスやスリラー監督である。それを前提に観れば、ずっと車椅子で無言のサミュエルが暴れ出すシーンにはニンマリとしてしまうだろう。あれこそ、シャマランの持ち味である。
で、オオサカタワーなる謎の建造物が完成間近という前振りをしておきながら、そのタワーを出してこない謎の采配。これもシャマランらしい。タワーで大乱闘なんて、まるで『アベンジャーズ』的なことをしちゃうと、それこそ他のアメコミ大作と差が無くなる。この映画はシャマランのアメコミ美学が凝縮されてて、それは世界を席巻してるマーベルのような万人受けの良いスーパー・ヒーローではなく、もっとマニアックな域で、人知れず路地裏で活躍してるようなアメコミ世界こそ彼のヒーロー論だと窺い知れるので、病棟の庭で格闘する安っぽさで正解なのだ。
そして、まさかのオチが待っている。
シャマラン流スリラーは成功してると言えない者は映画ファン失格な!
(文・ROCKinNET.com編集部)
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