映画レビュー

『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』MCU新章への布石を青春テイストを崩さずに描いた傑作続編!

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※注意※
当記事は映画の結末には直接触れてはいませんが、多少のネタバレを含んでいますので、未鑑賞の方は読まないようにご注意願います。読むか否かの判断は読者様に委ねさせて頂きます。

映画史に残る名作にして歴史に残る興収を挙げた『エンドゲーム』の感動も冷めやらぬ間に、その続きの物語が見れる至福さに喜びを覚える。スパイダーマンの続編にしてMCUフェーズ2の完結編であり、次のフェーズに繋がる最重要作品が、この『ファー・フロム・ホーム』だ。いわばアイアンマンが中心となって進行してきた12年から次の新時代への継承である。

それらは全てピーター・パーカーの成長にあった!

ピーターである必須条件は三個しかない。「未熟」「非モテ」「オタク」だ。『インフィニティ・ウォー』で、あれだけ人間離れした決闘をしていながら、今回の続編『ファー・フロム・ホーム』では、人類を救うことよりも好きな女子を振り向かせるのに躍起になっている冴えないイカ臭い青春日記の体を成してるのが憎めない。スパイダーマンはこうでなくちゃ!


ニック・フューリーによって夏休みが台無しになっていくわけだが、ピーターは普通の高校生として生きることを望んでいる。未だにヒーローとしての覚悟が出来ていない幼稚さがアダとなって、大人(前回はトニー、今回はニック)から説教喰らわせられ落ち込む展開は前作『ホームカミング』でもあったお決まりネタ。その弱さに付け込まれ、大人のずる賢さに騙され、窮地に追いやられていく。

しかし、そこでピーターは改心し立ち上がる!
もうアイアンマンの助けは無いのが前作との大きな違い。
それでも勇敢に挑もうとする姿にピーターのヒーローとしての、人間としての成長を感じる。このカタルシス、前作の苦悩や『インフィニティ・ウォー』での必死さ、『エンドゲーム』での喪失感を共有している身としては感慨深い。スターク社のシステムをアイアンマンのように操作するピーターの姿を見つめる、ジョン・ファヴロー演じるハッピーの眼差しは、まるで同志トニーに重ねていたようなだった。アベンジャーズの未来、MCUの次世代フェーズへの希望を感じさせるシーンだったように思える。

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今回ジェイク・ギレンホールが演じる敵ミステリオは、前作『ホームカミング』のマイケル・キートン同様に、資本主義の勝者であるトニー・スタークに蹴落とされた、経済的ヒエラルキーの犠牲者でもあった。いわば、トムホ版スパイダーマンはスターク社の尻拭いをさせられているわけだ。
アイアンマンとピーターの間には宿命めいたものがあるように思える。それは、ピーターが父親から何も学べなかった少年と言う生い立ちが大きいだろう。叔母との二人暮らしで愛情を注がれ、満足な教育も受けられているが、誰からも父性を感じずに成長した。どこか弱腰な部分は、そういう成長的欠如の影響かも知れない。その男親からの影響をトニーから感じていたのかも知れない。

劇中でもマスコミ記者から「次のアイアンマンは貴方ですか?」とか「アベンジャーズはどうなる?」とか怒涛のように質問されるも、どう振る舞えばいいか分からず困惑していたピーターだが、本作はその回答は明示していない。しかし、本作を観る限りスパイダーマンがトニーの意思を継ぐ正当な後継者だと思えて仕方ない。

トニーを継承者を提示し、ロスから解放させ、MCU新章に希望を持たせてくれた本作『ファー・フロム・ホーム』には感謝しかない!

(文・ROCKinNET.com編集部)
※無断転載・再交付は固く禁ずる。引用の際はURLとサイト名の記述必須。

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