世界的アーティストから国内カリスマバンドまで充実のラインナップ
梅雨が長引き比較的気温が低い2019年の七月。梅雨明け前にフジロックという珍しい年となった。サマソニは日本勢を優遇する傾向にあるが、フジロックの方針はズレない! あくまで聖地として、その場に鳴るに相応しい音楽だけをチョイスしているところが流石としか言いようがない。今回は初日だけの参加となり、且つ新幹線組なので全てのアーティストを観れたわけでは無いが、今年も素晴らしい祭典となったフジロックの記録を振り返りたいと思う。
じゃない方のレッチリで幕開け!アン・マリーも素敵だった!
レッチリはレッチリでも「じゃない方」のレッド・ホット・チリ・パイパーズで華々しく幕を開けた今年のフジロック。バブパイプを主軸とするバンドで有名な曲を独特のアレンジで聴かせる様は斬新で楽しい。そのレパートリーはQUEENからCOLD PLAY、AVICIIと抜かりない。WALK THE MOONの「Shut Up and Dance」ちょい懐で良かった。
続くアン・マリーはフリフリの衣装で登場。着実に注目度を集める彼女、今のポップ・シーンの王道を目の前で確認できる至福感に溢れるステージだった。ステージを縦横無尽に駆け巡るステージングは肉体的で華奢なアイドルとは一線を画す。あんまり(アン・マリーだけになんて親父ギャグは絶対に言わない)女性らしいcuteさは感じなかったが、腕っぷしが良さそうな体型だけに迫力があった。デヴィッド・ゲッダとの「Don’t Leave Me Alone」を聞くとヒット曲の持つ共有力ってのは凄いと再確認する。
意見を発信し続けるフジロックの姿勢こそ世界に選ばれる由縁
ここで小休憩(なんせ開演2時間前から会場入りしてるので疲れた)
アトミックカフェに顔を出す。津田大介氏がアジカンの後藤などを呼び辺野古についての意見を交わすトークショー。ここでは意見を明示しないが、大事なのは単なる娯楽イベントに終始するのではなく、フジロックは意見発信の場であるという点だ。他でライヴが開催されているにも関わらず数百人の聴衆が集まっていた。世界が誇るフェス第三位に選ばれる由縁を感じた。
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加山雄三御大の現役感が凄かった!圧倒のロック・ショー!
ROUTE 17 Rock’n Roll ORCHESTRAを観る。OKAMOTO’SのショウやGRIM SPANKY、仲井戸“CHABO”麗市などゲスト・ボーカルが登場。王道のロック・ショーが楽しい。中でも、リアム・オ・メンリを観るというのは貴重な体験で、音獣と呼ばれる彼がリズムに身を任せ踊り身体で音楽を表現する様の圧倒的オーラに酔いしれた。そしてラストを飾ったのが加山雄三。82歳にして容姿も歌声も変わらない国民的スターは以前「僕にとってフジロックはロック好きなお客さんと喜びを分かち合える場所」と言っていたように、ロックに対する敬愛を感じるオールディーズを披露。そして、「蒼い星くず」のサービスも。説明不要の国民的名曲に夏を感じる。「マイウェイ」もすこぶるカッコ良い。貫録のステージをこなした御大に拍手!
そして、レッドマーキーに移動し、オリジナルラブ。ベテランある彼が如何にロック・ミュージシャンであるかを証明するかのようなギター・ロックが連投される。何より彼自身が楽しそうだったのが印象的だった。代表曲「接吻」の大合唱は良い意味でフジロックらしいなと思った。こういう、平成生まれ一切カットな感じもいいね、たまには(笑)
女優としても成功するジャネールの本気の音楽ステージに圧倒
まるでジャネット・ジャクソンの若い時を観てるかのような圧倒的な女王感が増したジャネール・モネイも凄かった。複数の女性ダンサーを引き連れ、ヘッドライナー級のR&Bショウを展開、自分のセクシャリティに正直に生きる彼女は音楽を通じて性差別や黒人差別と闘う。女性器を模したようなパンツを履いたり様々な衣装と舞台チェンジを経ながら、それをフジロックのステージで表現してくれたことに脱帽としか言えなかった。八ウッド女優としても成功している彼女は間違いなく、世界一のブラック・ウーマン・パワーを持つ存在に思える。
11年ぶりのフジロック!世代を超えるカリスマELLEGARDEN!
そして観客の中でも圧倒的にファンが多かったELLEGARDENの登場だ。11年ぶりのフジロック。リアルタイムのファンとしては感慨深いものがあるが、観客は若い世代が多い。彼らが休止していた10年間でフェスも客も様変わりした。これは細美武士(Vo/G)も少し言っていた。同調圧力的に動きが統一された観客のノリ、この日も多少はそんな光景も垣間見れたが、若い世代に受け継がれていくことの凄まじさ・カリスマ性は純粋に凄いし、自分の青春が新しい世代によって更新されていくこと、その場に自分もいれること、これ以上ない至福さだ。
彼らの出番前でこの日最も雨が強まったこともドラマチックに感じる。「Fire Cracker」に始まり「Missing」「風の日」「ジターバグ」と往年の名曲が披露されていく中感じたのは、昨年の復活の際の幕張公演よりも明らかにバンドの演奏が盤石になっていたことだ。もしかしたら、復活後は活動なんて無いかも知れないと感じたが、2019年僅々のフェス出演を実現してくれた喜びはひとしおだ。高橋(Dr)や生形(G)が「また(エルレとして)ここに戻って来れると思わなかった」と言ったのに対し、細美が「俺は絶対に自分のバンドでここに戻って来る」と言ったエルレに向き合う姿勢にエルレの将来性が垣間見れて感動的だった。
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本当はケミカル・ブラザーズ、トム・ヨークのソロと是が非でも観なければならないパフォーマンスが残っていたのだが、終電と眠気と疲労の限界で惜しみながら会場を後にした。Cococ壱で福神漬だけ食べてカレー食べずに帰るような真似した気がする(例えが下手か!)。
また来年!
(文・ROCKinNET.com編集部)
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