この夏、日本に『天気の子』旋風吹き荒れる!
タイアップコラボは7社!正に社会現象!
興行収入が120億円を突破し、大ヒットを記録した実写版『アラジン』を抜き去り、2019年の国内映画興収でトップになった新海誠監督の『天気の子』。カップヌードルやソフトバンク、ミサワホーム、天然水、ロッテ、Z会、バイトルなど、コラボタイアップは実に7社にも及び、この夏は(今もなお)主題歌「愛にできることはまだあるかい」を耳にしない日は無いくらい日本を席巻した。日本中が熱狂したヒット作は興収ランキングの上位をキープしており、まだまだ『天気の子』旋風は続きそうだ。
前作『君の名は。』の評価は低かった!
国内映画賞から総スカンを喰らった屈辱
興収250億円以上を記録し、国内興収歴代第二位となった『君の名は。』に続く特大ヒットを記録したことで、新海ブランドが確立したと言っても過言ではない状況になっている7しゃ。気になるのは『天気の子』が映画賞に如何に評価されるかだ。ただ、『君の名は。』は、その年の日本の主要映画賞から総スカンを喰らっている。日本アカデミー賞は作品賞にもノミネートされないどころか、長編アニメ賞も『この世界の片隅で』に負けている。ジブリの『千と千尋の神隠し』がアニメ賞でなく、作品賞を受賞していることを考えれば、如何に『君の名は。』が、候補にも挙がらずに、意識的に避けられたか感じるだろう。結果、音楽賞、脚本賞(アニメ作品が受賞するのは異例とのことだが)、話題賞に留まり、映画専門誌「キネマ旬報」のベスト10でも圏外と映画の権威からの評価が低いことが分かる。
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米国アカデミー賞でも箸にも棒にも掛からず不発に終わる
では、海外ではどうか。実は『君の名は。』は世界的にヒットしており、北米でも興収は約6億円と特筆するほど高くは無かったにせよ、評価は相応に高かった。しかし、候補年の審査対象になったものの、第89回アカデミー賞候補にもならなかった。代わりにジブリがオランダの監督と組んだ『レッドタートル ある島の物語』って何だかよく分からない作品が候補になった。
焦り過ぎ?オスカー出品タイミングが完全にミス!
その理由としてはアメリカ内でジブリ信者が多いことも挙げられると思う。そのジブリがディズニーと組んでることも相当強い。また、審査対象になったとはいえ、日本国内での追い風のまま勢いで出品を急いだことが大きいと思われる。その年の候補作の発表が2017年1月24日。北米公開が決定したのが11月7日で、実際の公開が12月2日~8日。しかも、米ロサンゼルスのレムリ・ミュージックホールというマイナーな小劇場での限定公開。その後、本格的な上映(200館以上)は授賞式後の4月7日からであるから、如何に作品の認知度を広めるとか、評論家から真っ当な評価を受け、大衆からの評判を待たずして出品したことが分かる。
完全にタイミングミスである!
で、今回の『天気の子』でも同じようにオスカーを狙ったとは思えない出品の仕方をしている。
『天気の子』長編アニメ部門以外で出品するという凡ミス!
まずは、日本映画の代表として、「長編アニメ部門」以外に「外国語映画賞(名称が国際長編映画賞に変更)」に出品してること。ジブリの『もののけ姫』『平成狸合戦ぽんぽこ』が、同対象で出品し見事に候補落選している。同賞はアニメの出品も認められているものの、言わずもがな、米アカデミー賞は94年の『美女と野獣』が作品賞にノミネートされた以降、実写映画とアニメ映画を別分野として切り離して考える傾向にある。アニメ作品を日本代表として出されても拒否反応は必ず出るだろう。実写映画を退けてアニメ映画を出したのはハッキリ言って失敗だ。長編アニメとしての出品もあるが、散漫な印象を与えかねない。数打ちゃ当たる的な発想が悪印象に繋がらなければいいのだが・・・・・・。昨年の『ROMA/ローマ』の成功例もあるが、あれは各映画賞を総ナメにしていたので是が非でも何かしら当選させとくべき風潮もあった(監督がギョーカイ内で世界的人気の高いキュアロンである事情もあったかも知れない)、『天気の子』とは事情は異なろう。外国語映画賞での候補入りはまず無いだろう(オスカーの長い歴史を見てきても外国語映画賞のアニメ候補入りは過去に1度しかない)。東宝は本当に下手だ。
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オスカー会員の大半を占める高齢白人男性にRADWIMPSが受け入れられるか?
『天気の子』では劇中歌が流れるシーンが3箇所ある。新海誠の持ち味として、劇中歌をMVのように演出することが挙げられる。映画をよりポップにするに相応しい、素晴らしい演出だと思えるが、アカデミー賞は改善傾向にあるとは言え、まだまだ高齢の白人男性が多くの比率を占める。日本の高齢者にも理解はし難いだろうに、異国の高齢者にRADWIMPSの良さが評価されるかは甚だ疑問である。カントリーを好む層であるし。いや、老人どころか米国内の若者にも受け入れられないだろう。今のビルボードがラップ・ミュージックが席巻していることを鑑みれば想像に易い。今の新海作品はRADWIMPSの音楽で成している傾向もあるから、そこがネックになり得ないか不安は残る。
難しいとは思うが僅かな望みにオスカー受賞を掛けたい
ただ、『君の名は。』は、北米での評論家からは9割方好評だったし、確実に新海作品のファンも増えたという。可能性は0ではない。ジブリやポケモンでなくても、ディズニーが絡んで無くとも、今年2019年のアカデミー賞に細田守監督の『未来のミライ』が(長編アニメ部門だが)候補になったこともある。アメリカは次のジブリを探しているのかも知れない。ならば、新海誠の『天気の子』は、その王手に相応しい作品だと胸を張って言える。年末に向けて激化する映画賞レースから目が離せない。
(文・ROCKinNET.com編集部)
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