テイラー・スイフトとケイティ・ペリーが仲直り、チャイルディッシュ・ガンビーノがラップでグラミー史上初の主要部門受賞、リル・ナズ・Xやリゾなどtiktokから未曽有の大ヒット曲が続々誕生、クラプトンとジョン・メイヤーが日本武道館で共演、レッチリにジョン・フルシアンテ再加入、13年ぶりにU2来日公演など。昨年ほどの激動な出来事はなく平穏だった2019年の世界の音楽シーン。
この季節の恒例企画、優れた洋楽を独断と偏見で勝手にランキングでご紹介しますッ!
第10位「Dance Monkey」トーンズ・アンド・アイ
Googleやtwitter、Youtubeなど無料で手に入れられる物に溢れた世の中、我々は好きなだけ要求する。その裏にあるコストも知らずに・・・・・・ってなことを歌った曲。彼らが路上ライブでパフォーマンスした際に、当たり前のように「もう一度」と要求される。フリーウェアに文句意を言う、そんな創作を軽々しく扱う世の中で良いのか? 現代をよく捉えた視点の楽曲だ。
第9位「Old Town Road」リル・ナズ・X
今年最もラジオから流れ世界中でヒットし大論争を巻き起こした楽曲。tiktokから空前の大ヒットを記録するも、カントリーなのかラップなのか得体の知れなさが不思議な魅力をなして聴く者を離さないといった感じか。LGBTを公言している新鋭ラッパーのリル・ナズ・Xがジャンルレスな同曲で全米を論争に巻き込んだことも興味深い。音楽もボーダレスの時代なんだなと感じる。
第8位「British Bombs」デクラン・マッケンナ
UKロック・シーンには未だに風刺や反体制スピリットが根付いていることを、この20歳の若者が陽気で爽快でキャッチなロック・ナンバーで示してくれた。サマソニで観た時は攻撃的なパフォーマンスが最高だったが、結構ヤンチャなのかな? イギリスの武器貿易を批判する同曲は「戦争や武器の売買を止めるには複雑な事情があるとほのめかす大人がいるけれど、そんなのクソくらえだ!」と断罪。若者らしい鋭い視点が清々しい。
第7位「Lights Up」ハリー・スタイルズ
セクシャリティの定義も多様化が当たり前になりつつある中、依然としてLGBT擁護の姿勢を崩さないハリー。彼も非常に中性感が魅力的な男性である。この曲の公開日が米英でLGBTに対する認知を広める記念日と一緒だったため、ハリーをLGBT視する声も少なくない。けど、ハリーはそんなことも気にしない。確固たる信念を楽曲に反映させてる点が、他の1Dメンバーと異なり抜きん出ている理由だろうか?
第6位「7 rings」アリアナ・グランデ
映画『サウンド・オブ・ミュージック』の劇中歌「My Favorite Things」を大胆にサンプリングしながらも、アリアナらしいラップやファルセットも冴えわたる楽曲に昇華。アリアナ史上最大ヒットとなった同曲は、これまでのアイドル像を覆すような「チョイ悪女子」な部分が垣間見れる。《欲しいものは全部買うわ》《幸せなんて(高級部ブランド)ルブタンと同じくらいの価格よ》って、嫌味っぽいけどアリアナだから許される?
第5位「Sucker」ジョナス・ブラザーズ
この兄弟が凄いなと思うのは、6年ぶりの復活ではあるが、サウンド面で時流に過度に傾倒することなく《僕は君に夢中なんだ》とあざとい歌詞をリピートしながら、コーラス重視の確かなヴォーカル力で聞き惚れさせ、且つ、自分たちがかつて全米のteenたちの憧れのアイコンだったイメージを崩さなかったこと。バンド休止中の時間軸6年間も楽曲に反映し、成熟した男女の関係の楽曲に昇華されているのも巧みだ。
第4位「Sunflower」ポスト・マローン&スウェイ・リー
最初聴いた時は、さほど心に響かなかったが、段々とジワってきた。映画『スパイダーバース』の主題歌でもある同曲は女性を守るがゆえに離れがたい少年の歯痒さを歌い上げたものだが、サウンドも哀愁漂うメロウな曲調が印象的で、けど、ポスト・マローンお得意のメランコリックなメロディを感じさせつつ、キャッチーなのも最高だ。爽やかなメロディラインも癖になる。こういうのを最先端と言うのだろう。
第3位「I Don’t Care」エド・シーラン&ジャスティン・ビーバー
私生活でも仲が良いエドとジャスティンのコラボ曲。《僕らはPARTYに来ているんだ 本当はいたくないけど》と、ガツガツした感じではなく、アップビートながらリラックスした感じのメロディが心地良い。エドのメロディ・メイク・センスの確実性を感じたりする。タイトルの「I Don’t Care」だが、この楽曲中では2通りの意味を成している気がするのだが?「君がいれば悪いことは気にならない」と「君以外気にならない」。同曲中で意味が変わってくるところとか、すげぇセンスあるなと思う。やはり天才は何を作っても天才だ。
第2位「Senorita」ショーン・メンデス&カミラ・カベロ
公の体密着デートなんか当たり前で、tiktokではえぐい程のディープキスを配信するなど、今年2019年はこの2人のイチャイチャにどれだけ高揚させられたことか(ちょい悔しさもあるけど)。しかも、情熱的で官能的なスムース・ラテン・ラブソングを世界中でヒットさせちゃうのだから、恐るべきカップルだ。世界公認のラブラブカップル、来年破局なんてことないようにね? せっかくのいい曲が勿体無いから(笑)
第1位「bad guy」ビリー・アイリッシュ
驚愕でしかなかった。しかも、その驚きは瞬時に歓喜に変わる。00年代~10年代の20年間、延々と続いてきた、ポップとロックの主導権争いとか、世代別の論争も、そういう争いの中でポップ・ソングがどう姿形を変えて頭角を現すかだったのが、全部の価値観の集合体として彼女として現れた気がする。テイラー・スイフトとトム・ヨーク、ベックを聴く人をガッチャンコしちゃった、しかも、17歳の女の子が。通常は10代の女の子って世に出るためにブリブリなポップ歌ってっていうのを、彼女はいきなりアート性全開で出てきちゃったところも凄まじい。話は長くなる、とにかく新時代到来の称賛を捧げたい。
来年も素敵な楽曲に出会えますように、それでは、See you 2020!!
(文・ROCKinNET.com編集部)
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