コロナ禍により公開が予定されていた話題作や大ヒットシリーズが軒並み上映中止や延期に追い込まれ、未だにブロードウェイは劇場封鎖を余儀なくされている。世界的に映画界も大打撃を喰らったが、日本国内では『鬼滅の刃』が社会現象を巻き起こし前代未聞の最速ヒットを飛ばし、あの『千と千尋の神隠し』の興収記録を抜こうとしている(2020年12月22日現在)。
そんな2020年に劇場とNetflixで鑑賞した作品から素晴らしいと思ったものを厳選してご紹介します!
第10位『ワンダーウーマン 1984』
コロナ禍で久々に劇場でアメコミ映画を観れたことが何より嬉しい。80年代の過剰な消費主義を皮肉りながら人間の欲深さの危険性を、80年代の時代設定を通じて、現代に投げかけている風刺も含んだ超絶アクション。『シャザム』や『ハーレー・クイン』のような明るさには欠けるが、DCきっての女性戦士の活躍ぶりが超絶カッコ良かった。
第9位『ジュディ 虹の彼方に』
圧巻のレニー・ゼルウィガーSHOWだった。『オズの魔法使い』でスターダムにのし上がったジュディ・ガーランドの半生を描いた映画。愛を求め続ける主人公の暗部を観ると、『ボヘミアン・ラプソディー』『ロケットマン』と共通してエンタメで頂点を極めた天才たちの人生は、どこか未完成で脆くて切なく感じるからこそスターの人生は観てて愛おしい。
第8位『フォードvsフェラーリ』
圧巻のレニー・ゼルウィガーSHOWだった。『オズの魔法使い』でスターダムにのし上がったジュディ・ガーランドの半生を描いた映画。愛を求め続ける主人公の暗部を観ると、『ボヘミアン・ラプソディー』『ロケットマン』と共通してエンタメで頂点を極めた天才たちの人生は、どこか未完成で脆くて切なく感じるからこそスターの人生は観てて愛おしい
第7位『スキャンダル』
『バイス』なんかも最高な風刺だったけど、こういう最近の実話に基づいた話を実名用いて作っちゃうことが凄い。時たま見かけるMeTooを履き違えたフェミニズムの暴走にはウンザリ気味だが、実際に保守系メディアの筆頭FOX内で性的搾取され続けてきた女性達が立ち上がる本作は、性を超えた尊厳の映画として賞賛されるべき。これをトランプ政権下で作った意味合いも強かろう。正に今の時代の映画。
第6位『アイリッシュマン』
『グッドフェローズ』『レイジング・ブル』のように“成り上がり”物語を、70年代のアメリカ内の不穏な空気感を絶妙に捉えながらデ・ニーロ演じる主人公の半生と共にじっくり描いた重厚な映画を御年77歳で作り上げたスコセッシの反骨精神には脱帽しかない。この映画で描かれる人物像は、シチリア系イタリア移民の家に生まれアメリカ国内の映画界でのし上がったスコセッシ自身の投影でもある。それを、旧友であり盟友でもある大物たちデ・ニーロ、パチーノ、ペシが演じる、ある種のスコセッシの集大成。
第5位『タイラー・レイク -命の奪還-』
猛スピードで走る車を外部から平行して映すとか、次から次にギャングから奇襲を受けながらも、殴る!蹴る!撃つ!と肉弾戦を繰り広げ、最終的にはビルの数階から落下するなどの超絶アクションを至近距離で撮った映像の迫力が凄まじい。それらをやりのけたヘムズワースも凄い!カッコ良い!これが劇場で無くNetflixオリジナル映画というのは勿体無い限りだ。
第4位『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』
ウディ・アレンは素敵だなと再確認した映画。何の変哲もないストーリーを、小粋なジャズをバックに、ウィットな会話劇で魅せるアレン節は健在。どことなく『アニー・ホール』のように自分が演者として物語の中にいながら恋愛を描いてきたことを、今をトキメク役者陣に演じさせることで、自分のノスタルジーを描いたのかなと。シャラメが素敵すぎる。
第3位『グッド・ボーイズ』
思春期になって誰しもが通る性への興味をベタなコメディに昇華するのがハリウッドの懐の深さ。それを、旬の子役であるジェイコブ・トレンブレイ君にやらせるのも良い。いつまでも、こういう映画を面白いと思える自分でいたい。性的な好奇心が旺盛な時期に起こるスッタモンダを、子供視点で描いたジュブナイル劇は、逆にここまで開き直っているからこそ爽快だ。子供には見せたくないけど(笑)
第2位『パラサイト 半地下の家族』
この映画にせよ『ジョーカー』にせよ『万引き家族』にせよ、格差を扱う作品は数多く存在し世界的にも評価を受けているが、この傾向というのも、既得権益への反発と強権化の危惧から来る資本主義の弊害への警告なのかなと感じる。ブラック・コメディとして秀逸で、ウィットに富んだ毒っ気が深刻なテーマの緩和剤になっており、純粋に面白いエンタメ。オスカーも納得。
第1位『TENET テネット』
世界中に存在する全ての賞賛の言葉をノーランに捧げたい気分だ。スパイ映画に「時間」の概念を付け加えた常人には達することの出来ない究極のアイディアは、我々を未知の世界に誘うに十分過ぎるほどの迫力を持っていた。この映画が凄いのは、SF消化で誤魔化さなかったことにある。時間の逆行は物理的に「現実」として証明され、科学的に理屈が通りながら物語を組み立てたのだから、流石としか言いようが無い。文句なしで今年、いや、映画史に残る大傑作だ!
コロナ禍で苦しんだ映画界、来年こそ劇場で多くの素晴らしい作品が観れることを祈って
See you 2021!!
(文・ROCKinNET.com編集部)
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4本被ってますね〜
(とはいえ2本は去年のベストで被ってます)
グッド・ボーイズおもしろそうですね、みてみます!
コメントありがとうございます。
私も『ルース・エドガー』『リチャード・ジュエル』『シカゴ7裁判』は最後までランクインさせようか悩みました。特に『ルース・エドガー』はインパクト強かったので。『ハーフ・オブ・イット 面白いのはこれから』は最初はランクインさせてたのですが、インディペンデント映画よりもDCを入れることの派手さを選んでしまった感はあります(笑)レビューは後日載せます。
こういう映画談義は楽しいですね。貴殿のランキングにも共感しております。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。