桑田佳祐の新曲が配信チャートを席巻!
発表から1年半、リリースが待ち望まれていた
桑田佳祐が満を持して配信リリースを決めた「SMILE~晴れ渡る空のように~」が各音楽配信チャートで首位を獲得。パッケージ産業ではない媒体でも売上で以て、その人気を証明した。
もとは東京オリンピックの開催に向けた、民放共同企画「一緒にやろう」応援ソングとして作られた楽曲である。冒頭からシンセやシーケンサーが導入され、今までの桑田サウンドにはないアプローチで本気度を察することが出来る。ミディアム・バラードとなっている同曲は応援ソングとして振り切った希望の歌詞と、涙腺を刺激する勇ましくもどこか切ないメロディが壮大で感動的だ。昨年から続く近代史上類をみないパンデミックにより、人々の中にくすぶる暗澹たる思いやフラストレーションに一筋の希望を与える楽曲と化している。桑田佳祐の描いた普遍的な歌詞の世界は、五輪に限定しなくとも、我々の琴線に触れ、いつも励ましてくれるのだと思った。
売上よりもYouTube再生回数?変化する「売れる」基準
国内音楽の消費率が九割を超える日本において、音楽業界はフィジカル産業に頼り切ってきた。しかし、ネットを介すなど音楽に触れる機会が多用になり、流石にCDを買う習慣も失われた為、アーティストの人気を計る尺度が、これまでと異なるものになってきた。これは、これまで圧倒的な人気を誇ってきたB’zやミスチル、サザン、ドリカムなどの国民的歌手にとっても悩ましいことである。今の若い世代にとっては、彼らの功績でもあるCDの総売上は意味を成さないからだ。それよりも、Youtubeの再生回数が優先される。
桑田はフィジカル産業でなくても売れるを証明した
中には「CDを買う世代に評価されて時代を築いただけで、今の時代には届いていない」という乱暴な意見すら飛んでくることもある。しかし、桑田佳祐は配信でも成績を残せることを証明した。榊原郁恵や近藤真彦とヒット・チャートを競っていたデビュー時から43年経った今でも、旬のYOASOBIやBTS、髭男と首位争いをする持久力。まさに奇跡的ともいえるタフさ。この間に何千何万という歌手が売れては消えを繰り返してきた。それでも、時代に楽曲を送り、チャートのトップに食い込ませる順応性とバイタリティには脱帽する!!
「SMILE~晴れ渡る空のように~」は五輪開会式で歌われるべきか?
いよいよ東京五輪が始まる。ファンの中には開会式に出るのではないかという憶測が流れ、出来ればコロナ禍で国民の大半が中止を求めるものに関わることを辞めて欲しいと懇願する者もいる。しかし、SMAPも嵐も解散状態で、日本のポップ・カルチャーのど真ん中に君臨する国民的存在が他には思いつかない。この「SMILE~晴れ渡る空のように~」が、もし仮に困難な状況を切り開く道標的な存在として大衆に受け入れられる宿命を背負ってるとすれば、個人的には開会式に歌われてもいいのではと思っている。壮行会で、人気デュオのゆずが「栄光の架け橋」を歌唱して批判が飛んだが、歌手に音楽には罪はない。政治と飲食をはじめとする国民のすれ違い、音楽フェスの中止、デルタ株の脅威、外国人オリンピック関係者の不祥事、考えるだけで嫌になる今だからこそ、まさに皆をスマイルにさせる音楽を求めたい。
(文・ROCKinNET.com編集部)
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