映画レビュー

【映画レビュー】『ブラック・ウィドウ』今まで語られなかったアベンジャーズ紅一点の過酷な運命に感動と興奮!



© Marvel Studios 2021

今まで明かされてこなかったブラック・ウィドウことナターシャの生い立ち、過去を掘り下げ、その人間性にまでスポットライトを当てた、待望のエピソードである。まずは、久々のマーベル映画に感動を覚えた。やはり、マーベルは現代のエンタメの頂点である。物が違う。最初の公開予定日は2020年4月、パンデミックが世界規模になりだした時だった。そのため、コロナ禍で最初に公開延期が決まった大作でもあり、幾度となく公開延期が余儀なくされたことを思えば、この瞬間をどれだけ待ち望んでいたことか、感慨深くて的確な言葉が出て来ない。



比較的「野郎」の多いアベンジャーズ内では紅一点的な立ち位置で(ハルクの片思い相手でしかないイメージ)、あまり目立っていなかった彼女の「戦士」としての肉弾戦が見られたのは素直に嬉しい。超人英雄たちは、空を飛んだり、特殊能力を使ったり、金持ちや神様や蜘蛛小僧や緑の化け物だけに、やりたい放題だが、彼女の場合は訓練で得たもので、人間的肉体性でのアクションだったのが良い。正統派のアクションとしての肌触りが個人的にはツボだった。
なぜ、彼女は戦わなければならなかったのか、語られるべき物が凝縮されている内容なので、他のマーベルキャラとのシンクロはせずとも、彼女の魅力に溢れる時間は濃厚なものだった。過酷な運命を通して、表向きの戦士としての大義名とは異なる、家族というセンシティブな部分にまで踏み込んで描いていることで、マーベル作品の中でも人間ドラマが濃かったように思える。もちろん、それは『エンドゲーム』後だからこそ、尚更、胸に響いたわけだが。



幼き頃に偽の家族として集った、父母妹と暮らしながらも、自分や妹、その他の女性戦士を科学力で洗脳する組織へ反旗を翻すが、この偽家族がどうなるかは、見てのお楽しみ、ただ感じたことを言えば、偽なら偽なりの関係性が垣間見えた時の、歪な「絆」にカタルシスを感じた。すなはち、それこそナターシャが戦う理由、追い求めていたものだったのかも知れない。父親役のデヴィッド・ハーバー(Netflix「ストレンジャー・シングス」でお馴染み)、母親役のレイチェル・ワイズ、妹役のフローレンス・ピューと、面子の濃さが何とも言えない。ナターシャが高所から着陸する際に、伸脚のように片足を伸ばして手を付き、顔をあざとく上げるポーズを妹が茶化すなど、マーベルらしいコミカルもあり憎めない。
もちろん、エンドロール後も見過ごせない。「それは、そうだけど、ちょっと待ってくれよ!」と誰しもが思うことだろう。是非とも、続編を期待したところである。

(文・ROCKinNET.com編集部)
※当記事の著作はROCKinNET.comに帰属し、一切の無断転載・再交付は固く禁ずる。



◆関連記事◆

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でROCKinNET.comをフォローしよう!

ピックアップ記事

  1. テレ朝スーパー戦隊の放送時間変更の暴挙は吉と出るか?
  2. DA PUMPがSMAPの振付をすることが芸能界で衝撃的である理由
  3. 13年ぶりロッキンに出演したサザンが凄かった!ROCK IN JAPAN史上最大…
  4. 「時代遅れのRock’nRoll Band」を聴く
  5. 『ブラック・パンサー』を観た!社会風刺と娯楽性が融合したマーベルの新傑作が誕生し…

関連記事

  1. 映画レビュー

    前作に続き続編も成功★『パディントン2』は、チャップリンイズムを継承する傑作娯楽だ!

    笑って泣けて、本当に心が温まる映画とは、こういう作品を言うのだ…

  2. 映画レビュー

    自分の起源を知り家系を大事にする想いに感動する『リメンバー・ミー』

    お盆の時期、幼い頃に両親の実家に行った際に、仏壇がいつも以上に大掛…

  3. 映画レビュー

    【映画レビュー】『チャーリーズ・エンジェル』MeToo主張が強すぎだったのかも?

    2000年のキャメロン・ディアス版も言うほど大した映画かな~と…

  4. 映画レビュー

    俺が勝手に選ぶBest映画2013

    こうなったら毎年言ってやろうと思うのですが、俺も大学で映画を専攻してい…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

人気の記事

  1. 音楽

    PSY「江南スタイル」が持つYOUTUBE再生回数1位の記録を破ったのは!?【最…
  2. 映画

    ピーター死亡?アベンジャーズと違う?話題の映画『スパイダーマン:スパイダーバース…
  3. ハリウッド

    世界で大ヒット中の映画『スパイダーマン:ホームカミング』の主人公トム・ホランドの…
  4. 映画レビュー

    実写化史上最も成功していると言って過言でない『美女と野獣』に感動する
  5. 音楽

    【FUJI ROCK直前特集 Part.2】音楽に政治を持ち込むのは是か?非か?…
PAGE TOP