コロナ禍になって以来、中止や縮小を余儀なくされてきた国内の大型野外フェスも、今夏は本格的に復活の狼煙を上げようとしている。しかし、同時に新型コロナ感染拡大の第7波が到来しており、やはり以前と同様にとはいかない様相を帯びてきている。そんな中、マスク着用について、ロック・イン・ジャパンを運営するrockin’on、サマーソニックを運営するクリエイティブマンが共同で声明を発表した。
今年から同じ千葉県内で開催される2つのフェス。何よりも「参加される方の健康と安全を守りたい」という前提のもと「基本的に、マスクを外せるところではマスクを外す」とした。その理由として「夏の野外フェスの環境は厳しいです。熱中症リスクは高まります。その中で常時マスクを着用するのはよりリスクを高めます。国のガイドラインに準じてルールを運用していきます。」と説明している。
8月には東京都だけでも数万人の感染者が出ることが危惧されているだけに、中には早くも反対意見も出ている。しかし、フェスに疎い人々には理解されにくいだろうが、真夏の野外イベントは年々その過酷さがシビアになってきている。都市型フェスであるサマソニはアスファルトの照り返し(マリンスタジアム前方の地面がタイヤ素材のために熱を帯びる)などで、体感温度は50度近くになるのでは無いかという場面もある。筆者は日中は出来る限り幕張メッセ(屋内)に避難しているが、まだ20代の怖い物がなかった若かりし頃はガンガンに騒いでて、でも相当にキツい思いをしたことは多々ある。
現に、数万人を動員する両フェスは、毎年、熱中症になる人(その他にも、怪我、貧血、過呼吸など)が想像以上に多く救護室に運ばれてくる。コロナ前にサマソニが2020年の開催を五輪用に警備と医療の確保のために中止にするとしたことも、昨年、開催直前で多額の負債を抱えながらも中止を決断したロッキンも医療との協力なくして将来のロッキン開催は不可能というのが主な理由だった。そのくらい、フェス開催には医療が欠かせない。
しかも、熱中症の場合は年齢問わずに生命の危険性を伴う。20年もの間、無事に開催されてきた伝統あるフェスだけに、死者を出すことは絶対に避けなければならない。そんなマスク着用での熱中症と感染拡大のリスクを天秤にかけた時に、どちらを優先すべきかは現時点の変異株を鑑みれば、難しい決断にせよ一目瞭然だろう。もちろん、感染しても構わないという暴論ではないことだけは明確にしたい!
両フェスに出るONE OK ROCKのTaka(Vo)が、いけないと分かっているが「煽る」と宣言したことも記憶に新しい、久々の大型ライヴ開催だ、気持ちは分かる、しかし、ここはTakaにも参加者には冷静な判断を求めたい。でなければ、昨年、日本中で大ひんしゅくを買った「波物語」と大差のないものとなってしまうからだ。マスク着用をしなくて良いのは、感染に気を遣わなくても良いではない。自分の生命を守るため、それは熱中症からもコロナからもだ。無事にフェスが終わること(自分もほぼ全日参加するので無事に過ごせること)を切に願いたい。
(文・ROCKinNET.com編集部)
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