アカデミー賞

【大混戦】#TimesUp運動の影響で本年度オスカー主演男優賞はティモシー・シャラメが大穴から最有力に?

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いよいよ今週末(2018年3月4日現地時間)に発表される第90回アカデミー賞授賞式。全世界から注目を浴びるエンターテイメント界最高峰の同賞だが、今年は何と言っても大物映画プロデューサーであるハーベイ・ワインスタインによるセクハラ告発から始まる、「#TimesUp運動」が大きな話題である。先日行われたゴールデン・グローブ賞では女優陣が全員、喪服のような黒いドレスを着て、映画賞とは思えない華やかさを欠いた異様な光景が見られた。グラミー賞でも、レディ・ガガをはじめ、白い薔薇を胸元に付けて、同運動の支持を表明した歌手が多かった。

この話題に触れない訳にはいかないだろう、司会のジミー・キンメルの発言に注目が集まるが(昨年のようにマット・デイモンを弄ってればいいという訳にはいかないようだ)、それだけではなく、受賞結果にも影響すると言われているので驚きである。

本年度の主演男優大本命ジェームズ・フランコがオスカーからまさかの無視!


まず、今年の主演男優賞は『The Disaster Artist(原題)』のジェームズ・フランコに決まっていたようなものだった。同作は、2003年に公開され史上最低映画の異名を持つ『The Room』という映画の製作秘話を描いたコメディで監督も務めている。『グランド・イリュージョン』でもお馴染みの弟のデイブとも共演。このジェームズ・フランコって人は変な人だなと思うんだけど、ニューヨーク大学とコロンビア大学の両方で修士を取っている超インテリにも関わらず、超おバカ映画にしか出ない。真面目に俳優やってるのを初期『スパイダーマン』とオスカー候補にもなった『127時間』以外で見たことが無い。言ってみれば、この最低映画のような作品に出続けてるスターがジェームズ・フランコなわけで、彼の作品選びに近い題材で、ジェームズのライフワークの集大成とも言って過言ではない映画だと思う。

元ネタはカルト的人気を誇る最上最低映画

元ネタの『The Room』っていう作品は、公開時、たった興収1,800ドル(約20万円程度)にしかならなかった失敗作でありながら、そのあまりの酷さが逆に話題となりアメリカの一部ファンからカルト的な人気を得るようになったという異質の映画でもある。内容も酷い、役者の演技も下手、全然儲からないにも関わらず、カルト的熱狂ファンが付き、土曜日の深夜に放送するような映画になって、ある種の成功を収めたと。だから、月に50万円ほど掲載維持費が掛かるハリウッドにある看板に、同作のポスターが飾られ続けているというのも、このカルト的人気の証明である。

ジェームズは、そんな最低映画の舞台裏を描いた『The Disaster Artist』で好演し、ゴールデン・グローブでも、『グレーテスト・ショーマン』で渾身の演技を見せたヒュー・ジャックマンを交わし見事に主要映画賞を獲得した。にも関わらず、オスカーでは完全無視。ちょうど、彼に対する暴行疑惑が出始めたからだ。しかも、自らが経営する俳優学校の女子生徒から。

時期が遅ければケイシー・アフレックはオスカー逃してた

このように、今や「#TimesUp運動」は留まることを知らない甚大な力ともなっている。
昨年2017年に、『マンチェスター・バイ・ザ・シー』で主演男優賞に選ばれたケイシー・アフレックもセクハラ疑惑があり、今年のオスカーのプレゼンターを辞退しているが、もしこれが1年遅かったら、彼は間違いなく主演男優に選ばれていないだろう。代わりに、ライアン・ゴズリングが受賞して少しは華やかな式典になっていたかも知れない(なんて言ったらケイシー・アフレックのファンに怒られるだろうか?笑)

本命ゲイリー・オールドマンにまで追い風

そんなジェームズ・フランコの対抗馬として、今年の映画賞を争っているのが、『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』で圧巻の変身と演技力で魅了したゲイリー・オールドマンだ。もはや、本人と分からないほどの成り切りぶり。アカデミー賞は実在の人物のモノマネが上手いと評価される風潮があるので、今年の主演男優はゲイリーに決定だと思っていた。しかし、そんな彼にも「#TimesUp」関連で逆風が。元妻への暴行疑惑が告発されているのだ。タイミングが悪すぎる。一気に票が動く可能性も否定できない。

主演男優急浮上のティモシー・シャラメ

(C) Frenesy, La Cinefacture


では、万が一、ゲイリー・オールドマンが獲れなかったら誰が? ということになるが、名前が浮上しているのが意外に『君の名前で僕を呼んで』のティモシー・シャラメだと言うから驚きだ。彼も非常に学もあって、高校で芸術を学び、コロンビア大学に入学後、ニューヨーク大学に編入するほどで、演技でも確固たる評価を積んできている。「第二のディカプリオ」の呼び声も高い。同作で、LAやNYなど全米各地の批評家協会が贈る最優秀男優賞や新人賞を次々受賞中で、今年の映画賞を席巻。オスカー主演男優を獲得したら史上最年少記録となる。

暴行疑惑の名優か?高好感度の若手イケメンか?


しかも、養女への暴行疑惑が出ているウディ・アレンの最新作『A rainyday in NewYork(原題)』にも出演するも、性的虐待の疑いがかけられているアレン監督からの利益は一切受け取りたくないとして、「#TimesUp」キャンペーンとLGBTセンター、性的虐待撲滅を目指す機関に全額を寄付すると表明したばかり。好感度は間違いなく彼に集中している。ただ、LGBTを扱ってるというところが唯一のネックだ。保守的なオスカーがどこまでLGBT作品に対して寛容になれるか(『ミルク』のショーン・ペンのケースもあるが)。暴行疑惑の名優か? 高好感度の若手イケメンか? 果てや他の俳優が逆転するか? 通常ではない賞レースから目が離せない。

(文・ROCKinNET.com編集部)
※無断転載・再交付は固く禁ずる。引用の際はURLとサイト名の記述必須。

出典:www.cinematoday.jp/news/N0097973
www.bbc.com/japanese/42827953
TBSラジオ「たまむすび」2017年12月7日放送


 

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