最多ノミネートされていたNetflix『パワー・オブ・ザ・ドッグ』の独占で幕を開けた本年度の賞レース。後半になってから想定外の方向から有力候補に名乗り出た『コーダ あいのうた』が見事アカデミー賞作品賞を含む計3部門(助演男優賞、脚色賞)での受賞を果たした。ちなみに、全ての候補での受賞となる。正直、ノミネーション時点では注目度が高くなく、しかも、監督賞、編集賞の候補にすらならない作品が受賞するのは非常にレアである。
個人的にも好きな映画だけに嬉しい。『パワー・オブ・ザ・ドッグ』も悪いカンバーバッチが繰り広げるヒリついた神経戦が何とも言えなかったが、アカデミー作品賞として相応しいメッセージ性や内容だったかを問われれば首を傾げる。
対して『コーダ』は、聾唖者とどう対峙すべきかの社会的課題を、ギャグも満載に描いた家族と愛の物語。主人公の初恋や進学などの青春物語の瑞々しさも眩しかった。性別や人種もだけど、差別撤廃の風潮の中、障害者にもスポットライトが当たった真の多様性を体現させたアカデミー賞だったと思う。
『パワー・オブ・ザ・ドッグ』は最多ノミネートも監督賞(ジェーン・カンピオン)の1部門に留まった。思えばNetflix映画は、ノミネートで頭角を表すも『ROMA/ローマ』『アイリッシュマン』『Mank/マンク』と苦戦を強いられている。
『DUNE/デューン 砂の惑星』が想定内の技術賞独占で最多6部門受賞。主演男優は今年の話題賞もあげたくなるウィル・スミス、主演女優はジェシカ・チャスティン、助演男優は先ほどでも挙げた『コーダ』のトロイ・コッツァー、助演女優はアリアナ・デボーズが受賞した。
(文・ROCKinNET.com編集部)
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