映画

何故「バルス現象」は起きるのか?その理由は日本特有の国民性と風土にあった!

出典:http://ja.fanpop.com/clubs/castle-in-the-sky/images/38688663/title/castle-sky-wallpaper © STUDIO GHIBLI Inc.

2017年9月29日、宮崎駿監督作の不朽の名作『天空の城ラピュタ』が日本テレビ系「金曜ロードSHOW!」で放送された。16回目のテレビ放送にも関わらず、視聴率は14.4%。1988年の初回放送の12.2%に次ぎワースト記録となるも、テレビ離れの現状を考えると大健闘である。
今回は前が2016年1月15日の放送であることを考えると、ちょっと想定よりも早い。ジブリ作品は2年周期で放送されるとされており、作品数も増えたことから、もっと間隔が長くなっている感もある。しかし、ラピュタの放送回数が増える特別な理由は、だいたい想像が付くだろう。劇中で登場する滅びの呪文「バルス」を多くの視聴者がTwitterに書き込む現象、通称“バルス祭り”が行われるからだ。

バルス祭りの数がどれほど凄いのか?

2011年放送の際は、Twitter社のエンジニアから「サイバー攻撃が起こったのでは?」と騒ぎが起こったほどだったという。そして、その年に突然それはTwitter上で起こり、恒例化した。バルス現象の1秒間に世界中でツイートが発生した数が25,088ツイートという世界新記録を更新。東日本大地震では5,530ツイート、ビヨンセ妊娠では8,868ツイートであることと比べても桁違いの数字である。

今回の放送のTwitte数と過去回との比較

NTTデータによると、2017年9月29日中の「バルス」ツイート量は91万7024件だったという。これは映画に関係なく、その日、一日中、twitterにバルスで溢れていたということである。映画放送中に投稿された「バルス」は75万9242件。1分間あたりの最大ツイート量は午後11時23分に記録した23万7295件だった。
過去放送時の1分間あたりの最大ツイート量は、2013年放送時が44万8922件、2016年放送時が33万9558件だったことから、徐々にバルス祭りも減少傾向になるのかなと思われる。

“バルス祭り”は日本独自の現象

しかし、こうした国内で一斉にツイートする習慣があるのは日本だけだという。何故か? それは、例えば新年になった、1月1日0時ジャストに「あけましておめでとう」と言いたがる国民性など、もともと時間やイベントの共有を日本人は好んでやってきた。しかし、アメリカだってタイムズスクエアで大々的な新年イベントをやるではないか? あれこそ世界最大級の共有イベントである。なのに、アメリカや海外でそれが風習化しないのは、テレビ以上にラジオ文化が根付いていること、テレビも多チャンネル化が進んでいること、また、国内で時差があることが挙げられる。正確には、日本にも僅かな時差はあるらしいが、ほぼ同時刻で過ごすに不自由しない。だからこそ、このような現象が成立し得る。また、この現象は先述の通り、突如起こったものである。強要されていないのが参加しやすい。

これには便乗するものも多く、今回は健康食品会社「タニタ」が「バルス」を超えられなかった場合、社名を1日だけバルスに変更するとした、これにはシャープ、カルビー、井村屋、湖池屋などの一流大手企業も参加するなどの盛り上がりを見せた(結果、放送終了後「株式会社バルス」に変更)。また意外なところでは、2015年のスーパー戦隊「手裏剣戦隊ニンニンジャー」では、このバルス現象に倣って、最終回のエンディングで「ワッショイ!」とツイートする運動を呼びかけた。(劇中の「忍ばずワッショイ」から引用されていると思う)
ますます何がヒットするか分からない世の中である、テレビとネット融合という点では、テレビ局が躍起になっていた地上デジタル放送の双方向性よりも、この“バルス現象”こそ成功しているといえよう。

しかし皆が好きなシーンは「バルス」ではない?

そして今回は“バルス祭り”だけではなく、連動企画として「みんなで選ぶ!好きなシーンランキング」も行われた。1位は意外にバルスではなく、ロボット兵により火の海となった要塞からシータをパズーが救いだす場面だったという。で、2位がバルス。3位は雷雲の中でパズーが父の姿を見るシーン。4位はシータのことを「あたしの若い頃にそっくり」とドーラが言うシーン。5位がオープニングだった。
個人的には少しショックだ。ラピュタの、いや、ジブリ史上最も好きなシーンと言ってきた、それまで敵だったドーラがシータの救出を懇願するパズーに「40秒で支度しな」と言い放つシーンが箸にも棒にも引っ掛かっていないのが物悲しい(笑)

(文・ROCKinNET.com)
※引用する場合はURLとリンク必須。無断転載は固く禁ずる。

参考:http://www.huffingtonpost.jp/2017/09/29/barusu_a_23228045/
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171002-00000022-flix-movi
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170927-00000324-oric-ent
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171002-00000022-flix-movi

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でROCKinNET.comをフォローしよう!

スポンサーリンク

スポンサーリンク

ピックアップ記事

  1. 【ヒットの勝算はネット戦略にあり?】恐怖のピエロ映画『IT』が公開第三週で興収首…
  2. THE ORAL CIGARETTES山中がビバラでUVERworld TAKU…
  3. ピーター死亡?アベンジャーズと違う?話題の映画『スパイダーマン:スパイダーバース…
  4. 【全曲レビュー】桑田佳祐の最新作『がらくた』が凄過ぎた!大衆音楽ここに極まり!
  5. 世界で大ヒット中の映画『スパイダーマン:ホームカミング』の主人公トム・ホランドの…

関連記事

  1. 映画

    『天気の子』オスカー日本代表作に選出!絶対に受賞できない理由とは?

    この夏、日本に『天気の子』旋風吹き荒れる!タイアップコラボは7…

  2. ハリウッド

    実写版『美女と野獣』が異例の大ヒットを記録中!

    エマ・ワトソン主演、名作アニメの実写版『美女と野獣』が異例…

  3. 映画

    『ピッチ・パーフェクト ラストステージ』の予告編が遂に公開!

    また彼女たちに会える!見逃せない熱狂のラストステージが開幕!『…

  4. ハリウッド

    『ライオン・キング』がまさかの実写化

    やめとけ・・・監督は『アイアンマン』シリーズでもお…

  5. 映画

    第12回 独断で選ぶ今年良かった映画 TOP10 2020

    コロナ禍により公開が予定されていた話題作や大ヒ…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

人気の記事

スポンサーリンク

[PR]
  1. 日記

    パリピが日常悩んでる嫌なことって何?ストレス溜めない極意がULTRA JAPAN…
  2. 映画

    是枝監督『万引き家族』がカンヌで最高賞!カンヌにおける日本映画の歴史と、今回の受…
  3. ニュース

    遂にNYタイムズ誌まで?ガキ使の黒塗りメイク批判は行き過ぎだと思う理由!
  4. ライブレポート

    【速報レポ】My Hair is Badの初武道館公演を観る!椎木が提示した正し…
  5. 映画レビュー

    『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』の功績は神話をオリジナリティをもって進展させ…
PAGE TOP