昨年よりパンデミックにより劇場封鎖を余儀なくされていたが、4月には映画館、9月にはブロードウェイと、少しずつ元の光景を取り戻した2021年。変異株の影響でショウビズ界も苦労は絶えないが、『ゴジラvsコング』や『ワイルド・スピード』の新作、マーベル作品など大きな興収を上げ、活気を取り戻しつつあることは嬉しいニュースであった。そんな2021年に鑑賞した多くの作品の中から素晴らしいものを厳選してランキング!
第10位『Mr.ノーバディ』
普通の中年が理不尽な出来事に過剰にキレる様が痛快で最高!過剰な暴力描写は同制作陣が手掛ける『ジョン・ウィック』の「イズム」を受け継いでいて、クールで格好良い◎クライマックスの町工場での銃撃戦で敵が次々に撃たれていく中で「事故なし204日」と書かれた掲示を消す冗談センスも好きだ。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のドク博士も久々に大暴れ、アドレナリン全開で爽快なガンアクションだ!
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第9位『ザ・スイッチ』
B級ホラーに王道入れ替わりコメディを加えただけなのに、そうしてこうも超絶面白いか。冴えない主人公の女子高生が、殺人鬼と入れ替わった後の方が垢抜けて可愛くなるとか、主人公が汚いおっさん殺人鬼と入れ替わったまま、意中のイケメンと良いムードになるとか、毒めいた笑いのセンスが好きだ。犠牲になる連中が普段から嫌味な奴らなので、グロいのに何故か爽快なのも皮肉めいて良い。
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第8位『浅草キッド』
人情味溢れる師弟愛の物語。台詞の全てが漫才のようで監督のほか脚本も務めた劇団ひとりの芸人としての尊厳と、たけし愛の深さが窺い知れる。「芸があって初めて人の前に出れるんじゃねえのかよ」という師匠の言葉は、芸の無いYoutuberや、誰それの二番煎じをやってる若手芸人が持て囃される今の娯楽の世界に喝を入れているようだ。礼節や所作からスピリットまで「バカヤロー」という言葉で伝える、その裏側にある師匠の愛に涙する。決して物真似にならない絶妙な癖を演技に取り入れた柳楽優弥と、我々が知らない深見千三郎を再現した大泉洋の名演に拍手喝采だ!
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第7位『クルエラ』
まさに「ジョーカー meets プラダを着た悪魔」という表現が似合う。芸人を目指したアーサー、デザイナーを目指したエステラ、健気な夢追い人が社会システムや運命に翻弄された末の狂気が切なかった。これまでダルメシアンの毛皮を狙う悪女の印象を覆し、彼女の人間性も描いた復讐劇としたのが吉と出たようだ。既成概念を覆すようにファッション界の女帝を挑発する様が痛快で描写も見事。ディズニー史上最高の実写化と太鼓判を押したい!
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第6位『モーリタニアン 黒塗りの記録』
9.11の報いを「誰でも良いから」科そうと無実の男性を拷問し自白を強要させた米国の黒歴史を描いた社会派。社会がヒステリックに陥ると秩序どころか倫理観すら失い、狂気が暴走する。歴史の過ちを痛烈に批判したアメリカ自身の自浄作用が正常に機能している証でもあり、社会に問題提起する映画の力を感じた。ジョディ・フォスターやカンバーバッチはじめ演技派俳優陣も良かった。
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第5位『ブラック・ウィドウ』
これまで野郎だらけのアベンジャーズで紅一点のナターシャの肉弾戦やアクションが際立っていたのが何よりも嬉しかった。彼女の生い立ち、過去を掘り下げ、その人間性にまでスポットライトを当てたヒューマン・ドラマで『エンドゲーム』後だからこそ、その活躍が胸に響く。久々にマーベル作品を劇場で観れた感動もさることながら、娯楽の質の高さに改めて脱帽だった!
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第4位『ドント・ルック・アップ』
彗星衝突により地球滅亡の危機にありながら、SNSの非科学的なデマを鵜呑みにしたり、有名歌手の破局騒動に大衆の関心が集まるなど、良識が通じない現代を痛烈に皮肉った傑作社会派コメディだ。人類は科学技術と共に進化してきた。それが、SNSごときに危ぶまれている。反科学を信じ、真っ当な判断を怠る人類への究極の風刺でもある。コロナ禍で地球規模の危機にあるからこそ共感できる部分も多い。
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第3位『ジェントルメン』
何百万回も「最高」と叫びたくなる!ガイ・リッチー節炸裂!皮肉めいた会話劇とバイオレンス、シニカルな笑いで繰り広げられる有無を言わせぬ頭脳戦。群像劇の頂点。俺たちが観たかった「リッチー監督はこうでなくちゃ」が詰まっていた。思惑と混乱が乱れる群像劇の頂点!カッコいい映画とはこういうことをいうんだ!
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第2位『ファーザー』
とんでもない快作だった。観客が視覚で得た認識を次々と覆し、何が真実で誰が誰なのかすら分からない、まるでスクリーンに張り巡らせた謎解き迷路に入り込んだような緻密な設計。まさに脳内ミステリーと呼ぶに相応しい混沌。長台詞中に喜怒哀楽が混在する難役を見事に演じたホプキンスは、レクター博士をも凌駕する名演で主演男優賞も納得。とにかく巧みな脚本に腰抜けた!
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第1位『フリー・ガイ』
アクション、コメディ、恋愛、SFなど、娯楽という娯楽すべての要素が詰め込まれた贅沢なエンタメ。大人気ライアン・レイノルズが、ゲーム内フォレスト・ガンプを見事に演じ、自由を求めて生きようとする彼を応援せずにはいられなくなる。自粛要請が延々と続き、閉塞した現実世界に生きる我々が投影し求めたい理想の姿でもあった。ディズニーがFOXを買収したことで実現した小ネタにもニンマリ。これぞエンタメ!これぞ映画!と大喝采を贈りたくなる大傑作だ!
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来年も素敵な映画と出会えますように!
早くパンデミックが収まり映画業界も戻りますように!
See you 2022!
(文・ROCKinNET.com編集部)
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