この年末年始に興収はさらに上がると予想される
今年は年末年始にハリウッドの超大作が少ないなと感じていた。お正月映画としてシーズン別では夏休みやゴールデン・ウィーク並みに集客が見込めるのに今年は寂しい。せいぜい『ファンタスティック・ビースト 黒い魔法使いの誕生』か『シュガー・ラッシュ:オンライン』『アリー/スター誕生』くらいなもの。そんな中で、既に公開されて数か月経過しているにも関わらず、未だにヒット街道驀進している『ボヘミアン・ラプソディ』が年末年始の興行レースでも、今以上に成績を伸ばすのではないかと言われている。
2018年12月23日現在で累計興行収入62億円を突破し、国内の音楽映画では『レ・ミゼラブル』を抜き単独2位に。80億円突破も夢ではないという想定外の結果となっている。ちなみに1位は実写版の『美女と野獣』で124億円。この記録は2018年の国内興行収入ランキングの首位である『ジュラシック・ワールド/炎の王国』の81億円、2位の『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』72億円に次ぐ。
英国・米国有力紙の評論が本作を酷評!
また、主にクイーンやフレディ・マーキュリーを知らない世代の割合が大きいらしい。楽曲は聴いたことあるけどバンドは知らないという若い世代には新鮮に映っているという分析すらある。
しかし、本国イギリスの有力紙「ガーディアン」は、「ウィキペディアをなぞったように進むので、登場人物は真似をしているだけにしか見えない」と★5個満点中★2個と酷評。また、フレディ役のマレックの演技は「誰かを真似している人を真似ている」だけと。例えば、劇中の演技が、ビートたけしの真似をする松村邦弘の真似レベルってことだとすれば、人物の再現性を褒めていた身としては随分と手厳しいなと感じる。入れ歯についても「漫画シンプソンズのキャラクターが出てきたように見える」とかなり辛烈な意見だ。
特に、パフォーマー以外のフレディーの人物像や生い立ちについて深く踏み入れていないことに言及。移民家庭の話である事実なども付録。フレディの天才的な能力を偉人だから当然のようなテンションで描かれていることに批判的だ。
表面的だからこそ日本の大衆にはウケた!
個人的には、この浅さが大衆受けした要因かなとも思っている。要するにクイーンの有名曲を多用した成り上がり物語、ライヴ・ビューイング感覚で観れる音楽映画と開き直れば楽しい。だから、自分も含めてクイーンを知らない世代にも受け入れられる。同じアジア系の『クレイジー・リッチ!』が日本で見向きもされなかったことを考えても、移民等の問題は日本人は興味もないし、馴染みも浅いので、この表面的なアプローチが実に日本人向けだったのかも知れない。もともと、『ラ・ラ・ランド』や『グレイテスト・ショーマン』等が安定のヒットした背景を鑑みて、日本人がミュージカル映画好きということも起因しているだろう。
本作で描かれたクイーンの姿は英国では周知の事実
本国イギリスでは地元のスターであるから、年中クイーンの特番はテレビで放映されているようだ。ブライアンが環境問題を語る番組など、ジャンルは多岐にわたるらしい。その中で、大衆は当然のこと、音楽や映画に精通したプロの目からすれば、「もっと知らないクイーンの知らざれる情報や、フレディ自身に肉薄した映画が観たかった」という本音が出るのも理解できなくもない。
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アメリカのタイムズ紙は「YOUTUBEで本物見れば?」とまで
アメリカの有力紙「ニューヨーク・タイムズ」は、「できうる限り記憶に残らない」映画で「ドラマチックな盛り上がりも心理的な洞察もない」と言う。「同性愛者の欲望について、70年代の性の解放が80年代のエイズ危機に繋がっていく中、同性愛者をめぐる状況をどのように扱ったらいいのか確固たる姿勢を感じない」とし、「天才が芸術のために苦しみ、最も心を寄せてくれる人を遠ざけた後、赦しと償いを得る」美談とも捉えられる物語の真実とフィクションの境目が曖昧なままでスッキリしないようだ。最後に「映画よりもYOUTUBEで本物のクイーンの動画を見た方がいい」なんて完全否定な毒舌まで吐いている。
GG賞にノミネートされるも受賞は難しい?
日本国内だけでなく各国で(特に北米でも)大衆に受け入れられる一方で、評論家たちからは酷評を得る本作。先日、発表されたゴールデン・グローブ賞の作品賞候補でもあり、アカデミー賞にも期待がかかる中、この評論を知ると賞レースは厳しいのかな?と感じてしまうが、実際はどうかな?
(文・ROCKinNET.com編集部)
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