誰だ、実写化を許したのはッ!
『君の名は。』がハリウッドで実写化する。この驚きのニュースに喜んでいる人も多いことだろう。実際に同作の川村元気プロデューサーは「夢のようだ」と喜んでいる様子。しかし、本当にそれでいいのか? 自分には『ストリートファイター』『ドラゴンボールZ』と肩を並べる世紀の大失敗作になるとしか思えない。その理由は何か意見を述べたいと思う。
ハリウッドで映画化 pic.twitter.com/5M0VlFx39b
— ドラゴン画廊・リー (@dragongarowLEE) September 28, 2017
そもそも、この実写化は、米パラマウント・ピクチャーズと『スター・ウォーズ』新三部作を手掛けるJ・J・エイブラムスの制作会社「バッド・ロボット」が実写映画化権を獲得して実現したとか。ネタ切れハリウッドが、まさか日本の国民的アニメにまで手を出すとは思っていなかった。『スター・ウォーズ』を復活させる時も「フォースの覚醒」では、目新しいことは出来ずに過去の焼き直しで終わったエイブラムスだけに不安は残る。
ハリウッド版の脚本は異星人との交流を図る異色のSF作『メッセージ』(2017)で第89回アカデミー賞脚色賞にノミネートされたエリック・ハイセラーが手掛ける。川村氏も『メッセージ』は、ここ最近で最も心を動かされた映画であるとコメントしているが、タコの化け物と女性科学者の交流と、日本の高校生の交流はちょっと次元が違う。
新海監督のコメントから読み解く皮肉
新海監督も「『君の名は。』は、日本に暮らす僕たちのローカルな想像力、ドメスティックな技術で組み立てた映画です。そういう作品がハリウッドと交わることで、もしかしたら新しい可能性のようなものを見せてもらえるのかもしれない──そんな期待をしながら、完成を楽しみに待っています」と語っているが、この“日本に暮らす僕たちのローカルな想像力”、“ドメスティックな技術”という言葉を考えると、一種の皮肉のようにも思える。要するに、『君の名は。』は現代日本のポップ・カルチャーの象徴なわけであって、世界で展開できるような設定ではないということだ。おそらく新海監督も違和感は相当覚えているはずだと思う、表立って言えないだけで。全くの別物になってしまうのではないかという危惧。原作に泥を塗るような真似だけは避けて頂きたい。
そもそも、同作で鍵となる「結」という日本的な概念、それが時空を超えた男女を引合す裏テーマになっていることへの理解、これはアメリカ人には理解できないだろう。だからオスカー候補でも箸にも棒にも引っ掛からなかったわけで。
何よりもRADWIMPS楽曲の起用に不安が残る
それと、RADWIMPSの曲を使うかどうかだ。実は『君の名は。』の成功はストーリーの王道性と伏線の過密性の絶妙なバランスと、RADWIMPSの劇中歌のマッチングに因るものだと思っている。RADWIMPS無くして同作の成功は無かったと言っても過言ではない。果たしてハリウッドがそれを理解しているか。チャーリー・プッシュ辺りにそこそこのバラード歌わせるとか駄目だからね・・・・・・けど、やるな、絶対に。
東日本大震災を経たからこそ芽生えた共感性
何よりも同作で描かれた災害描写は、東日本大震災を経た日本人にしか共感できないものである。『君の名は。』は、愛しい存在を予期せぬ自然災害でいきなり失う絶望感と悲しみから立ち上がった日本人に、愛しき存在への執着と愛情を再提示した訳である。原発から逃れようと母国に帰っていく外国人に(その行為は否定しないし理解も出来るが)、この気持ちが通じるだろうか? そもそもが、手書きの画力で以て、観る者を圧倒させた彗星描写である。あの美しさは実写では表現できまい。これがハリウッドで描かれるとなると、彗星の部分なんかは『アルマゲドン』になりそうで心配だ。「オーマイガー」なんて言いながら町ごと破壊される様子は、エメリッヒ監督のディザスター・ムーヴィーになってしまうかもしれない(笑)
参考引用:https://www.cinematoday.jp/news/N0094809
(文・ROCKinNET.com)※無断転載は固く禁ずる。
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