未だに劇場公開されている事実に驚く。日本での公開も8ヶ月を超えた超超ロング・ランである。その『君の名は。』が遂に北米で公開された。オスカー候補入りこそ逃したものの、L.A.映画批評家協会から2016年の最優秀アニメに選ばれているので、“結び”などの日本的発想が受け入れられるか否かの一抹の心配はあれど、そこまで酷評されることもないとは思っていたが、予想以上だった。
LAタイムズ誌は
体の入れ替わりというちょっとばかげたこと、時間を超えた恋愛、災害を生き延びることなど、今作は多くの要素を上手に盛り込んでいる。活気に満ち、かつ穏やかで、スピード感があり、知的でもある今作は、喜劇から悲劇へ、そして恋物語へと、全体のトーンを狂わせることなく、スムーズに移行していくのだ
NYタイムズ誌は
とてもチャーミングで、優しいユーモアに溢れている。 体が入れ替わるという設定を通して性別というものに軽く触れたかと思うと、新海氏は、話を別の、もっと複雑な方向へともっていく。最初のほうではあまり重要でなく見えた神道、彗星、口噛み酒が、次第に話の前面に出てくるようになるのだ。(中略)観客が劇中で何が起こってるか察した時、映画は、混乱の喜劇から、国、歴史、カタストロフィー、記憶といったものを静かに考察する感動作へと形を変えていく
映画サイトcollider.comは、A+の評価を与え
絶対に見逃してはいけない」とまで断言。「日本のアニメが西洋にも浸透してきたとはいえ、まだアニメに偏見をもつ人は多いのである。だが、今作は、新しい世代がアニメ映画に目を開くきっかけを与えるはずだ
と賞賛と推奨の嵐。
source:https://news.yahoo.co.jp/byline/saruwatariyuki/20170408-00069667/
エンタメの最高峰といえる北米においても絶賛された同作。97%の批評家が好意的な批評をしたと言うのだから、どれほど驚異的なことなのか、ファンとしては正に夢心地である。
これだけの世界的評価を得ながら、国内の主要映画賞で評価しなかったことが、いかに日本映画界が老害業界で、閉鎖的なのかが伺える。
あとは、この評価がどれほどの興行収入に繋がるかだ。公開規模は303館と中規模で、そこそこ大きい都市に住んでいれば、上映館が見つかる状況だという。
しかし、この名作アニメはアメリカを驚愕させた。ディズニーと手を組んでいるジブリの広告費や上映館数、米国内での知名度と比べたら、決していい条件とは言い難い。にも、関わらず、既に北米含めた世界の興収が400万ドル(約3億8000万円)を超えたというから驚きだ。世界的、アメリカ国内で最もヒットし、知名度もある日本のアニメ作品と言えば、やはりオスカー受賞の『千と千尋の神隠し』である。それが持つ興収記録314万ドル(約2億7490万円)を優に超したということになる。これは大大大快挙であり、世界が日本のポップカルチャーを受け入れたという意味においては、千と千尋のアカデミー賞以上に価値のあるものだと個人的には思っている。
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