『ボヘミアン・ラプソディ』監督に性的虐待告発!
ノミネートだけでも偉業だと思っていた『ボヘミアン・ラプソディ』の主演ラミ・マレックが今期の賞レースで主演男優賞を席巻。先日28日に発表されたアカデミー賞の前哨戦とも言うべき大きな賞の1つである米俳優組合賞(SAG)でも見事栄誉に輝いた。満場一致でオスカーでも最有力と言って過言ではないだろう。
オスカー作品賞は絶望的だろう
しかし、作品賞は確実に駄目だと言わざるを得ない。ここに来て『ボヘミアン・ラプソディ』の監督を務めた(途中降板)ブライアン・シンガーに性的虐待疑惑が浮上した。最初の疑惑は21年も前まで遡る、98年『ゴールデンボーイ』の撮影セットで当時13歳の少年に性的虐待を加えたこと、また03年に当時17歳の青年が自宅で行われたパーティー中に寝室で強姦されたことがアトランティック誌に掲載される。シンガーは「同性愛への嫌悪感から来る中傷記事だ」と騒動を批判。
20世紀FOXが性的虐待で告訴されていることを承知の上でシンガーを雇用した理由は、現クイーンのメンバーが監督を支持していたからだった。しかし、最初は「疑わしきは罰せず」と、シンガーを擁護していたブライアン・メイも他の男性達から告発が相次いだため、態度を改めシンガーを批判。LGBTに貢献した作品を表彰するGLAADメディア賞から『ボヘミアン・ラプソディ』のノミネートが取り下げられるなど波紋を呼んでいる。オスカーへの影響も大きいに違いない。
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もはやアカデミー賞前の風物詩かッ!
ただし言っておくが、ハラスメント擁護をするつもりは一切ない。否定されて然るべき。
しかし、アカデミー賞の直前になると必ずハラスメント騒動が起こるタイミングにも違和感が残る。昨年も主演男優賞を受賞したゲイリー・オールドマンが離婚から15年以上が経って元妻からDV告発、ウディ・アレン監督は25年前の養女への性的虐待の告発があった(アレンは多くの俳優から批判されるが、取り調べでは何の罪にも問われていない)。
先程のシンガーのような未成年と知りながらの強姦は問答無用にせよ、中にはケヴィン・スペイシーの性的虐待の尋常じゃない数の被害届の中にどれだけの信憑性があるのか分からないと言った慎重論もあるように、「言ったもん勝ち」で告発してくる輩が出て来るのではないか?という危惧と、タイミングが賞レースの最中に集中していることから、成功者への妬みなんじゃないか?というセカンド・レイプに近い風潮ができまいかと心配になる。日本でもワンオクのドラムのTomoyaが未成年と知りながらファンと肉体関係を持ち続けたことが報じられたが、その際にも「今更?」「金銭目的?」という声が立ったように。
告発がライバル映画潰しの手段とならないように
アメリカの大統領選は互いの粗探しに翻弄する側面がある。ロシア疑惑がそれ。
しかし、実際はそういう意図は無いだろうが、映画賞でもライバル作品潰しにハラスメントが利用されるのではないかという危惧もある。性犯罪の肯定ではないこと大前提に言うが、長く生きていれば叩いて埃の出ない人間はいない、ハリウッドなら尚更だろう。ましてや、ハラスメントの境目は非常に曖昧である。ブラピの長男暴行疑惑も、躾なのか、暴力なのか。実際のところは判断しようがない。今日本でも町田総合高校の教師による暴力の是非が問われているが難しい問題である。受け手によって、その暴力を善とする意見もあれば、悪とする意見もあるのだから。挨拶のつもりの軽いハグも猥褻行為に成り得る時代。何なら近所の駄菓子屋で飴玉万引きしたなんてレベルの告発まで出てきたりして(笑)
火の無いところに煙は立たないと言われているが、コミュニティの手法や価値観が変化した現代では煙は何処でも立つ時代になってきた。告発に瞬時に群がらずに、客観的で慎重な視点も必要なのかも。
(文・ROCKinNET.com編集部)
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