1992年にアメリカのイメージ・コミック社から出版され(マーベルのようにさほど著名なキャラクターはいないが、あの人気ドラマ「ウォーキング・ザ・デッド」のコミック版の版権も有する)、1997年には映画化もされた。当時、何の映像耐性もない中学生だった自分には斬新で、ダークな世界観が映像的にも刺激的で(現に話題も特殊効果に偏っていた。特に巨大なマントが特徴的だった。)、相応に楽しめたのを覚えている。顔が焼かれて悪魔のようになるとか、ウジムシ湧いたピザ食うとか、当時の映像技術からしても結構なインパクトだった。日本でもそこそこ話題にもなったと記憶してるが、予想以上のヒットにはならずに続編も作られずに終わった。
その『スポーン』が再び映画として戻ってくるというのだ。復活の背景は何かは想像しやすいだろう。マーベル、DC、近年のアメコミ映画ブームに他ならないのではないか。97年当初はDCがかろうじて評判の悪いバッドマンを苦し紛れに継続していたが、今ほどコミック映画の潮流は時代の空気感には無かった。しかし、これだけコミック原作の映画が軒並みヒットしているとなれば、関係者も黙ってるわけにはいかないだろう。要は時代が、ようやくマッチしたのだ。アメコミ映画ブームが、ヤツを呼び起こしたと言っても過言ではない。
気になる監督は、なんと原作者であるトッド・マクファーレン自身が務めるとのこと。しかも、脚本もプロデューサーも自分で行うという。もちろん、映画制作者としての実績は皆無である。にも、関わらず、他人には任せない。その理由は何か、インタビューでこう答えてる。
私は漫画を描くためではなく、ただ漫画を描き、賞を受賞しました。楽譜の読み方を知りませんが、グラミー賞を持っています(※)・・・・・・(本作は)自分のお金を費やしてやっているわけだから、上手くいかなくても誰が気にするのでしょう。この映画は1,000万ドル(約11億円、1ドル110円計算)ほどの予算であり、(スタジオは)22歳のパンクの監督を連れてくるだけ。それなら、私自身がメガホンを取る年寄りのパンクになりたいと思った
(※)マクファーレンは米バンドKornのミュージックビデオ「Freak On A Leash」を監督し、2000年にグラミー賞最優秀短編ミュージックビデオ賞を獲得している。
引用:https://www.cinematoday.jp/news/N0095093
「年寄りのパンクになりたい」かっちょいい言葉だ。マクファーレンは56歳。餅屋は餅屋なんて関係ねえ! 俺は楽譜読めなくたってグラミー持ってるぞ! 頼りない若造に任せるくらいなら老いた爺でもパンク魂を見せてやる! ってアグレッシブな姿勢は男としても人としても持っていたいものだ。
肝心の作風もR指定になると決まっているようで、あの『デッドプール』でさえも凌駕する描写満載だというから観るには覚悟が必要かもしれない。
マクファーレンは映画版についても「ダークになる」と宣言。それは近年大ヒットを飛ばしたR指定映画『デッドプール』とは比ではないそうで、「黒い水の中にサメを泳がせる。そのサメがやってきて、泳いでいた人々は死ぬ。サメはとんでもなく残忍なことをするだろう」と独特の表現で、いかに陰惨な作風になるかを語った。
引用:https://www.cinematoday.jp/news/N0095093
ただ、この作品の根底テーマには“LOVE”があるので、単なるホラー映画では終わらない。ただ、その愛や正義も主人公アルが信じるものと限定的であるため、時として通常の勧善懲悪とは異なることもある。
なぜなら、主人公アル(後にスポーンとなる)は絶望しているからだ。彼は、元は一流のエージェントであったにも関わらず、某策略により命を落とす。魔界の支配者マレボルギアとの契約によって魔界の軍団を率いるヘルスポーンの将軍として蘇るが、その時既に自分の死後五年が経過していた。妻は再婚し子供も授かり幸せな生活を送っている一方で、自分は焼け焦げた悪魔のような顔をしているという悲惨な状況に、光を見いだせず、闇の世界へと身を投じて敵に立ち向かうのである。
正しくダーク・ヒーローである。
同じようにダークと言えども、トム・クルーズを起用するも内容的な失速感が否めなかったダーク・ユニバース以上に期待できるではないか?
作風も濃い原作でもあり、原作者自ら監督する異色のダーク・ヒーロー映画に期待が高まるばかりだ。公開は未定。撮影は年末から行われるという。
引用:https://www.cinematoday.jp/news/N0095093
(文・ROCKinNET.com)
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