冒険活劇として一級品だった。まるで『マッドマックス 怒りのデスロード』ばりの巨大要塞船との攻防、『ヘラクレス』に登場しそうな巨大溶岩の化け物、とにかくスケールがでかい!
劇中モアナは「私はプリンセスじゃない」と断言する。非常に画期的なことだと思う。これまでも『ムーラン』『ポカホンタス』など、戦うヒロインは存在したが、大半はプリンセスがプリンセス足らしめるが故にディズニーのヒロインは存在してきた。
『アナ雪』『ズートピア』近年のディズニーが描いてきた、強い女性像の系統を引き継ぎ、王子を必要とせず、自分自身で困難を乗り越えるというのは、ハリウッドでも叫ばれている女優の地位向上を望む声にも繋がる。ヒラリー・クリントンが大統領選挙で叫んでいた「ガラスの天井」を、ディズニーは打ち破っているのだ。その勇敢さこそ、おとぎ話の域を超えた、アクション映画顔負けの冒険活劇として、見事に成立させている。(今後のディズニーはLGBTの容認と、女性の地位向上がどうやら主要テーマとなっていきそうだ・・・)
最初は何も出来ないモアナも相棒マウイ(実に王子様タイプでない)に助けられ、次第に成長していく。『ズートピア』の主人公のウサギとキツネの関係性にも通じるところがある。そこには恋愛は介在しない。それも、ディズニーの大きな変化である。もはや、女性の勇姿が根底テーマとなっている、現代ディズニーにそんな生温いものは不要なのである。
海の意思の視覚化も見事だし、その他の荒れる海や、森林、火山などの描写はもはやひとつの芸術レベルで、映画の背景として見過ごすには惜しいくらいの美しさだ。
また、「レディゴ~」に並ぶ主題歌「How Far I’ll Go」もドラマを際立たせるほどの名曲だ。キャッチーさも良い。
一時の低迷期が信じられないくらい『アナ雪』以降のディズニーが最強すぎる。モアナの強い意志に、老若男女が熱狂すること間違いなしだろう。
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