この夏はハリウッドがスーパー戦隊を本域で映画化した『パワーレンジャー』も公開されるなど、俄然盛り上がっている我らがスーパー戦隊。早いもので夏映画の時期である。仮面ライダーが終盤を迎える中、初めて映画でお目見えするとしてライダーの付属的に、約30分に凝縮された劇場版として放映されるわけだが、今回の『劇場版キュウレンジャー』はよくまとめられていたように思える。
ただでさえ登場人物が多い戦隊である。正直な話・・・・・・いきなり九人になったことで各個人への愛着が分散し、さほど思い入れが出来ずにいる。やはり九人は多いと思う。しかし、各々のキャラの見所をしっかり作り、レッドも際立たせ、追加戦士のちょい役もしっかり加えており、二時間以上あった『パワーレンジャー』で言う面白いところを濃縮したような、内容の濃い作品になったことは素直に拍手モノだ。相変わらず、敵役が吉本興業のお笑い芸人なのが理解不能なのだが(戦隊はある種の安っぽさが売りでもあるけど、演劇である以上は役者を使えよと思うんだが)、今回のロンブー亮の大根演技・・・・・・と言うよりも、それを自覚してるからこその一生懸命さが逆に痛々しかった。来年は雨上がりの宮迫のオフホワイト不倫怪人でも出しとけ(笑)
以前、「キュウレンジャーは『スター・ウォーズ』だ」と断言したことがある。敵の組織「ダーク・マター」のボスが、そのまんまシス卿だったり、サソリ・オレンジの登場シーンが砂漠で、どことなくルークの故郷を思い出すし、ヘビツカイ・シルバーとバランスの登場シーンもハン・ソロとチューバッカを彷彿とさせる酒場チックな場所だったから。この劇場版でも『スター・ウォーズ』っぽさはあった。各々が数名に別れて謎を解き明かすシーンはEPⅥのようだ。宇宙を舞台にする戦隊というスケールの大きさとアイディアは面白い。映画になれば尚更だ。非常に映画向きの戦隊だなと思った。30分では物足りない。早く冬の長時間のものを観たくなった。(個性の強い獣たちと闘うのか、楽しみだ)
で、気付いたことがある。この劇場版でもシシレッドが言っていたが、怪物をやっつけられたのは「司令のお陰だ」という考え。横の繋がり、仲間意識以上に、キャプテンを尊重する価値観。これは、まさしくチーム・スポーツの考え。優勝の際に監督を胴上げするイメージから勝手に野球っぽいと思っている。キュウレンジャーは従来の新人俳優を起用する戦隊と違い、芸歴の長い俳優が集まってる先鋭部隊(キャスティング)でもあることから、実績ある選手を集めた読売巨人軍みたいなものだなと感じた。
“個性”を重要視する風潮ばかりが先行している昨今、このように“チームの尊重”をする戦隊があるのも良いと思う。初めてキュウレンジャーが人数が多くて意味があると思えた瞬間だった。
ちなみに、この映画のエキストラに参加しようと思ったのだが、参加条件に「各々が思うところの宇宙人の格好をしてきてほしい」とあって断念した。宇宙人の仮装というのも難しいものである。アルミホイルを全身に巻くのも陳家だし・・・・・・それで、エキストラが出演してるシーンを観れば、皆、思い思いの格好で来ていた。なるほど、こういう格好がいいのかと感心すると同時に、スーパー戦隊が多くのファンによって成立しているコンテンツである基礎を再確認できて良かった。
(文・ROCKinNET.com編集部 よっしー)
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