映画レビュー

【映画レビュー】『キャッツ』そもそも映画化すべきでない!

(C)2019 Universal Pictures. All Rights Reserved.

そもそも論として、この不朽の名作である『キャッツ』が今まで映画化されてこなかった理由を考えれば、下手に手を出すべきでないことは明白である。T・S・エリオットの原作が「私はこういう猫だ」「俺はこういう猫だ」っていうように、各々の猫の自己紹介が繰り返される詩集なのでストーリー自体が無いと。それを少しは脚色でストーリー性を持たせたことは映画化するにあたっての唯一の及第点とも言えるだろうが、やはり映画的な関心としては物足りなさを感じる。



で、あの視覚効果であるからなぁ。世界中で酷評されたビジュアルは確かにおぞましいほど不気味で、SFホラーのよう。役者の顔が分かる程度のメイクだから人面猫の域を超えられていない。
指輪物語のゴラム役のアンディ・サーキス、X-MENで怪物になったジェニファー・ローレンスなど原型が誰だか分からないほどの変身を役者に成し遂げられなかった監督の采配不足は情けないとまで感じる。
これなら、『スキャンダル』のシャーリーズ・セロンの方がよっぽど自分の容姿を捨てて役柄に挑んでると思う。また、ネズミやゴキブリまで人間でやっちゃうセンスにはドン引きでしかない。



加えてミュージカル・シーンの魅力にも欠ける。せっかくの映像化であるのに映画化の利点も感じず、躍動的な猫のダンスとか舞台を俯瞰で撮ってるに過ぎない工夫の無いカメラワークはフォローのしようが無い。わざわざ、希代の歌姫テイラー・スイフトまで引っ張り出しといてアレでは。

そもそも、トム・フーパーって監督自体が今まで大した作品を撮ってなかったことに気付く。アカデミー賞受賞作『英国王のスピーチ』だって、いつの時代に作られてもいいような、感情も揺さぶられない凡作でしか無いし。『レ・ミゼラブル』に限ってはヒュー・ジャックマンを筆頭に役者の演技に助けられていた気もするし。他の監督なら・・・・・・なんて、たられば論は言うべきではないにせよ、ブロードウェイや劇団四季の方が、よっぽど良く出来てると思わずにいられなかった。ただの悪口であって批評にも何にもなってないことは、自分でも承知の上で、この映画で感動した人まで批判する気は無いので、個人的意見としてご査収頂ければ幸いです。

(文・ROCKinNET.com編集部)
※無断転載・再交付は固く禁ずる。引用の際はURLとサイト名の記述必須。


 

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