少年ジャンプ全盛期に少年期を送ったので、ジョジョは正にドンピシャの世代である。なのに、読んだことが無い。そう言うと、大概、同年代からは、まるで犯罪者かのように蔑まされ、全力の口撃を喰らう。「人生半分損してる」とか、「今まで何を見て来たのか」とか。
いや、純粋に、あの絵が苦手だったんだよな・・・・・・自分が読んできたのは「ドラゴンボール」とか「ダイの大冒険」とか「ジャングルの王者たーちゃん」とか、ああいう系統。そんなジョジョ初心者が遂に20年ぶりにジョジョと相見えた時に、どう思うか? 自分でも楽しみだった。
まず、ジョジョは不良高校生が怪物を倒す、北斗の拳っぽい物語とばかり思っていたが違った。スタンドという守護神のようなものを操って闘い、そのスタンドの能力というのが、キャラクターによって異なるというのは面白いと思った。“かめはめ波”然り、こういう超自然主義的な特殊能力の発想はハリウッドには出来ない。ハリウッド的発想は、アイアンマンなんかで言えば、実際に機材を身にまとって、武装し、手から光線を出すという物理的な発想だが、日本の漫画はそれよりも非現実的で、空想的で、面白い。そのスタンドの描写が一大アクションを展開させると思ったのだが、、、
何か秀でたものが一切無かった映画だった。
しかも、三池監督と聞いて納得した。暴力映画の巨匠として名を馳せていたが、もうここ数年は、シリアスなものからコメディまで、なんでも撮る人である。どんなジャンルのものでも映画に出来てしまう職業監督である。しかも、ソツなくだ。このソツの無さこそ、最近の三池映画の弱点だと思う。要は、可もなく不可もない。映画に教科書はないが、マニュアル通りの映画。たいした驚きも感動もない。緩急が無いのだ。
このジョジョの実写も、あれだけ伝説的と言われた漫画をそのまま映画にしただけなのであろう。実際に漫画を読んでいないので偉そうなことは言えないが、漫画では面白かったのかもしれないシーンも、実写にすることで稚拙に見えてしまうパターンもあるかも知れない。岡田将生のスタンドが玩具を動かすという、正直、大人の感性で言わせて頂くと、チープであるものも、映像で見ると安っぽい。玩具と闘うって・・・・・・本物の弾丸にせよ、ミニサイズの玩具である。主人公のジョジョは、あれだけ派手なスタンドを使えるのに、玩具ひとつ瞬時に蹴散らせないのかとバカバカしくなった。しかも、舞台は屋内の一室。地味だ、地味過ぎる。そんなシーンに映画的なド派手なアクションが描けるはずもなく、大作なんて呼ぶには程遠いものだった。
ジョジョってこんな漫画だったのか? 何故、伝説的漫画と言えるのか? それを“ジョジョ素人”に証明できなかった時点で、今回の実写化は失敗と言えよう。
唯一、褒めるとしたら、若手俳優の演技力の向上だろうか。真剣佑や、岡田将生、神木隆之介の演技が際立っている。観月ありさが母親役と言うのも斬新だ。主演の山崎賢人は少女漫画映画ばかり出ていたので(興行的な結果は残しているので主演の抜擢は納得だった)、この手の作風も演技も初めてである。なもんで、期待通りの大根ぶりを発揮していたが、スクリーン栄えしちゃうのだからイケメンは得である(決して嫌いな俳優ではない)。
(文・ROCKinNET.com編集部 よっしー)
※無断転載は固く禁ずる
最新情報をお届けします
Twitter でROCKinNET.comをフォローしよう!
Follow @ROCKinNETcom
この記事へのコメントはありません。