93年の第一作目の『ジュラシック・パーク』が何故あんなに怖かったかと言えば、恐竜を見せない恐怖の煽り方が非常に上手かった。改めてスピルバーグってのは本当に天才なんだと感じた。そんな希代の天才の意志を受け継ぎ、続編を作っていくと言うのは難易度が高いものだろう。実際に、ジュラシックパークの続編は散々たる結果に終わったからだ。
それから『ジュラシック・ワールド』として復活。過去の続編の失敗をカヴァーする出来栄えに心躍ったものだが、最新作は敢えて恐竜を見せることでカオス状態を描き、作品としての娯楽性を高めていた。見世物として展示された恐竜たちが暴走し、テーマパークは崩壊。そのパークがある島の巨大な火山が爆発したことで、恐竜を保護するか否かの、自然保護的観点な議論がなされる。政府は自然に委ねることを結論付けるが、主人公たちは財閥に協力する形で恐竜の救出をもくろむも、その救出の真の目的は、とある計画に過ぎなかった・・・・・・
『ロストワールド』で描いたのと全く同じ、恐竜の暴走が人間の処理能力を超えてしまう様を描いている。
良く出来たシナリオだ。なかなか面白い。相変わらず巨大恐竜が暴れたり、火山の爆破なども起きたりと、劇中で起きるパニックの規模感が大きく、娯楽作としての厚みが出ている。
主人公であるクリス・プラット(もうちょい痩せろ)のヒロイズム炸裂な“かっちょええ”姿もバッチシ描けているし、申し分ないだろう。
ただ、致命的なことを言ってしまえば、恐竜が怖くない。今更、スクリーンに恐竜が出てきても恐怖を感じない時代。けど、問題は、そこじゃない。見せ方ではないかと思った。
第一作目の優れていた点の本質はホラーだったからだと思う。じわりじわりと心臓爆発しちゃいますってところまで緊張が煽られる。恐竜の足跡に溜まった水たまりがドスンという音と共に波打つとか。『ロストワールド』でも断崖絶壁で逆さになったバスのフロントガラスに、ジュリアン・ムーアが落ちて、徐々にヒビ割れていくような緊迫感の作り方とかね。この最新作は、そういう観客の恐怖心を煽り立てるような器用な描き方をしていない。
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麻酔銃で撃たれたクリス・プラットの傍まで溶岩が流れて来るなんて、この上ない緊張感あるシーンなのに、緊張が走る前に身体が動いちゃう。もっと焦らして❤(どMか!笑)
火山が大爆発し逃げる主人公たち、前作でも出てきた球体の走行マシーンに乗るが、ドアを閉める前に、肉食恐竜に襲われる。しかし、その恐竜、あっけなく、別のもっとデカイ恐竜に食われてしまう。
待て、待て! もっと危機的な状況に陥らせる描写をしてだな、恐怖心を掻き立てろって。勿体無い気がした。言ってみれば、シナリオの緻密さなんて不要。このジュラシック作品群の中で、最大の見所と言えば、ヒトが恐竜に襲われる恐怖なのだから。
新種の恐竜も迫力に欠ける。何が特殊なのかも分からない。これなら、今年2018年最大のおバカB級映画とも言われる『ランペイジ 巨獣大乱闘』で巨大化したワニの方がよっぽど迫力あった。恐竜がワニに負けてどうするのさ。
最後に主人公たちは大きな決断をする。驚くべき決断だ。決して許されはしない禁断の行為。それが次回にどう活かされるのか? 非常に興味深い。人間と恐竜は共存できない。それをさせてしまった罪は重い。大パニック必至の次回作は、恐竜が怖いという原点に立ち直ってほしいと感じる。
(文・ROCKinNET.com編集部)
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