黒人による黒人への差別と迫害・・・
アメリカでは黒人以上に同性愛が差別意識持たれているらしい。最近多い白人景観による不当な黒人への暴力ばかりが取りだたされるが、差別を受けるものが、また別のマイノリティを理不尽に差別する。LGBTへの差別意識は黒人からだけに限ったことではないが、差別の連鎖は現実世界にあるということだ。
とにかく胸の痛い映画だった。
黒人差別、同性愛、貧困、麻薬、イジメ・・・現代社会が抱える不都合な部分を全て背負った主人公の人生に胸締め付けられる。同時に、この映画を観るにあたって感じるべきなのは、「救いのない者の救済は何なのか?」だ。
マイノリティ、行き場の無い者、道から外れた者の救済は何か。
青年になり、麻薬の売人のリーダー格として、幼少期・少年期からは想像も付かないほど、厳つくなった主人公。売人仲間も恐れるほどの筋肉粒々な姿になったが、初恋の親友から電話があり、再開した後は、いじめに遭っていた少年期のように、どこか弱々しさが蘇っていた。同時に、恋心をもどかしく持った少年のような純粋な目に変わっていた。
ふとしたことで親友と性的な接触をして以来、彼の救済は初恋相手でもある親友でしかなかったのだ。親友はゲイではない、でも性的な接触をした事実が忘れられず、思い続けていた、ここにはLGBT云々関係ない普遍的な愛情を、この映画は描いている。実に切ない。
アメリカではFacebookの性別欄が50種類以上もあるという。またアメリカの14~34歳の60%が「性別の区分けは曖昧なものだ」と捉えているそうだ。
出典:http://fortune.com/2015/06/29/gender-fluid-binary-companies/
日本では神奈川県海老名市の鶴指眞澄市議による同性愛批判が堂々と行われ賛否を呼んだ、先進国の中でもLGBTの理解は遅れていることを如実に示している。この映画が受け入れられるはずも無い。ただ、LGBTでない私でさえも一定の理解を持っている人間もおり、これからの時代はそういう時代なんだという寛容性を持っていなければ、老害、原始人扱いを受けることだろう(笑)
同性愛云々を置いといても、この主人公のような人物もいるんだと、社会の隅の隅に追いやられている人物にスポットライトを当てた意味においては、この映画の存在価値は大きい。また、オスカー受賞した意義も大きい。何よりも平等を掲げなければならない。
『それでも夜は明ける』でも製作を担ったブラピが引き続き、プロデューサーとして名を連ねる。人種差別に対して積極性を見せている。それが二作もアカデミー賞に選ばれたことは快挙である。(いずれも監督賞は得られない事実はさて置き)
この映画がアカデミー賞獲ってくれて良かった。
(文・ROCKinNET.com編集部)
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