映画レビュー

『search』を観た!控えめに言っても大傑作!ここ数年で1番の大傑作と評したい!

© 2018 Sony Pictures Digital Productions Inc. All rights reserved.


控えめに言っても大傑作である。素晴らしいアイディア、完璧な映画だ!
全画面がパソコン画面で構成された映画という、その特異性に惹かれるも、それはビジュアル的なインパクトでしかなく本作が優れている要素の断片に過ぎない。そもそもが、主人公である父親にとっての娘に関する情報源・成すべき行動源がパソコン内にしかないという時代性に親和的な何かを感じる。WEBが必然であることが如何にも現代のコミュニケーションを反映していると実感する。
この映画を成立させるのにFaceTimeが重要な役割を担っていた。視覚的に見せなければ映画にはならないからだ。観客も、その限られた映像の中で、難解な事件を見守らねばならない。新鮮な体験だった。これこそ、本当の意味でのカメラを止めるな!である(笑)しかし、限定的な範囲での映像しか見られないにも関わらず、すごく躍動的なのだ。まるで「24」のジャック・バウアーが忙しなく動き回っているかのような速度を感じる。それだけシナリオが優れていたからであろう。

生ゴミを捨てなかった娘にSkypeで説教メッセージを入れるも、急にパタリと返事が届かなくなる。母親が逝去し父子家庭となり、ギクシャクしていた父娘であったことを暗に示しながらも、急に深夜、娘から数度のオンライン電話が鳴る奇妙なことが起きてから、映画は急ピッチで進む。
そのうち、娘と連絡が完全に途絶え時間が経つにつれ不安がどんどん掻き立てられる主人公の様も如何にもSNSに縛られた現代人の心理を反映しているかのようだ。既読スルーが気になる心理。

主人公は娘の友達も知らない。自ずと交友関係から調べていくことになるが、その時に、主人公が各種SNSのパスワードが分からない連鎖にハマるのが実にリアルだった。
加えて、Tumblr、Twitter、Facebook、Instagram、Skypeと調べて行くも、ただのSNS上の繋がりだけの顔見知りばかり。現代の浅はかな人間関係が浮き彫りにされる。娘の本当の友達は誰なのか?と困惑するなど、子供のプライベートまで把握しきれてない親あるあるに困惑すると同時に、現代のSNSの希薄な人間関係が、この映画の最大の障害となる。加えて、毎月ピアノ教室代金として娘に100ドル渡していたが、半年前に教室を辞めていたとか、謎深まる情報が怒涛に流れていく。他人のSNSを辿る過程が、こんなにもミステリアスだとは思わなかった。我々の日常に溶け込んだSNSだけに、妙にリアルな緊張感を生み出し、緊張感が途切れることが無かった。

[PR]


奇抜な発想だけが先行し、肝心の娯楽性が薄まった類似映画は今までたくさんあったが、この映画は発想に劣らない緻密なシナリオ展開で勝負するアグレッシブさが素晴らしい。本作を手掛けたのは、27歳の新進気鋭の監督だという。若いがゆえの先進的な発想と、革新的な挑戦が吉と出ている。
しかし、この映画の根底にあるのは娘への愛という普遍的なメッセージだ。この生身の人間性が、テクノロジーが際立つ本作に体温を与えている。人間ドラマとしての側面も持つからこそ、目が離せないのである。

犯人特定まで映画は怒涛の急反転!
思いもよらない犯人の特定に息を飲む。いくつもの伏線の回収の隙のなさは圧巻で、スリリングな展開が止むことないシナリオの功名さが秀逸で、こんな映画ここ数年で見たことない!見事としか言いようのない超絶娯楽ミステリーの誕生に、ただただ脱帽と唸るしかなかった。ここ数年で最高の映画と評していいかも知れない。

(文・ROCKinNET.com編集部)
※無断転載・再交付は固く禁ずる。引用の際はURLとサイト名の記述必須。

[PR]

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でROCKinNET.comをフォローしよう!

ピックアップ記事

  1. 遂にNYタイムズ誌まで?ガキ使の黒塗りメイク批判は行き過ぎだと思う理由!
  2. UVERworldの男祭り遂に東京ドーム実現!でも女性CREWからブーイング?
  3. ポール東京ドーム初日を観た!
  4. 『茅ヶ崎物語 ~MY LITTLE HOMETOWN~』からサザンがエロスを歌う…
  5. 今年2018年のサマソニがガラガラの異常事態!~その原因を探ってみた

関連記事

  1. 映画レビュー

    『ワンダーウーマン』から行き過ぎたフェミニズムは逆に男女差別を助長すると感じる

    大相撲の世界では土俵に女性は上がってはいけない事実。愛子様の皇位継…

  2. 映画レビュー

    【映画鑑賞日記】帝一の國

    漫画原作というか邦画そのものに面白みを感じない自分が絶賛したい…

  3. 映画レビュー

    横浜流星と中尾暢樹の戦隊俳優が魅せる感涙の王道青春映画『チア男子!!』が熱い!

    いい映画を観たなというのが率直な感想だ。朝井リョウ原作の青…

  4. 映画レビュー

    マーベル史上最高傑作更新!『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ 』が面白すぎる!

    最近のコミックヒーローは大変だ。単純に悪者を倒して、めでた…

  5. 映画レビュー

    『スカイスクレイパー』義足でもテロと闘う超人ロック様に痺れる!

    映画が好きなら誰しも思うだろう『ダイ・ハード』と『タワーリング…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

人気の記事

  1. 映画レビュー

    勝手に選ぶ今年良かった映画TOP10 2017大発表!
  2. 映画

    ピーター死亡?アベンジャーズと違う?話題の映画『スパイダーマン:スパイダーバース…
  3. 映画レビュー

    想定外のラストに衝撃!『アベンジャーズ/インフィニティー・ウォー』で初めてアメコ…
  4. 音楽

    【FUJI ROCK直前特集 Part.2】音楽に政治を持ち込むのは是か?非か?…
  5. ニュース

    【フジから若者が消えた?】フェスの“聖地”フジロックが中高年化している問題。若者…
PAGE TOP