控えめに言っても大傑作である。素晴らしいアイディア、完璧な映画だ!
全画面がパソコン画面で構成された映画という、その特異性に惹かれるも、それはビジュアル的なインパクトでしかなく本作が優れている要素の断片に過ぎない。そもそもが、主人公である父親にとっての娘に関する情報源・成すべき行動源がパソコン内にしかないという時代性に親和的な何かを感じる。WEBが必然であることが如何にも現代のコミュニケーションを反映していると実感する。
この映画を成立させるのにFaceTimeが重要な役割を担っていた。視覚的に見せなければ映画にはならないからだ。観客も、その限られた映像の中で、難解な事件を見守らねばならない。新鮮な体験だった。これこそ、本当の意味でのカメラを止めるな!である(笑)しかし、限定的な範囲での映像しか見られないにも関わらず、すごく躍動的なのだ。まるで「24」のジャック・バウアーが忙しなく動き回っているかのような速度を感じる。それだけシナリオが優れていたからであろう。
生ゴミを捨てなかった娘にSkypeで説教メッセージを入れるも、急にパタリと返事が届かなくなる。母親が逝去し父子家庭となり、ギクシャクしていた父娘であったことを暗に示しながらも、急に深夜、娘から数度のオンライン電話が鳴る奇妙なことが起きてから、映画は急ピッチで進む。
そのうち、娘と連絡が完全に途絶え時間が経つにつれ不安がどんどん掻き立てられる主人公の様も如何にもSNSに縛られた現代人の心理を反映しているかのようだ。既読スルーが気になる心理。
主人公は娘の友達も知らない。自ずと交友関係から調べていくことになるが、その時に、主人公が各種SNSのパスワードが分からない連鎖にハマるのが実にリアルだった。
加えて、Tumblr、Twitter、Facebook、Instagram、Skypeと調べて行くも、ただのSNS上の繋がりだけの顔見知りばかり。現代の浅はかな人間関係が浮き彫りにされる。娘の本当の友達は誰なのか?と困惑するなど、子供のプライベートまで把握しきれてない親あるあるに困惑すると同時に、現代のSNSの希薄な人間関係が、この映画の最大の障害となる。加えて、毎月ピアノ教室代金として娘に100ドル渡していたが、半年前に教室を辞めていたとか、謎深まる情報が怒涛に流れていく。他人のSNSを辿る過程が、こんなにもミステリアスだとは思わなかった。我々の日常に溶け込んだSNSだけに、妙にリアルな緊張感を生み出し、緊張感が途切れることが無かった。
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奇抜な発想だけが先行し、肝心の娯楽性が薄まった類似映画は今までたくさんあったが、この映画は発想に劣らない緻密なシナリオ展開で勝負するアグレッシブさが素晴らしい。本作を手掛けたのは、27歳の新進気鋭の監督だという。若いがゆえの先進的な発想と、革新的な挑戦が吉と出ている。
しかし、この映画の根底にあるのは娘への愛という普遍的なメッセージだ。この生身の人間性が、テクノロジーが際立つ本作に体温を与えている。人間ドラマとしての側面も持つからこそ、目が離せないのである。
犯人特定まで映画は怒涛の急反転!
思いもよらない犯人の特定に息を飲む。いくつもの伏線の回収の隙のなさは圧巻で、スリリングな展開が止むことないシナリオの功名さが秀逸で、こんな映画ここ数年で見たことない!見事としか言いようのない超絶娯楽ミステリーの誕生に、ただただ脱帽と唸るしかなかった。ここ数年で最高の映画と評していいかも知れない。
(文・ROCKinNET.com編集部)
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