アメリカで正義が揺らいでいる。白人警官による黒人への理不尽な暴力行為が後を絶たず、法の下の力が市民の安心安全を脅かすという由々しき事態に大国として内部から崩壊寸前である。思えば、昔から、汚職警官を描いた作品は存在した『L.A.コンフィデンシャル』『トレーニング・デイ』『チェンジリング』『イコライザー』、最近なんかでは『リチャード・ジュエル』なんかもそうだった。自国の恥部を晒すということは、まだ大国の自省作用が機能してる証明で安堵感を覚えるが、問題の解決に直結しないのはいけない。
頑固で喧嘩っ早いがゆえにキャリアを台無しにしてしまう不器用な正義感強い男を、そのまんまの性格のマーク・ウォールバーグが演じる。おそらく、彼史上最も本人に近いキャラクターだと思われる。見事なハマリ役。バディ映画というよりも、彼の一線超えちゃってまで己の正義を貫徹するひとり暴れん坊将軍状態なのが痛快で、好感度大だ。だって、上司の家に行った際に、その奥さんがDV受けてるのを目の当たりにして、そのままボッコボコにぶん殴っちゃうとか、いくらなんでもやり過ぎ・・・・・・なんだけど、痛快なんだよな~。
まさしく、不良版ダーティ・ハリー。市民感情では許しがたい、法的にはグレーな部分を自警感情で暴走しちゃうのが爽快すぎる! こういう利他的に動くアンチ・ヒロイズムってのは個人的に大好きだ。『24 -TWENTY FOUR-』のジャック・バウアーの如く。
同時に、この映画は、王道アクションを劇場公開作レベルでNetflixが作れる証明をした映画でもあろう。
主人公が投獄されている時に、喧嘩を売って来るのが、現代のヒップホップ界を牽引するポスト・マローンなのも注目。本格的な映画初進出である。最近は、『キャッツ』のテイラー・スイフト、『イエスタデイ』のエド・シーランなど、映画界に進出するミュージシャンが多いが、犯罪者を演じるとはマローンらしい。
俺なんかはアホなもんで、自分がギャンブルやらないからか、日本にカジノ出来れば、それだけ金を落としていく連中も増えて経済的に良いんじゃないかと思ってたんだけど、この映画でも、カジノ設立予定地に、マフィアから国家組織まで様々な利権が絡んで、裏ではドス黒いことになってるのを思うと、横浜へのIR誘致の反対派の声も何となく理解できた気がする。
これ、是非とも続編を作って欲しい!
(文・ROCKinNET.com編集部)
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