日本映画は『ミッション・インポッシブル』は作れない。しかも、永遠に。と思っていた。それは、制作費の問題で片付けられていたが、テレ朝の日本版「24」を観ても分かるとおり、映像センスや編集センスからして足元にも及んでいないのが分かる。
しかし、ようやく日本映画もハリウッドに少し近付けたかなと感じたのが、この『太陽は動かない』である。冒頭からのド派手なアクション(爆発やカーチェイス)と、日本映画としては珍しいほどの肉弾戦が繰り広げられ、ハリウッド大作に肩を並べる迫力を醸し出していたのは驚いた。また、多国籍なスケールの大きさも近年の邦画では珍しい。ワクワク興奮した。
心臓にチップを埋め込まれた諜報員の様を描いた物語は、どこか絶望と悲哀に満ちており、胸苦しさも感じる。この手の、現実離れした理不尽な世界観といったら、この人の右に出る者はいない、藤原竜也だ! 今回も良い味を出している。ますます味のある演技をしていたのが嬉しかった。
主人公が、なぜ諜報員になったのか、その生い立ちが感傷的に描かれる。懐古シーンの多さは邦画的だなと、少しくどく感じたが、もし、これが続編だったりテレビドラマとして続くのであれば、まぁ良しとしたい。
彼の「今日を生き抜くことだけ考える」と言う台詞、この映画は上映が延期されたので、コロナ以前に制作された作品であるが、その頃の、なんとなく格差が広がり、見せかけの好景気の中でもがきながら生活を送る時代性と共感できる価値観に思えた。
旬の若手である竹内涼真の存在が些か薄かったのは勿体無い。藤原竜也にスポットライトが当たりすぎて、バディ映画としては少し物足りなさは感じる。
本作はWOWOWとの連動企画だ、羽住監督は『MOZU』でも同局のドラマと劇場版を手掛けた。海猿のヒットも記憶に新しい。どうやら、ドラマを劇場版で集約させるパターンがお得意のようだ。ただ、どうも本作は締まりが悪いというか、最終的に事件が解決するにせよ、主人公が悪の親玉を倒すとか、そういった最大の見せ場もなく、尻すぼみになった気もしてならない。アクション作品ってのは、後半にいちばんの見せ場があってこそだ(この映画は序盤がクライマックスのようで)。消化不良で終わったのは惜しいので、これは、絶対に続編を作るべきだと強く要望したい。
(文・ROCKinNET.com編集部)
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