昨年末に公開され世界中で大ヒットを記録した『スター・ウォーズ』シリーズ9作目となる『スカイウォーカーの夜明け』。この映画には、旧帝国軍の皇帝パルパティーンが復活したことでもファンを驚かせたが、正直しっくり来ない部分も多かった。エピソード6『ジェダイの帰還』でダース・ベイダーによって倒されたはずのパルパティーンが、なぜ今更復活したのか? 評判著しくない続三部作の最後の悪あがきでファンサービスとして登場させたのかなと個人的には消化していたのだが、今月中旬に発売予定の小説版で、その理由が明確に記されていたというのだ!
小説版には次のように記されているという。
全ての瓶には液体が入っていなかったため、ほとんどが空となった。カイロは近づき覗き込んだ。彼は過去にもこの器具を見たことがあった。彼が少年時代『クローン・ウォーズ』について勉強していた時だ。彼は皇帝の腐敗した肉体を維持するために勝ち目のない戦いをする前、液体は悪夢のような現実へと流れ込む。
「私に何を与えてくれるのでしょう?」とカイロは尋ねた。どうにか生きながらえた皇帝パルパティーン、そしてカイロはこのクローンの体の芯と、皇帝の実際の魂を感じることができた。それは不完全なものでありながら、彼の計り知れない力を封じ込めることはできなかった。
ちょっと分かりにくい表現だけど、要はパルパティーンはクローンの体を用意し、生命を維持できたよって話。しかも、このエピソードは映画で描かれる予定だったのにカットされたらしく(いやいや、ソコはカットすべきではない)余計にご都合主義になってしまった感がある。
けど、逆にこの設定が明らかになったことでファンからは不満の声も。「クローン再生ありなら何でもありじゃんか?」「これじゃ暗黒時代に終焉はない」「旧三部作のハッピーエンドは何だったの?」「それならハン・ソロもクローンで蘇らせろよ」など、否定的な意見が多い。
確か『フォースの覚醒』公開時にレイは何者なのか、彼女の存在は何なのかに関心が集まった。元を辿れば『スター・ウォーズ』はスカイウォーカーの家系話である。だから、レイがアナキンの娘や遠い親戚かなど、スカイウォーカー家と関連付けた様々な憶測が飛んだ。当時の有力な説としては、オビワン・ケノービの娘か弟子というものがあった。父親や師の仇であるスカイウォーカーへの復讐物語として展開するのも安直だけど面白いかもとか。
レイの正体が、なかなか明らかにされず、『スカイウォーカーの夜明け』でパルパティーンの孫という突拍子も無い設定が暴露された。それまでパルパティーンを彷彿とさせる素振りが一切無かっただけに、この展開は賛否両論でもあったし、対峙する悪の存在が自分の親族であるというのは、シリーズ最高傑作の呼び声高い『帝国の逆襲』でダース・ベイダーがルークに父親だとカミングアウトするシーンの踏襲でもある。
驚愕の事実だ!とか、『スター・ウォーズ』らしく家系物語にまとめられたと物語を受け入れる見方も出来よう、あるいは、過去作のコピーで斬新さがない、傑作シリーズの呪縛から解放されなかったなど批判的な見方も出来る。
ただ、やはり問題はレイの正体を驚愕の事実にするためだけに、死んだはずのパルパティーンをクローンにまでして蘇らせるというのはSFとしても些かチープに思えてしまった。続三部作は旧三部作との辻褄合わせに翻弄した挙げ句に変に歪な話になった感がある。ディズニーがルーカスの意見を完全に無視したツケでもあろう。
(文・ROCKinNET.com編集部)
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