前作『君の名は。』のヒットにどこまで近付けるか?超えるか?
社会現象にもなった超絶ヒット作『君の名は。』から早3年。
新海誠監督の新作『天気の子』がいよいよ公開される!
監督曰くド直球の娯楽作であると断言するなど期待感を煽るだけ煽る発言が気になるが、最も難題なのは興収であろう。『君の名は。』は、約250億円に達し、国内歴代4位、日本映画だけで見ると歴代2位を記録した。前作がこれだけの好成績を収めた以上は、そんじょそこらの興収では許されない。日本映画の合格ラインと言われる30億でも1/8以上だ。洋邦問わずに国内年間トップの興収でも80億前後なので、それでも半分以下と言われてしまう。通常なら大成功と言われる興収でも失敗、行き着く先は「一発屋」のレッテルが貼られてしまう。それでも、梅雨入り間際に劇場で流れ始めた予告編を見る限りは期待を裏切らない作品と想像しているが、もし不安要素があるとすれば何かを検討してみたい。
主題歌が『君の名は。』と同じRADWIMPSであることの類似感
まず、主題歌・劇中歌の担当が『君の名は。』と同じRADWIMPSである点だ。ジブリを例に出すなら、大衆歌手やポップ・ソングを避け(松任谷由実を除く)、オペラやソープ、フォーク、民族歌謡など、ニッチ分野から独自に発掘した歌手を起用することで独特な世界観の構築に成功していた。それは作画や演出が似ていようが、各作品の完全なる分離も成し遂げていたように思える。劇中歌は久石譲で一緒だったが。しかし、『天気の子』は、主題歌の歌手が一緒ということで、変わり映えしないと思われないか、似ている、大差がないという印象が持たれないか気に掛かる。前作の「前前前世」が、ポップ・ソングとしても質が高く、同時にあまりに世界観とマッチしていたために、そのハードルを超えられるか。何の分野でもそうだ、大抵ファースト・インパクトが大きいほど、その次はトーンダウンする傾向にあること、是が非でも前作と比較対象になってしまうのは得策とは言えないと思っていた。ただ、予告編で既に流れている「愛にできることはまだあるかい」「グランドエスケープ」の楽曲のクオリティは高い。
キャラクターの容姿が『君の名は。』と個性も大差も無い
それと登場人物の見た目の無個性さ。それは私がおっさんだから若い子(アイドルグループなんか特に)見てもどれも同じ子に見えるんだろ・・・・・・って、まだそこまで爺じゃねえんだわッ! また、ジブリを引き合いに出すのは申し訳ないが、例えば「シータ」「キキ」「サン」「千尋」を並べると、その容姿の個性で瞬時に区別が付く。けど、今回の『天気の子』の帆高と陽菜、前作『君の名は。』の三葉と瀧くんの容姿の特徴はさほど差が無い。ジブリほどのファンタジー世界を描いておらず、あくまで舞台は現代社会であることから、普遍的な人物を描く限りは致し方ないのかも知れないが、毎回同じような人物描写の着せ替えばかりやっていたら、視覚的インパクトに欠け、実はアニメとして致命的なのかも知れない。
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賛否両論?根暗全開の新海節がカンバックしていないか心配!
それと意外にも作風にも不安が残る。先日、「東宝の夏休み映画の王道とは少しズラしたので賛否両論になる」という旨の発言があった。製作報告会見でも、RADWIMPSの野田洋次郎も「意外性もあった。僕はもうちょっとわかりやすくマスに向けた物語を予想していたんですが、ものすごく攻めていて。新海節を発揮していて、出来上がったらきっと賛否の嵐を巻き起こすんだろうな」と発言しているのが意味深だ。新海監督の作品は『君の名は。』こそポップで明るい作風だったが、それ以前の作品『言の葉の庭』や『秒速5センチメートル』は個人的見解で申し訳ないが「根暗全開」で救いようのない作風だった。
気になるのは野田の<新海節を発揮していて>という言葉だ。これって『君の名は。』のようなドストレートな明るいポップ映画ではなく、根暗回帰したことを意味する? 新海監督が認められたのは『君の名は。』のような日本のポップ・カルチャーを象徴するような明るさだったわけで、今の新海誠に『君の名は』以前の暗さは誰も求めていない。口コミで徐々に人気を得ていった『君の名は。』とは異なり、今回の『天気の子』は公開初期でロケットスタートを切るだろうから、ロングランするか否かは、やはり作風の評判と直結するのではないかと思う。選択を間違えていなければいいのだが。
こんな根拠無き予想をしても仕方ないと思うが、いよいよ公開まで2週間を切った『天気の子』!
何かと暗い話題が多い日本を明るく照らし、正に“天気にしてくれる”ことを心から願いたい!
(文・ROCKinNET.com編集部)
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