世界最大の音楽ストリーミング・サービス「Spotify」が今年2018年の音楽シーンを振り返るランキングを発表した。世界的に見るとトップは文句無しのドレイクで、次点がBTSだった。アジア圏のミュージシャンとして最新ALが初のビルボード首位を獲得したり、国連でスピーチをしたり、欧米の名だたる会場で大規模ライヴを開催するなど、正に今年2018年はBTS(防弾少年団)の1年である納得の順位である。
しかし、日本では原爆シャツ着用により批判を浴び音楽番組出禁になる騒動に。また、騒動直後に開催された東京ドーム公演でも直接的な謝罪が無かったことで不満も噴出するなど、日本国内での評判は決して良いとは言えない側面もある・・・・・・
と思いきや、Spotifyで日本国内において最も再生されたアーティストがBTSだと言うから正直驚いた。次点がワンオク、3位は同じ韓国出身TWICE、4位が宇多田ヒカル、5位がミスチルと有名且つ錚々たる人気アーティストを制しての堂々のトップである。どうせ、原爆シャツ騒動で起こった一時的な注目度と思いきや、最も再生されたアルバムがBTSの『Love Yourself 結』であり、興味ではなく作品として消費されていた。これは音楽的関心が無ければ、あり得ない結果だ。
以前、原爆シャツ騒動があっても彼らの国内の人気は下がらないだろうと予想したが、傾向としては間違えていなかったようだ。結局はBTSに対する執拗なバッシングをしていた極右思想は一部の日本人だけだったのかも知れない。現にtiktokでは彼らの楽曲で踊る若者が多くいるし、新曲「FAKE LOVE」は40万枚を売り上げ、オリコンのシングルチャートで初登場1位を記録している。
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それは何故か?
日本のおばちゃん連中が熱狂した「冬のソナタ」に代表される韓流ドラマが牽引した第1次ブームに続き、数年後に東方神起やSHINee、BIGBANG、少女時代、KARAなどによる若者がK-POPに夢中になった第2次ブームが起こるなども、韓流ブームは断続的に盛衰を繰り返している。それも、例えば12年の李明博元大統領の竹島上陸と天皇陛下に対する不敬発言など、両国間の政治問題が原因だったりする。
しかし、日本の若者は音楽に触れる際に、歴史とかイデオロギーとかの側面に比重を置いていない。個人的な印象として自分の周囲には男女問わずにBIGBANG人気が高いのだが、韓国との歴史を振り返った上でK-POPの好き嫌いを判断している人間は皆無だし、そんな奴はモテないし友達も少なそう。要は面倒臭い。もちろん、若い世代全てがのんぽりとは言わないが、大半はそうだと考えるのが一般的だろう。
結局は無関心なのだ。
原爆シャツを着用される行為が侮辱とも思わない。
許せない極右思想の大人も多いことだろう。けど、これが現実である。国内の選挙投票率さえも半数割れが当たり前となっている昨今、隣国との歴史まで気にして音楽なんて聴いていられない。憂いたいのではない。むしろ、原爆シャツによって強引に引き出された日韓関係だが、本来は文化的交流として正しいのは、何も気にせずに直感的に楽しんでる若者の方だと言っても、これは言い過ぎじゃないかも知れない。また、これだけ世界的な成功を収めているBTSが日本でも流行していることには少し安堵感もあるのだ。(※一応、弁明しとくが、原爆シャツの是非とは全く関係ない発言であるので!)
というのは、ここ数年の日本の映画や音楽消費が世界から孤立し過ぎている。映画で言えば、『アベンジャーズ』が『コナン』に負けるとか、お前らマジか?状態。別に国内の作品が国内で消費されることは素晴らしいと思うが、ワンオクやBABYMETALなど、世界進出しているバンドも数多くいる以上は、やはり日本でも海外の作品に触れる機会が増えないと、鎖国的なマスターベーション産業化しそうで先行き心配だ。要は外気に触れないと発展しないから。BTSから何かを学べってことではなく、世界の潮流に少しでも足並み揃えられる隙間があったことだけは良かったなと思った。
(文・ROCKinNET.com編集部)
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