フジロックとサマソニの面子が逆転現象?
年明け早々に発表された国内二大フェスであるフジロックとサマソニのラインナップ。ケンドリック・ラマーやN.E.R.Dなどを発表したフジロックに対して、ベックやノエル・ギャラガーを発表したサマソニに、音楽ファンからは戸惑いの声が多数上がった。『君の名は。』よろしく、この両者が入れ替わったようなラインナップだったからだ。
サマソニ、ソニックマニア第2弾を見た感想
フジロック「これってもしかして」 サマソニ「私たちの身体が」 「「入れ替わってる~!」」— fuhihihi (@Fuhihihi) 2018年2月2日
フジロックの日高氏も大衆音楽を好まないのは有名な話であるし、流行に乗ったキャスティングはしない。そういう拘りが他と異なり、聖地の威厳を維持できる由縁でもあろう。また、社会風刺的なメッセージ性も強く、苗場の大自然に囲まれた環境も手伝って、世界の最重要「音楽フェスティバル」ランキングで三位に選出されるという栄誉に輝いたわけだ。
中高年おひとりさまフェスと揶揄されるフジロック
ただ、そんな“聖地”フジロックが、近年は「年寄りフェス」と揶揄されることがあるという。フジロックは他フェスと比較しても金と手間が掛かる。苗場の山奥ということもあり、遠征費や宿泊道具、チケット代も他フェス以上である。子供は行けない。大人が自然と集まる。昔は若者が集っていたが、その頃に二十歳前後の人間も四十を迎えるころだ。
小沢健二の懐メロで大盛り上がりの時代錯誤感
それが的確だなと思ったのが、昨年2017年に出演した小沢健二が大盛況だったことに表れている。もはやカラオケ大会。小沢健二は言ってみれば当時は原宿文化の象徴だったが、ここ十数年は目立った音楽発信もしていなかったし、大衆性を欠いた懐メロ歌手と言って過言ではない。彼の歌を歌えるというのは、相応の年齢だということだ。楽しければいいけど、懐メロのカラオケ大会じゃ何処か寂しい気もする。
若返りの秘訣は大衆音楽依存なのか?
最近のフジロックは、ステージ後方で座っている人が実に多い。2005年に、まだレッチリにジョン・フルシアンテがいた頃のフジロックでは考えられない光景だ。ロック好きな若者で溢れかえり、雨が降りしきる中で、全身、雨や泥や汗でグチョグチョになりながらも大盛り上がりだった頃に比べれると些か寂しい。
ヒッピー文化の日本での再現が、今や“おひとりさま”中高年の祭典と揶揄される始末。
不倫騒動前の年に「ゲスの極み乙女」を呼んで満員になったというのを何かの媒体で見て、フジロックらしくないなと思ったが、若返りとか大衆性の意識も多少は必要なのかも。もちろん、そればかりになったらフジロックではなくなるのでバランスが重要だが。
最大の要因は若者の洋楽離れにある?
邦楽ロックバンドの台頭が顕著だった2010年代
なんで、こうもフジロックが老化したのか。現にサマソニやロッキンと比較すると30代以上の比率が異様に高いことが分かっている(株式会社SKIYAKI APPS調査)。10代20代の比率は確実に減ってる。それは、若者の洋楽離れにも起因すると思う。未だに洋楽のパッケージの売上ランキングの1位がビートルズなんだから致命的である。
では、なぜ若者は洋楽を聴かなくなったのか? 洋楽好きな若者も多いけど、総体的に見ての印象である。我々の時代は、特にバンドをやっていれば、にっちもさっちも洋楽だった。レッチリ、グリーンデイ、オアシス、レディへ、コールドプレイと、カリスマバンドが多かったし。
今の若者の洋楽ロック離れで考えられるのは、
・英語歌詞が分からない。
・カリスマ的バンドがいない。
・洋楽でもEDM、ポップ・シンガーの人気が高い。
・何から聴いたらいいのか分からない。
・日本のバンドの影響が凄い。
このへんが挙げられるだろう。
邦高洋低の音楽消費がフェス動員にも反映
特に、自国のバンド・シーンの方が盛り上がってるのは、洋楽消費低迷に大きく影響していると思われる。これは、rockin’on運営のロック・イン・ジャパンの成功につられたように、次々に出現した邦楽フェス・ブームにも因る。今や夏だけでなく一年中、全国の何処かしらで邦楽フェスが行われている。SNSを見ると「邦楽ロックが好き」なんてハッシュタグもあったりして、ロックと言うジャンルを、わざわざ国限定するのだから不可思議だ。はなから洋楽は聴かない宣言のようだ。
邦楽フェスの集客が、洋楽フェスを上回っている事実もある。だから、ここ数年のサマソニなんかは、邦楽勢を優遇したりする。時代の変化とも言えるだろうが、[Alexandros]の川上洋平がオアシスに憧れ、影響されたように、世界基準のロックは洋楽にあると僕は思う。だからこそ、洋楽低迷は寂しい。もちろん、日本のバンドのレベルも上がっている事実は認めるが、世界的アーティストの凄味は何にも変え難いものがあると思うのだが。
出典:nikkan-gendai.com/articles/view/life/210855
(文・ROCKinNET.com編集部)
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