彼らが出てきた時は「ミッシェル・ガン・エレファントの再来か?」などと言われた。事実、今現在も日本一カッコ良いバンドだろうと筆者は思っているが、なんせ不幸なバンドである。大々的に注目されるも、ギタリストが失踪。それから幾度となくメンバー脱退を経験する。ロック・バンドとは本来、そういった流動的なもので、仲良しこよしでやる方が気味悪さを感じるようなもの。佐々木(Vo)の愚直さ・不器用さもあるかも知れないが、プロモーションかけて世間に媚びへつらうようなタイプのロック・ミュージシャンではないゆえ、大衆ロックと呼ぶには程遠いし、知る人ぞ知る的な立ち位置になってしまっていることに、旧来ファンとしては、もどかしさも感じる。
a flood of circleの主なメンバー脱退&新加入歴
・岡庭匡志(Gt)1stアルバムのツアーファイナル前に失踪。2009年脱退。
これ以降サポートメンバーで活動する。特にフラッド史に於ける曽根巧の功績は大きい。
・石井康崇(Ba)2010年脱退。
・HISAYO(Ba)が新加入。現メンバー。
・Duran(Gt)2015年新加入するも僅か八ヶ月で脱退。
サポートメンバーの時期再び。キョウスケ(爆弾ジョニー)も務める。
オーディションもしており、この時にアオキテツがサポート加入。
・アオキテツ(Gt)2018年正式加入。
もしかしたら、最初の失踪が無かったら、フラッドの方向性も大きく違っていたのかも知れないと思う時がある。もっと業界挙げてPUSH!PUSH!されたんじゃないかとか。けど、現在のフラッドの姿がカッコ良すぎて、もはやこれで良かったとすら思えてくる。
昨年2017年のROCK IN JAPANで久々にフラッドを観たのだが、アオキテツの姿もあって、「あ、ギターのサポートメンバーまた変わったんだ」と思っていたんだけど、前のめり感も凄まじくて、もう目がギラギラしててパワフルで、本当にコイツはサポートなのかと思ったくらいで。正しくフラッドのサポートを務めるのに適してるなとは思っていた。まさか、正式メンバーになるとは思っていなかったけど。
で、2018年2月に行われたTSUTAYA O-EASTでのライブで
佐々木「一般公募したのいつだっけ?」
アオキ「2年前の6月くらい」
佐々木「ふんわりだな。でも、2年くらいやってんだもんね」
アオキ「ま、言ってる間に2年」
佐々木「一般公募の時にあやふやにギタリスト募集って言ってたんで・・・・・・入る?」
客席から歓声
アオキ「軽いよ~!入るよ!!!」
このようなやり取りがステージ上であって、何度目かの新生フラッドは誕生した。
そして、佐々木が「俺たち、佐々木亮介、渡邊一丘、HISAYO、そしてアオキテツ!a flood of circleです、よろしくどうぞ!」と高らかに宣言した後に、お馴染みの「おはようございます、a flood of circleです」と言う。涙が出る思いだった。なんとなく、やっと到達した感じ。完成形が見れた感じがした。アオキなら定着するだろうという妙な説得感を感じる。実際に、この日のライブでのMCで「a flood of circleは、ギター、俺で終わり!」とアオキは言った。その言葉、信じる。
フラッドは非常に疾走感のあるバンドだ。例えメンバーが急遽脱退しても、もたつかない。常に前進している。この速度に付いていけるだけの、技術も若さも体力も、刺々しさすら兼ね揃えているギタリストが新加入し、フラッドは何となく次なるステージに進むような気がしている。ユニゾンの田淵とのコラボ「ミッドナイト・クローラー」もすこぶる良かった。
(文・ROCKinNET.com編集部)
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