邦楽

DA PUMPがSMAPの振付をすることが芸能界で衝撃的である理由

TBS「音楽の日」2018/7/14OAより

正直驚いた。TBSが毎年OAしている特大音楽番組「音楽の日」にDA PUMPが出演し、SMAPの「世界に一つだけの花」の振付をしたことが話題となった。司会の中居正広も「ISSA、粋なことをしますね」と嬉しそうだったのが印象的である。

まずは、DA PUMPがジャニーズ司会の番組に出ること自体が事件である。今でこそジャニーズ事務所の弱体化もあり、時代の変化もあり、緩和傾向にあるが、80~90年代はジャニーズ黄金期。歌って踊る男性グループなど、ジャニーズによる横槍で徹底的に潰され、テレビなど出れないのが常識であった。「天才たけしの元気が出るテレビ」で一躍人気者となったグレートチキンパワーズなんかも男性二人組ってだけでKinKi Kidsと被るとされ徹底的に潰された。
ほら、元SMAPの三人(香取・稲垣・草なぎ)だって急にテレビ露出が減ったでしょ。田原俊彦も、光GENJIも、赤西仁も、事務所退所組はテレビなんて出れるはずもないくらいに徹底して潰される。
元ジャニーズのAAAなんかもそう。ワンオクはジャンルが違うこと、活動拠点がテレビでなくライブハウスやフェスなので横槍も入れづらかったのだろう。郷ひろみは賢くて、ジャニーズの将来を担うジャニーズJr.達と共に、ジャニーズ並みの力を持つバーニング事務所に移籍したことで圧力を回避した。

DA PUMPも例外ではなかった。彼らがデビューしたのは1997年。当時はテレビを付ければジャニーズがいない時が無いくらい芸能界で幅を利かせていた頃。今もその名残はあるが。
当時、安室奈美恵の大ブレイクでバーニング事務所、ジャニーズ事務所と肩を並べる勢いだったライジング事務所の平社長が男性アイドルにも着手。ジャニー喜多川氏に挨拶に行ったことが当時の元ジャニーズタレントの暴露本に書かれていた。島田紳助が新撰組リアンをデビューさせる際にも「ジャニーズさんに挨拶行ってません」と会見で言う等、男性アイドル界隈はジャニーズの許可なく(許可あっても潰されるが)自由に活動はできないのだ。

[PR]

そんなDA PUMPだが、実は一度だけMステに出たことがある(今のブレイク除いての話だ)。大黒摩季がテレビに初めて出た注目の回だったので、よーく覚えている。なんと、それまで必ず一組は出ていたジャニーズ事務所タレントが出なかったのだ。代わりに登場したのがデビュー間もないDA PUMP。度肝を抜かれた。当然、ジャニーズが自分の所からタレントを出すわけがない。それ以降、DA PUMPはMステには出ていない。ジャニーズに反旗を翻した回として伝説的だと思っている。

それ以降、ライジング事務所は、w-inds、Lead、FLAMEと次々に男性グループを世に出すがことごとくジャニーズに潰される。唯一のテレビ出演が可能だった「HEY!HEY!HEY!」で名前を売るチャンスがあったが(旧DA PUMPのメンバーと松本人志の絡みなんて最高に面白かったけどなぁ)、プロデューサーがきくち伸氏から、ジャニーズ窓口担当の三浦淳氏に代わってから、この番組もジャニーズに占領され、それ以外の男性グループは出れなくなる。w-inds、Leadあたりはこれで日本のテレビ出演が壊滅的になる。w-indsに限っては、そこからジャニーズの息が掛からない海外進出をいち早く果たし人気を博すことになる。Leadはリーダーが脱退し低迷中である。

これほど、ギョーカイに影響力を持つジャニーズである。これは各メディアに自分のタレントの版権を握らせ、カレンダーとか出版権で儲けさせるということなのである。日本の女子は不思議なことに大半がジャニーズを通過するもので、これが莫大な売り上げになることから、テレビ局も出版界もジャニーズに頭が上がらないのだ。JUNONはいち早くジャニーズからの脱退をしているが。

こう見ると、如何にISSAと中居が再開し「ご無沙汰だね」と挨拶を交わした意味が大きいか分かるだろう。ましてや、DA PUMPが大ブレイク中の「U.S.A.」を披露している最中にSMAPの「世界で一つだけの花」の振付を披露するなど、業界のタブー中のタブーをやっちゃうのだからISSAってのは大した男だなと心底思う。

BOYS AND MEN、MAG!C☆PRINCE等、最近は男性アイドルも増えてきた。CMなんかにも抜擢されたり、無駄に高い跳び箱飛んでる子もいるしね。本当に時代が変わったと思う。ISSAの音楽番組の出演と振付もそうだけど、芸能界における時代の大きな変化を感じた瞬間だった。けど、これが当たり前だと思う。権力ではなく、実力で勝負してみろっての。今まで陽が当たらなかった才能もどれだけあったか分からない。

(文・ROCKinNET.com編集部)
※無断転載・再交付は固く禁ずる。引用の際はURLとサイト名の記述必須。



 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でROCKinNET.comをフォローしよう!

ピックアップ記事

  1. DA PUMPがSMAPの振付をすることが芸能界で衝撃的である理由
  2. 遂にNYタイムズ誌まで?ガキ使の黒塗りメイク批判は行き過ぎだと思う理由!
  3. ワン・ダイレクションのソロ実績がビートルズに並ぶ!活動休止後の各メンバーの成績も…
  4. 【全曲レビュー】桑田佳祐の最新作『がらくた』が凄過ぎた!大衆音楽ここに極まり!
  5. 『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』の功績は神話をオリジナリティをもって進展させ…

関連記事

  1. 日記

    ネット批判が完全正義な世は如何に~後編~

    今回のサザン騒動も真意からだい~ぶ離れていって、批判だけが…

  2. 邦楽

    桑田佳祐が「ヨシ子さん」でやりたかった開放

    本格的に音楽番組への出演など精力的なメディア戦略を始めた桑…

  3. ライブレポート

    Mr.Children25周年東京ドーム公演で感じた邦楽の良心

    圧倒される三時間強だった。冒頭から有名曲の連続。「CENTER O…

  4. 邦楽

    サザン復活で注目される、とあるバンド!~桑田を名乗っちゃ駄目~

    サザン復活で賑わってる中、「READ ALOUD」というバンド…

  5. 邦楽

    新作&全国ツアーが決定した桑田佳祐に付きまとう2つの不安要素とは?

    新作と五大ドーム含む全国ツアー発表!今年ソロ活動30周年を迎え…

  6. 邦楽

    第10回 独断で選ぶ素晴らしい邦楽たちTOP10 2018

    毎年恒例になり今年で記念すべき10回目を迎えることになりました…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

人気の記事

  1. ニュース

    アリアナ・グランデのライヴ会場で起こった爆発テロについて
  2. 音楽

    【この夏も話題独占】ジャスティン・ビーバーの恋愛遍歴を振り返り!
  3. ライブレポート

    【ライヴレポート】ポール・マッカートニー(2018/11/1@東京ドーム)
  4. 邦楽

    【全曲レビュー】桑田佳祐の最新作『がらくた』が凄過ぎた!大衆音楽ここに極まり!
  5. 邦楽

    KEYTALKの八木氏はナゼ愛されるのか?その無敵な愛嬌の謎と八木氏のドラムテク…
PAGE TOP