正直驚いた。TBSが毎年OAしている特大音楽番組「音楽の日」にDA PUMPが出演し、SMAPの「世界に一つだけの花」の振付をしたことが話題となった。司会の中居正広も「ISSA、粋なことをしますね」と嬉しそうだったのが印象的である。
まずは、DA PUMPがジャニーズ司会の番組に出ること自体が事件である。今でこそジャニーズ事務所の弱体化もあり、時代の変化もあり、緩和傾向にあるが、80~90年代はジャニーズ黄金期。歌って踊る男性グループなど、ジャニーズによる横槍で徹底的に潰され、テレビなど出れないのが常識であった。「天才たけしの元気が出るテレビ」で一躍人気者となったグレートチキンパワーズなんかも男性二人組ってだけでKinKi Kidsと被るとされ徹底的に潰された。
ほら、元SMAPの三人(香取・稲垣・草なぎ)だって急にテレビ露出が減ったでしょ。田原俊彦も、光GENJIも、赤西仁も、事務所退所組はテレビなんて出れるはずもないくらいに徹底して潰される。
元ジャニーズのAAAなんかもそう。ワンオクはジャンルが違うこと、活動拠点がテレビでなくライブハウスやフェスなので横槍も入れづらかったのだろう。郷ひろみは賢くて、ジャニーズの将来を担うジャニーズJr.達と共に、ジャニーズ並みの力を持つバーニング事務所に移籍したことで圧力を回避した。
DA PUMPも例外ではなかった。彼らがデビューしたのは1997年。当時はテレビを付ければジャニーズがいない時が無いくらい芸能界で幅を利かせていた頃。今もその名残はあるが。
当時、安室奈美恵の大ブレイクでバーニング事務所、ジャニーズ事務所と肩を並べる勢いだったライジング事務所の平社長が男性アイドルにも着手。ジャニー喜多川氏に挨拶に行ったことが当時の元ジャニーズタレントの暴露本に書かれていた。島田紳助が新撰組リアンをデビューさせる際にも「ジャニーズさんに挨拶行ってません」と会見で言う等、男性アイドル界隈はジャニーズの許可なく(許可あっても潰されるが)自由に活動はできないのだ。
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そんなDA PUMPだが、実は一度だけMステに出たことがある(今のブレイク除いての話だ)。大黒摩季がテレビに初めて出た注目の回だったので、よーく覚えている。なんと、それまで必ず一組は出ていたジャニーズ事務所タレントが出なかったのだ。代わりに登場したのがデビュー間もないDA PUMP。度肝を抜かれた。当然、ジャニーズが自分の所からタレントを出すわけがない。それ以降、DA PUMPはMステには出ていない。ジャニーズに反旗を翻した回として伝説的だと思っている。
それ以降、ライジング事務所は、w-inds、Lead、FLAMEと次々に男性グループを世に出すがことごとくジャニーズに潰される。唯一のテレビ出演が可能だった「HEY!HEY!HEY!」で名前を売るチャンスがあったが(旧DA PUMPのメンバーと松本人志の絡みなんて最高に面白かったけどなぁ)、プロデューサーがきくち伸氏から、ジャニーズ窓口担当の三浦淳氏に代わってから、この番組もジャニーズに占領され、それ以外の男性グループは出れなくなる。w-inds、Leadあたりはこれで日本のテレビ出演が壊滅的になる。w-indsに限っては、そこからジャニーズの息が掛からない海外進出をいち早く果たし人気を博すことになる。Leadはリーダーが脱退し低迷中である。
これほど、ギョーカイに影響力を持つジャニーズである。これは各メディアに自分のタレントの版権を握らせ、カレンダーとか出版権で儲けさせるということなのである。日本の女子は不思議なことに大半がジャニーズを通過するもので、これが莫大な売り上げになることから、テレビ局も出版界もジャニーズに頭が上がらないのだ。JUNONはいち早くジャニーズからの脱退をしているが。
こう見ると、如何にISSAと中居が再開し「ご無沙汰だね」と挨拶を交わした意味が大きいか分かるだろう。ましてや、DA PUMPが大ブレイク中の「U.S.A.」を披露している最中にSMAPの「世界で一つだけの花」の振付を披露するなど、業界のタブー中のタブーをやっちゃうのだからISSAってのは大した男だなと心底思う。
BOYS AND MEN、MAG!C☆PRINCE等、最近は男性アイドルも増えてきた。CMなんかにも抜擢されたり、無駄に高い跳び箱飛んでる子もいるしね。本当に時代が変わったと思う。ISSAの音楽番組の出演と振付もそうだけど、芸能界における時代の大きな変化を感じた瞬間だった。けど、これが当たり前だと思う。権力ではなく、実力で勝負してみろっての。今まで陽が当たらなかった才能もどれだけあったか分からない。
(文・ROCKinNET.com編集部)
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