キャリア20周年を迎えたDragon AshがMステに初めて出演した。kjがどんな発言をするのか興味があったので、久々に同番組を見た。SSTVなんかでも、基本的にトークは人当たりの良い櫻井(Dr)が担当することが多いので、kjの発言は聞けないかとも覚悟はしていたが、kjのkjにしか言えないだろう彼らしい言葉が聞けたのが嬉しかった。
kjの発言の中で“ど真ん中”という単語が非常に印象深かった。「(タモリからMステの印象を聞かれ)光GENJI大好きだったんで。テレビの前にラジカセを置いて録音してました。日本のど真ん中の人たちのパフォーマンスで、すごく刺激をもらいました。」この日の他の出演者である、コブクロ、亀梨和也・山下智久(亀と山P)、AKB48、私立恵比寿中学などのアイドルやフォーク歌手を、日本の音楽シーンの真ん中と位置付けたのは大衆音楽の顔を立てた意味合いもあるだろうし、同時に自分たちは、その位置で活躍していない、大衆バンドとは違うんだという、あくまで“ライヴバンド”であることのプライドも感じられた。
99年の『Viva La Revolution』が約200万枚を売り上げたりと、もともとDAはど真ん中の存在だった。しかし、自ら大衆バンドの道を歩むことを辞めたのだから、相当の意思の固い言葉だと思う。
続けて「みんなみたいに真ん中ではやってないんですけど、ロックバンドもカッコいいんだってのを、ちょっとでもわかってもらえたら嬉しいです」と続けたkj。横山健が出演した際にも「最近の若い子の意識がバンドよりもダンスやパフォーマンスに行ってる気がして、バンドもいいもんだと証明したくて出演しようと思った」旨のことを、よりによってEXILE系グループのいる前で言って流石と思ったが、たかが、いちアーティストが地上波の音楽番組に出演するに留まらない、彼らの出演には大きな意味があるんだと改めて思った。
kjは常に日本のロックやライヴ・フェスを取り巻く環境を誰よりも気に掛けている。個人的にこれほどライヴを見ているバンドもいないってくらい身近な存在でもある分、ライヴやフェスのMCから、それらが聞き取れる。フェスが一般大衆文化と成り下がった(?)ことで、禁止事項、規制が増えている。それが果たして日本のロック・シーンに於いて正しい事なのか? 数年前のCOUNTDOWN JAPANで、やついいちろうがDJをやってる舞台にゲストとして出て来たkj(明らかに酔っていたが・・・笑)の「あれダメこれダメで何がロックフェスだよ!」と文句を吐いていたことがあったが、それも結局は、それだけkjが邦楽ロック界を牽引してきた功労者であり、すなはち象徴的な存在であることから出る言葉である。
そして、DAらしい、いつも通りの平常運転でのライヴ・ハウスを彷彿とさせるパフォーマンス。オーディエンスからダイブが止まることなく、煽るだけ煽った超絶的なヴォーカルと演奏は、ど真ん中でないと言い張る彼らが、ど真ん中の地上波の伝統的音楽番組を完全制覇した瞬間に見えた。
最新情報をお届けします
Twitter でROCKinNET.comをフォローしよう!
Follow @ROCKinNETcom
この記事へのコメントはありません。