今年の”薄味?”紅白歌合戦の総評
率直な感想として、無難にまとまっていたと思われる。今年、話題だったAwesome City Club、YOASOBI、BiSH、DISH//、平井大、藤井風、まふまふ等、若い世代に響くアーティストから、東京事変、MISIA、星野源、福山雅治など、ベテラン勢や演歌勢も名を連ねる。誰を出しても「目玉なし」と揶揄されがちな紅白ではあるが、きっちり抑えている部分は抑えていると毎年思っている。
何が足りなかったのか?
ただ、やはり「不足」が目立った年だった。「ドライフラワー」で各チャートを席巻した優里、「うっせぇわ」が話題となったAdo、新曲「YONA YONA DANCE」が若者中心にtiktokで大バズリした和田アキ子など、今年のJ-POPを語る上で真っ先に思い浮かぶ名が不在だったのは正直寂しいところだ。優里の三股交際が問題だとか、Adoは覆面が売りだとか、和田アキ子は遺恨が残るとか、確かに問題はあろうが、それをクリアしてこそ大晦日を彩る国民的音楽番組と言えよう。2018年にメディア露出が少ない「Lemon」が社会的大ヒットとなった米津玄師、40周年を迎えたサザンをブッキングした力は感じられない理由はそこにある。
いらね~出演者が多過ぎた
その他にも違和感は残る。謎の出演者である。
まずは、郷ひろみ。今年は、多くの年末特番に出演、60代半ばの高齢者とは思えない若々しさを体現しているのは凄いことだが、今さら若い歌手に交ざって「じゃぱ~ん」は痛々しい。そして、三山ひろし。けん玉の世界新記録を目指す企画で出演し続けているが、肝心の歌が疎かになり本末転倒状態。せっかくRIZINから流れ、落ち着いて紅白を観ようと思ったのに、無駄にハラハラする状況に辟易とした。水森かおりも酷かった。山口百恵のカヴァーを歌いながらも、ほぼ編集されまくったPVのような映像を流す暴挙。生の歌番組の良さをぶっ潰している。
関ジャニにもひと言、単純に歌唱能力が低過ぎた。渋谷すばるなど、実力派が抜け、真の実力が露呈された形だ。それと、まふまふ。彼は普段はマスクをしているらしいが、紅白で外し素顔で歌うことが注目されていた。しかし、カメラワークや彼自身が正面を向かないため、ほぼ顔が見えず、わざわざ素顔を見せる告知をし、あれだけのパフォーマンスをしたのだから、もっと素顔を堂々と見せて欲しかった。
存在感が光った藤井風やBUMP OF CHICKEN
そんな中で藤井風は特別な存在感を放っていた。地元岡山の実家から中継でと、今年大ヒットした「きらり」を歌唱した後、スタジオに登場。ベタな展開ではある物の、そこで最新曲「燃えよ」を歌い、ピアノ演奏も非常にテクニカルでパッショナブル。圧倒されるものがあった。大トリのMISIAの際も楽曲提供した「Higher Love」の伴奏とコーラスで参加、確実に今年の紅白で最も存在感を示したと言って過言ではない。
BUMP OF CHICKEN、星野源も良かった。今年、確実に新曲を世に浸透させて歌いきる姿は、彼らの人気の衰え無さを表していたと思う。だからこそ、ゆずが新曲で勝負しなかったのには些か惜しさを感じたのだが。
それと、KREVA、MIYAVIと異色コラボした石川さゆりだ。ラップ調のコラボをした後に、「津軽海峡・冬景色」の前奏が流れたことで一気にスイッチが入った時の圧倒的年末感。新曲を歌わないと意味が無いと常々言っているが、それをも凌駕するオーラには圧巻だった。
大泉洋の司会連続抜擢は正解だ!
そして、大泉洋が何と言っても良い。本当にオールマイティな人だ。総合司会のウッチャンを必要としない程の笑いを織り交ぜた司会進行ぶりは見事だった。川口春奈との相性もピッタリ。むしろ大泉の暴走は、紅組、白組の垣根を超えるもので、近年囁かれているジェンダーで分ける番組コンセプトの問題点を解消するほどだった。
(文・ROCKinNET.com編集部)
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