邦楽

RADWIMPS「HINOMARU」が物議!ポップ・ソングの右傾化に不自然さを感じる理由とは?

realsound.jp/2016/11/post-10274.html

つい数か月前に人気デュオゆずが「ガイコクジンノトモダチ」という歌を発表し、その歌詞が様々な議論を巻き起こしたことがあった。《だけど君と見た靖国の桜はキレイでした》と、よりによって靖国というデリケートな言葉をサラリと出したことは驚きだった。それまで、政治色皆無だったフォーク歌手がいきなり、靖国を引き合いに出すのだから、違和感を覚えない方がどうかしているほどの衝撃でもあった。
何も靖国を卑下する必要はないにせよ、ポップソングでたかが桜であっても、わざわざ上野公園では無く、隅田川でもなく、靖国を引き合いに出すのは些か軽薄で慎重さに欠けると思わずにはいられない。言わずもがな靖国は侵略戦争を計画・準備・遂行した“平和に対する罪”に問われたA級戦犯を祀っているからだ。

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「国際交流して自国意識に気付いた。国家や国旗を誇り高く思って何が悪い。右や左と言うけれど、僕は外国の友達と靖国を参拝したんだ。」という内容の歌詞。あからさまに近年流行中の保守思想まんま。別にそれが悪いとは言わないが、A級戦犯を祀る靖国に対し、その存在意義を突き詰めることもせずに、あっけらかんとポジティブなイメージで描いている居心地の悪さは感じた。
日本は米国など連合国と結んだサンフランシスコ平和条約で東京裁判の判決を受け入れた背景がある以上、靖国の執拗な美化はポップ・ソングと言えども自重すべきに思える。国際社会への公約に抗う姿勢と誤解されかねないからだ。(靖国批判でもないし参拝の批判もしない、ただ、ポップ・ソングとしてのありかたを問うてるだけ。)


ゆずの物議から間もなくして、RADWIMPSが2018年6月リリースの新曲「HINOMARU」が物議を呼ぶ。「有神論」辺りから若手バンドでは才能は抜きん出ているし、野田洋次郎ほどの天才は21世紀以降なかなか現れないだろうと思っていた。ただ、正直、浅はかだったと思う。『君の名は。』で国民的バンドの地位を築き上げた割に、あまりに不覚だった。

《この身体に流れゆくは/気高きこの御国の御霊/さぁいざゆかん/日出づる国の/御名の下に》などと描かれた歌詞が「軍歌っぽい」と批判が集まる。僕らには「気高きこの御国の御霊」が何を指してるのか曖昧だが、とにかく大袈裟に表現された御霊ってのが我々の身体に流れているという不気味さ、「さぁいざゆかん」と個人的な愛国を通り越して急に周囲を鼓舞する違和感からして、軍歌と評する声は決して間違えてはいない。だって、これ安っぽい軍歌だもん。

この歌には、「僕ら」と「あなた」が登場する。この両者は、国民と祖国の関係性だ。
《ひと時とて忘れやしない/帰るべきあなたのことを》から分かるように、僕らが帰る場所は祖国しかない。先に「日出づる国」って言っちゃってるし。続けて《たとえこの身が滅ぶとて/幾々千代に/さぁ咲き誇れ》僕らの身が滅ぼうとも祖国をひと時も忘れずに咲き誇る。咲き誇るというのは、どういう行為か、これもまた曖昧だが、身が滅ぼうともと言っている以上は祖国のために身を捧げるような、如何にも戦時下の思想(特攻隊?)を連想させると言われても仕方ない。というか、もろにそうだ。
RADWIMPSは哲学的な歌詞を噛み砕いてポップに昇華することに関して長けているバンドだ。「前前前世」のような軽快なポップ・ソングの傍ら、たまにファンもうろたえるほどのダークで特異な世界観の曲を出すことも多々ある。しかし、この「HINOMARU」に関しては、何かと表面的で曖昧な表現が目立つ。軍歌っぽい言葉は羅列されているが、日本を歌っているってほど自国意識も軽薄だし、愛国を主張するほど熱意あるものでもない。洋次郎ほどの才人らしくない。

彼はTwitterでこのように発言しているが、自国を愛する表現に「血潮」や「御霊」は大袈裟過ぎるというか、少々ベクトルを履き違えた表現に思える。70年前も大衆歌は同じような言葉を使い、愛国心を植え付け、自国意識を高めていった。その結果がある。

時たま保守思想を「愛国」と言う人がいる。しかし、愛国心と言うのは自ら芽生えるものでは無く、国から押し付けられるものである。自国を愛するのは当たり前だ。本当に日本を愛しているならば、敢えて言うのがおかしい。ナチス・ドイツとかイタリア・ファシストの時代に何が一番持て囃されてのか歴史を紐解けば、愛国心と極右団体であったことが端的に表している。民衆の目を悪政からカモフラージュするために彼らは「愛国心」と叫び続ける。結果、ネトウヨと呼ばれる者のように根無し草の如く、嵐と共に「愛国!愛国!」叫びながら吹き荒れる。
過剰な自国意識が横行しがちな昨今、ポップ・ソングはどこに向かうのか? 右も左もないという、お決まりの先制防御をしながら、思う存分に保守的な内容を歌う。こうも大人気歌手が立て続けに保守的な内容を歌えば、右傾化と言われても仕方ないように思える。この風潮が根付かないこと、大衆が扇動されないことを願っている。

ただ、音楽好きとして絶対的に断言したいことは、いくら各々の思想があろうとも、廃盤を求めたり、ライヴ会場で抗議やデモをするような真似は感心できない。

(文・ROCKinNET.com編集部)
※無断転載・再交付は固く禁ずる。引用の際はURLとサイト名の記述必須。



 

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