もう狂喜乱舞! 大大大歓喜である!
サザンオールスターズがROCK IN JAPAN 2018に出場することが発表された。最後の最後での追加、流石は国民的バンド、ラスボス感たるや凄まじい。
今年2018年のロッキンは色々と物議を醸し出していた。最たるものはアイドルの多さ。アイドルフェスと揶揄されるほど数が多い。元がロック・フェスとして成熟してきただけに戸惑う声や失望の声は多かった。また、例年出場している人気バンド、[Alexandros]やWANIMAなどの不在も不満に拍車をかけた。先日10年ぶりに奇跡の復活を遂げたELLEGARDENを待ち望む声も多かったが、出場までに至らなかった。
その分、ロッキンが重宝してきた結成10年以下そこそこの新進気鋭のバンドが最も大きいステージを担当するなど、例年とは違う景色が見られる。しかも、松任谷由実やサザンが出る。演歌や歌謡曲しか無かった日本の音楽界に洋楽のテイストを取り入れニューミュージックとして確立させ、しかも、大衆に浸透させた最大の功労者である二人だ。この両者をフェスに呼べるというブッキング力は凄まじい。渋谷陽一の人脈が成せる業だろうが、天下のユーミンとサザンという、現代のJ-POPの礎を築いた大御所が出るという意味でも、今年のロッキンは国内最大級の邦楽フェスとしての威厳は保てているように思える。
しかし、サザンの桑田佳祐は昨年もロッキンに出場している。ソロとして。
これだけの大御所がバンドとソロの形態は違えど、2年連続で同じフェスに出るのは異例だ。
その理由を紐解くのに抑えておきたいのは、昨年のソロ出場後の桑田の発言である。
桑田はロッキン後に雑誌やラジオなど様々な媒体で「選曲を間違えた」と反省行脚していた。
渋谷「うん。いや、でも、すごいと、毎度毎度ステージを観るたんびに思いますけどね」
桑田「いやいや。この前のフェスはちょっと反省してます」
渋谷「どうして?最高だったじゃん!」
桑田「(笑)ほんと。若いバンドたちがドッカンドッカンやってさあ。俺の立場ねえじゃねえかよと思って、楽屋でそわそわしたんだけど、うん」
渋谷「(笑)。だから逆に良かったじゃない。」
桑田「いや、勉強になりましたよ?逆に良かったですよ?」
渋谷「立ち位置がクリアになったっていうか、桑田佳祐色が非常に出たと」
桑田「そうですかね?」
渋谷「だから『ヨシコさん』で終わったのも、こりゃすごいと思ったけどね」
桑田「あれ、良かったかな~?」
(中略)
渋谷「2017年の桑田佳祐としてはすごくユニークだったと思うけど」
桑田「そう言って頂けるといいんだけど」
※一部内容を要約のため変更部分あり ROCKIN’ ON JAPAN(2017年10月号)より
赤松「今年は夏フェスにもお出になって。若いリアクションはどうでした?」
桑田「そうですね、15年ぶりにソロで出たんですけど、なんか浦島太郎みたいでしたね。僕の前に、ゆずとか、[Alexandros]って上手いのとか、エレカシとかいてね。ぼちぼちしてられないなって思いましたね。いや、僕なりに計算してフェス出たんですけど、ちょっと計算狂ってましたね。世間というのと僕が想像してるのとは違うんだなと。例えば選曲とかね、今思えば、なんでこんな暗い曲ばっかやったんだろうって」
赤松「桑田さんでも反省点がありましたか?」
桑田「ありますね」
赤松「ほ~」
桑田「ほら、今はロック蔵みたいなの無いじゃない。僕なんかの頃は「ロックだぜ!」みたいなのあったけど」
赤松「今はそういうの無いかも知れませんね。泥臭くないというか、もっとサラサラしてますよね(笑)」
桑田「サラサラね~(笑)ロックとかロックのお客っていうんじゃなくて、なんか一般化しててフェスも。アイドルも出る時代だしね」
赤松「それはそうですね」
桑田「ゆずがあんなに俺の前でさ、ドッカンスッカン客を興奮させてさ(笑)、楽屋でそれ聞いてたらさ、出にくくなっちゃって」
赤松「そんあことありますか(笑)」
桑田「うん。あるんですよ。で、出て行ったら、お客さんシーンとしやがって(笑)」
赤松「いやいや、桑田さんを生で見る機会が少ないからお客さんも緊張したんですよ」
桑田「それはないでしょ(笑)でも、楽しませてもらったし、そういうズレがあることが面白かったです」
※一部内容を要約のため変更部分あり FM OH! 85.1番組「LOVE FLAP」2017年8月23日放送分より
普段と違うアウェーな場所に身を置くことは、大切なんですよ。でも、このフェスは15年ぶりですから、最初は面食らってね。場のニュアンスを読み切れてなかった。どうやって折り合いを付けようかって、そう思いつつ歌ってましたよ(中略)実は、もっと腕っぷしの強い、ロックなお客さんばかりだと思ったの。だからナメられないよう、渋めの選曲をしていったんです。でもいまや、アイドルと呼ばれる人たちも、立派にフェスのステージを務める時代ですからね。これなら最初から、『波乗りジョニー』とかやればよかったなって反省もありまして
AERA No.38 2017年9月4日発行より
確かに昨年の桑田のセットリストは実に挑戦的だった。
未発売の新作アルバムからの楽曲や、コアなファンしか知らないであろうマイナーな楽曲。桑田ソロでもヒット曲は山ほどあるのに敢えてそれをやらないことで、代わりに最近の楽曲中心に披露したことで現在進行形の自分を見せることが出来たと思っているが、その場にいた者として率直に言えば聴衆には響いていなかった。2018年の桑田佳祐SHOWとしては完璧だったと思うけど。盛り上がっていなかった。桑田佳祐はその知名度と実績から100点のステージングが当たり前で120点を求められるというのもあったに違いない。
もはやロッキンはフェスというよりもテーマパークの立ち位置に近いように思える。通が音楽をじっくり吟味する時代はとうに過ぎた。国内最大級規模にまで発展したのだから無理もない。それだけ多様な人が来る。どれだけ大衆が知っている楽曲を見せるかが重要で、ロック云々とか演奏テクニックなどは重要視されない。昨年の桑田のステージが「波乗りジョニー」のみ際立って盛り上がったのは、そういう背景がある。個人的には流石は桑田佳祐だと思う節は数多くあったが、そういう見方は求められていない。言ってみれば、今年のサザンのロッキン出場は、大衆バンドとしての腕の見せ所、桑田佳祐のロッキン“リベンジマッチ”なのである。
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ましてや、今年はサザン40周年という記念すべき年である。
先日ホール公演は行ったものの、ロッキン以外でのライヴの予定は無い。ロッキンがサザンにとっては40周年野外ライヴなのだ。国内最大級の邦楽フェスであるロッキンに、邦楽界の頂に君臨し続けるサザンが自身の周年ライヴを兼ねたパフォーマンスをする。周年をアウェイでする。何と実験的であろうか。J-POP界の記念すべき瞬間がロッキンで見れる。これ以上の贅沢は無いだろう。
思い起こせば、13年前の2005年のロッキンだ。サザンが初出場した際の盛り上がりは凄まじかった。フェスをサザンが完全に食っていた。未だに歴代のベスト・パフォーマンスに挙げる人もいるほどだった。ひたちなかの地が揺れたもんね。あの時は、リハでDragon Ashがサザンの見物に来て、「希望の轍」を聴いては「最高!」とkjが言っていたり、桑田と握手して喜んでいた様子がNHKで映されたが、今年はKEYTALKの首藤義勝あたりが見に行くかな?(KEYTALKは前日出場だが義勝のサザン好きは有名だ)
2005年40代だった頃のサザンと比べれば、加齢によるパワフルさに課題が残るも、桑田佳祐のバイタリティと言うのは無限大で、昨年の選曲を反省までし学習したサザンの本領発揮は正に未知数だ。どんなことになるかは想像も付かない。とてつもない夏が来るのは確実だろう! 本当に楽しみだ!
(文・ROCKinNET.com編集部)
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