いつからか、彼らは大きく方向転換をした。アニメやドラマなど、テレビのタイアップを打ちまくる大衆バンド路線から、ライヴに重点を置くロックバンドの原型そのものの路線。それにより、彼らと同世代よりも10歳近く若い層のファン獲得に成功する。10年後、まさか彼らがこういう無二な存在になっているとはデビュー当時想像もつかなかった。
男ばかり23000人が集った空間である、その熱量ったら半端なかった。まるで海外サッカーのエスパニョーラの過激なオーディエンスのような熱気。地割れするほどの重音ボイスが響く、まるで格闘技道場、野球部の部室感・・・草食男子時代と言うのは絵空事であるかの如き光景だった。
そんなUVERのライヴが持つ最大の武器はTAKUYA∞のカリスマ性に他ならない!
今宵も大爆発だった!MCの巧さは邦楽界トップと言って過言じゃない!
まるで矢沢永吉のように言葉ひとつで大衆の心を掴む熱さ。しかし、TAKUYA∞と歴代の偉大なロック歌手との違いは、自分を鼓舞しながらカリスマ性を発揮するのでなく、観客と視線を合わせる所にある。
この日は「自分に向いてることでなく自分で選んだことをやれ!」と言った。彼は誰しも何かしらの才能があって、それに合った人生が歩めると限らない人生の苦みを知っている。彼自身もロック歌手が本望であるわけではないと言う。だけど、自分で決断した以上は、その道を進んで、いつか俺に自慢できるような生き方をしろと叫ぶ。
TAKUYA∞は感情をドスレートにぶつけてくる。
その純真さと愚直さには心揺さぶられ感動するとしか言いようがない。
「その汗の一滴一滴が、素敵な明日に導いてくれるって信じようぜ」と力強くも美しい歌詞が印象的な最新曲「一滴の影響」にも表れているように、UVERは聴き手の人生のリアルを残酷にも表現しつつも、その中で光を見出しポジティブな方向に導く。
その共感が、彼の書く詩そのものが、人生の応援であり指標になる。
相変わらず俺が世代ドンピシャの旧曲は演らなかったが、「お前らに聴かせたい珠玉のバラードがあるんだよ」と、いきなり「♪好きだよと~今日も言えないまま~」と往年のバラード「君の好きなうた」を歌い始める。急なことに驚くが、演奏は一節で終わる。「何おめ~ら目うっとりさせて聞いてんだよ!気持ち悪りぃんだよ、バカヤロー!」と「バーベル」が歌われる。最高過ぎる!(笑)
カオス化して収集付かなくなりそうな危うさを持った、この日のライヴ、「PRAYING RUN」「ナノ・セカンド」「IMPACT」と怒涛のロックナンバーが連投され、煽るだけ煽られ昂ぶった男Crew達をコントロールするように観客の中に飛び込むTAKUYA∞の姿は、まさに<新しい時代に足跡刻む>カリスマそのものだった。
弱者を救う歌詞の数々と、大衆を奮い立たせるパフォーマンスで23000人の男を大興奮の坩堝に導き、そこらのバンドでは到達できないロックの桃源郷を実現して見せた、UVERworld男祭り、半端なかった・・・
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