マドンナという存在は不思議だ。
歌もダンスも特段上手いわけではないし、音楽的才能があるわけでもない。
しかし、紛れもなく彼女は現代のポップ・アイコンとして数十年に渡ってカリスマ性を維持している唯一無二の存在である。今が旬のビヨンセでもGAGAでもテイラーでも敵わない無敵感。
その理由を、圧倒されるほどの世界観の構築をもって実証したステージだった。
まるで、崇高なミュージカルや、サーカスを観ているかのような超絶ステージング。
音楽ライヴの領域を遥かに超越した圧巻のエンターテインメント。
ここまでのクオリティでないとマドンナのショーとして意味を成さない、このクオリティだからこそ彼女はステージに立つに相応しいのだ、というセルフ・プロデュース能力の高さすら感じさせる。もはや、流石としか言い様がない。
最新作「レベルハート」の選曲から、「ライク・ア・バージン」「マテリアル・ガール」往年のヒット曲まで網羅した贅沢なセットリスト。そのほとんどが、今回のステージのためにアレンジされていて、古さと懐かしさすら感じさせない新鮮味があった。
個人的には「MUSIC」のジャズ・アレンジにうなされ、今日まで今ツアーのセットリストにはあまり選ばれていなかった「Vogue」が聴けたのが嬉しかった。
俺は以前から還暦のマドンナが歌う「ライク・ア・バージン」に興味があった。
今はまだ還暦には少し早いが(57歳)、歌詞の内容からして還暦間近の女性が歌うにはちょっと無理があるだろう、どういったパフォーマンスをするのだろうと・・・今回のツアーでは、大半が派手な映像がふんだんに用いられたが、「ライク・ア・バージン」の時だけは、彼女が生身の身体を駆使し、ステージ上で踊りまくるシンプルな演出で歌い上げた。年齢という概念にとらわれない力強さと美しさがあった。何の違和感も感じさえしなかった。ここにマドンナがマドンナたる真の由縁を感じた。
10年ぶりの来日だった・・・次はいつ?ということになるが、そう遠くない将来また来て欲しい。
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